1:偽威議員 ワイキキ

1:ワイキキ
「駄目だな。黒人の代議士はまだ日本では受け入れられないだろうな」
「はあ、しかし、なかなかの美声の持ち主のようでつい3年前、NHK世界のど自慢大会にハワイ代表として出場したぐらいでございます」
「のど自慢大会、、何を歌った?」
「“きよしのズンドコ節”だったと記憶していますが」
「誰の歌だ?」
「氷川きよし、でございます」
「演歌か?」
「はい、さようで」
「その人物の名前は?」
「黒人の?、、加賀大和様です」
「加賀ヤマトでいいのか?」
「はい、あの戦艦大和でございます」
「わしは海軍の出だ。
加賀と大和に乗っていた。
加賀が沈没した時、2時間泳いで助かった。
のど自慢ね、、演歌、、面白いかもな。
で、おつむの方は?」
「こちらに4年程いてハワイ大を卒業しています」
「日本にいたのか?」
「はい、中学校から高校まで」
「ということは、漢字、平仮名は書けるのだな?」
「と思いますが、そこまでは」
「代議士となると大事なことだ。
確かめんと。
何でも言うことを聞く馬鹿がいいのだが。
まあ、一度見てみるか?
使える馬鹿なら考えよう。
早い方がいい、ハワイに行く。
飛行機の手配をしてくれ」
「そうでございますか?
加賀奥様のご了承は?」
「いらんよ。
そんなもん」
「そうおっしゃられても、他の女性のお子様、おまけに黒人。
一言伝えておいた方がよろしいのでは」
「お世継ぎがいないのは誰の責任だ。
加賀家存亡の危機なんだ。
わしが決まったら話すからいい」
「かしこまりました。
少しお時間を頂けますか?
私、今週はスケジュールが塞がっていまして」
「あなたはいい。
娘さんの明子秘書を連れて行く。
英語がしゃべれるからな」
「土方会長、あそこに座っているのが加賀大和です。
少し、眠そうな顔をしている方です。
ワイキキツアーのデスクの主任をしています。
歳は28。
調査によると、かなり女癖が悪いそうで、付き合っている女性10人までは確認したそうですが、まだかなりの女性がいるらしく諦めた、と言ってました」
「父君の加賀三郎先生に良く似ているな。
うん、、肌は程よい褐色か、、あれなら日本でもなんとか受け入れられる。
字は書けるのかね?」
「はい、4年程日本にいましたので漢字,仮名問題ありません。
達筆だそうです」
「そうか、、。
どうかね、明子秘書?
女性から見てあの男の好感度は?」
「あの眠そうな感じは女性の母性本能を惹きつけますね。
癖のあるハンサムだと思います」
「独身だったね?」
「はい、女癖が悪い独身です」
「いや、君だよ」
「あ、、、私ですか?、
はい独身です」
「どう、あの男は?
いい男かね?」
「まあ、、どう言ったらいいのか。
私の趣味ではありませんね」
「そうかね、、。
まんざらでもない顔をしているがね、明子君。
おつ、顔が赤いね」
「まあ、会長、、」
「どうも、ようこそハワイへ。
こちらは初めてでいらっしゃいますか?」
「ええ、、楽しみにしていました」
「そうでございますか。
では、説明させていただきます。
このデスクが橋本様の、、お名前はサチコ?ユキコ?、」
「サチコで」
「はあ、橋本幸子、、言葉の響きが穏やかでワイキキビーチのそよ風のようです」
「まあ、、」
「このデスクが幸子様ご滞在中、お手伝いさせていただきますワイキキツアーでございます。
私の名前は加賀大和、何かありましたらご連絡いただければすぐ参上いたしますので」
「これ私の携帯、いつでもいいから連絡待っていますわ。
必ずして」
「あ、、はい。
かしこまりました」
「女性にもてるな。
これで女性票は頂か」
「お客様にも手を出しているようでございますよ」
「客に?
そんなこと会社に知れたら首だろう?」
「誘惑するのはお客様の方なので会社は何もしないそうです。
彼を指名してくる女性客が多いので喜んでいるとか」
「ホストクラブじゃないか」
「はあ、もう皆様、ここハワイではセックスに狂っている、とか調査員が申してました」
「そうか、開放的になるのだな、、。
これで加賀先生も、、」
「サリーちゃんよ、ツインベッドでオーシャンフロントの空部屋ないかな。
何とかしてよ」
「今日はないようね。
パーシャルオーシャン(部分的に海が見える部屋)ならあるけど」
「その部屋、キープしといてくれる。
客に聞いてみる」
「笠置様、遅れてすみません。
残念ながら海が見える部屋にツインがございません。
グレードを落としたらありますがどういたしましょう?」
「どうこうもないですよ、ワイキキさん。
1時間以上も待たせといて、それはないでしょう。
電話しても出ないし。
いい歳してお袋とダフルで寝れませんよ」
「連れの方はお母様だったのですか?」
「言いませんでしたか!」
「申し訳ありません。
もう少し待っていただけますか。
折り返しお電話差し上げますから」
「サリーちゃん、なんとかツインベッドのオーシャンフロント頼むよ。
お客さん、待たされて怒ってるのよ。
困ってるのよ」
「じゃあ、今晩家に泊まるならなんとかする」
「約束するよ」
「笠置様、なんとかフロント主任に無理を言ってオーシャンフロントのツインを用意することができました。
ご宿泊予定のご家族がたまたま当ホテルの従業員だったのでキャンセルしてくれました。
つきましては50$追加料金がかかってしまいました。
こちらで勝手に決めてしまったのですがよろしいでしょうか?」
なかなか、抜け目なさそうな男だな。
これなら金さえやれば意のままに動く。
「明子秘書、加賀大和と接触したい。
セットしてくれ」
「はい」
「加賀大和君、単刀直入に話そう。
代議士になる気はないかね」
「代議士?
日本の?」
「君の父君、加賀三郎先生は衆議院議員だった。
その後を継ぐ方がいない。
地盤、看板、鞄、すべて整っている。
資金、知名度、後援会のことだ。
君は人形になってにこにこして愛嬌を振りまくだけでいい」
「にこにこしているだけで代議士になれるのですか?」
「そうだ。
わしは87だ。
60年日本の政治を見てきた。
いずれ国会は世襲議員だけになる。
新人は世襲議員によってふるいにかけられ、扱いやすいのだけを生き残らせて2世、3世、の仲間入りだ。つまり代議士世襲制度があるのだよ。
世襲の長年の知恵だ」
「能力、資質、政策で選ばれるのでは?」
「綺麗ごと言っちゃいかんよ。
そんなもんとっくにありゃせん。
利益誘導、地縁、血縁だよ、民主主義は。
皆、自らの利益になるから投票する。
エゴイズムだ、それが民主主義だよ。
選挙の期間は短い。
公示日から衆議院で12日、参議院で17日だけだ。
それだけがんばれば4年、参議院で6年も遊んで暮らせる。
選挙も簡単。
我々後援会が中心になって選挙運動をやる、組織固めであいさつ回りと必要に応じて決起集会を行う。
それだけだ。
君は、凡凡党総裁の写真ぶらさげて車の上から自分の名前を連呼するだけだ。
適当に、財政改革、環境問題、構造改革、この3つだけ大声で言えばいい。
そうだ、君はのど世界自慢大会に出たことがあるとか?
本当かね」
「のど自慢です。ええ、歌は好きです」
「それはいい、選挙カーの上で歌ったらいい。
うん、それはいい考えだな」
「そんなにいい加減でいいのですか」
「何がいい加減だ!
こうなるまで先代様の血と汗の歴史が刻まれているのだよ。
まあ、任せなさい。
抜け道はいくらでもある。
これも世襲様達のお陰だ。
法律で個人に規制があるのは選挙期間中の政治活動費用だけだ。
日常の政治活動に使う金の規制はない」
「日常の金の規制はない?」
「政治活動の名目もいい加減としたら、どうだね」
「何もないに等しいと?」
「政党に限ると、選挙期間中だろうが何の規制もない。
今度、農相になった息子が事務所でもめてるだろう。
事務所費、人件費、規制がないから、それらを名目にポルシェを買えるのだ。
金は入ってくる。
それを分らないようにするのが難しい。
その隠れ蓑かがこの規制なしの事務所費、人件費だった。
今回の選挙で旗色が悪いので、与党、凡凡党の小安総理は領収書5万添付する、と。
これは大変な譲歩で困ったことだよ。
あの息子のポルシェ、5万じゃあ、いくら領収書がいると思うかね。
名目は?
、、困るよ、これ。
だが、まだ上手い方法がうんざりするほどある。
何でも出来る、どうかね、大和君?
代議士になってくれんかね。
金、女、周到にやればすべて思いのままだ」
「駄目だな。黒人の代議士はまだ日本では受け入れられないだろうな」
「はあ、しかし、なかなかの美声の持ち主のようでつい3年前、NHK世界のど自慢大会にハワイ代表として出場したぐらいでございます」
「のど自慢大会、、何を歌った?」
「“きよしのズンドコ節”だったと記憶していますが」
「誰の歌だ?」
「氷川きよし、でございます」
「演歌か?」
「はい、さようで」
「その人物の名前は?」
「黒人の?、、加賀大和様です」
「加賀ヤマトでいいのか?」
「はい、あの戦艦大和でございます」
「わしは海軍の出だ。
加賀と大和に乗っていた。
加賀が沈没した時、2時間泳いで助かった。
のど自慢ね、、演歌、、面白いかもな。
で、おつむの方は?」
「こちらに4年程いてハワイ大を卒業しています」
「日本にいたのか?」
「はい、中学校から高校まで」
「ということは、漢字、平仮名は書けるのだな?」
「と思いますが、そこまでは」
「代議士となると大事なことだ。
確かめんと。
何でも言うことを聞く馬鹿がいいのだが。
まあ、一度見てみるか?
使える馬鹿なら考えよう。
早い方がいい、ハワイに行く。
飛行機の手配をしてくれ」
「そうでございますか?
加賀奥様のご了承は?」
「いらんよ。
そんなもん」
「そうおっしゃられても、他の女性のお子様、おまけに黒人。
一言伝えておいた方がよろしいのでは」
「お世継ぎがいないのは誰の責任だ。
加賀家存亡の危機なんだ。
わしが決まったら話すからいい」
「かしこまりました。
少しお時間を頂けますか?
私、今週はスケジュールが塞がっていまして」
「あなたはいい。
娘さんの明子秘書を連れて行く。
英語がしゃべれるからな」
「土方会長、あそこに座っているのが加賀大和です。
少し、眠そうな顔をしている方です。
ワイキキツアーのデスクの主任をしています。
歳は28。
調査によると、かなり女癖が悪いそうで、付き合っている女性10人までは確認したそうですが、まだかなりの女性がいるらしく諦めた、と言ってました」
「父君の加賀三郎先生に良く似ているな。
うん、、肌は程よい褐色か、、あれなら日本でもなんとか受け入れられる。
字は書けるのかね?」
「はい、4年程日本にいましたので漢字,仮名問題ありません。
達筆だそうです」
「そうか、、。
どうかね、明子秘書?
女性から見てあの男の好感度は?」
「あの眠そうな感じは女性の母性本能を惹きつけますね。
癖のあるハンサムだと思います」
「独身だったね?」
「はい、女癖が悪い独身です」
「いや、君だよ」
「あ、、、私ですか?、
はい独身です」
「どう、あの男は?
いい男かね?」
「まあ、、どう言ったらいいのか。
私の趣味ではありませんね」
「そうかね、、。
まんざらでもない顔をしているがね、明子君。
おつ、顔が赤いね」
「まあ、会長、、」
「どうも、ようこそハワイへ。
こちらは初めてでいらっしゃいますか?」
「ええ、、楽しみにしていました」
「そうでございますか。
では、説明させていただきます。
このデスクが橋本様の、、お名前はサチコ?ユキコ?、」
「サチコで」
「はあ、橋本幸子、、言葉の響きが穏やかでワイキキビーチのそよ風のようです」
「まあ、、」
「このデスクが幸子様ご滞在中、お手伝いさせていただきますワイキキツアーでございます。
私の名前は加賀大和、何かありましたらご連絡いただければすぐ参上いたしますので」
「これ私の携帯、いつでもいいから連絡待っていますわ。
必ずして」
「あ、、はい。
かしこまりました」
「女性にもてるな。
これで女性票は頂か」
「お客様にも手を出しているようでございますよ」
「客に?
そんなこと会社に知れたら首だろう?」
「誘惑するのはお客様の方なので会社は何もしないそうです。
彼を指名してくる女性客が多いので喜んでいるとか」
「ホストクラブじゃないか」
「はあ、もう皆様、ここハワイではセックスに狂っている、とか調査員が申してました」
「そうか、開放的になるのだな、、。
これで加賀先生も、、」
「サリーちゃんよ、ツインベッドでオーシャンフロントの空部屋ないかな。
何とかしてよ」
「今日はないようね。
パーシャルオーシャン(部分的に海が見える部屋)ならあるけど」
「その部屋、キープしといてくれる。
客に聞いてみる」
「笠置様、遅れてすみません。
残念ながら海が見える部屋にツインがございません。
グレードを落としたらありますがどういたしましょう?」
「どうこうもないですよ、ワイキキさん。
1時間以上も待たせといて、それはないでしょう。
電話しても出ないし。
いい歳してお袋とダフルで寝れませんよ」
「連れの方はお母様だったのですか?」
「言いませんでしたか!」
「申し訳ありません。
もう少し待っていただけますか。
折り返しお電話差し上げますから」
「サリーちゃん、なんとかツインベッドのオーシャンフロント頼むよ。
お客さん、待たされて怒ってるのよ。
困ってるのよ」
「じゃあ、今晩家に泊まるならなんとかする」
「約束するよ」
「笠置様、なんとかフロント主任に無理を言ってオーシャンフロントのツインを用意することができました。
ご宿泊予定のご家族がたまたま当ホテルの従業員だったのでキャンセルしてくれました。
つきましては50$追加料金がかかってしまいました。
こちらで勝手に決めてしまったのですがよろしいでしょうか?」
なかなか、抜け目なさそうな男だな。
これなら金さえやれば意のままに動く。
「明子秘書、加賀大和と接触したい。
セットしてくれ」
「はい」
「加賀大和君、単刀直入に話そう。
代議士になる気はないかね」
「代議士?
日本の?」
「君の父君、加賀三郎先生は衆議院議員だった。
その後を継ぐ方がいない。
地盤、看板、鞄、すべて整っている。
資金、知名度、後援会のことだ。
君は人形になってにこにこして愛嬌を振りまくだけでいい」
「にこにこしているだけで代議士になれるのですか?」
「そうだ。
わしは87だ。
60年日本の政治を見てきた。
いずれ国会は世襲議員だけになる。
新人は世襲議員によってふるいにかけられ、扱いやすいのだけを生き残らせて2世、3世、の仲間入りだ。つまり代議士世襲制度があるのだよ。
世襲の長年の知恵だ」
「能力、資質、政策で選ばれるのでは?」
「綺麗ごと言っちゃいかんよ。
そんなもんとっくにありゃせん。
利益誘導、地縁、血縁だよ、民主主義は。
皆、自らの利益になるから投票する。
エゴイズムだ、それが民主主義だよ。
選挙の期間は短い。
公示日から衆議院で12日、参議院で17日だけだ。
それだけがんばれば4年、参議院で6年も遊んで暮らせる。
選挙も簡単。
我々後援会が中心になって選挙運動をやる、組織固めであいさつ回りと必要に応じて決起集会を行う。
それだけだ。
君は、凡凡党総裁の写真ぶらさげて車の上から自分の名前を連呼するだけだ。
適当に、財政改革、環境問題、構造改革、この3つだけ大声で言えばいい。
そうだ、君はのど世界自慢大会に出たことがあるとか?
本当かね」
「のど自慢です。ええ、歌は好きです」
「それはいい、選挙カーの上で歌ったらいい。
うん、それはいい考えだな」
「そんなにいい加減でいいのですか」
「何がいい加減だ!
こうなるまで先代様の血と汗の歴史が刻まれているのだよ。
まあ、任せなさい。
抜け道はいくらでもある。
これも世襲様達のお陰だ。
法律で個人に規制があるのは選挙期間中の政治活動費用だけだ。
日常の政治活動に使う金の規制はない」
「日常の金の規制はない?」
「政治活動の名目もいい加減としたら、どうだね」
「何もないに等しいと?」
「政党に限ると、選挙期間中だろうが何の規制もない。
今度、農相になった息子が事務所でもめてるだろう。
事務所費、人件費、規制がないから、それらを名目にポルシェを買えるのだ。
金は入ってくる。
それを分らないようにするのが難しい。
その隠れ蓑かがこの規制なしの事務所費、人件費だった。
今回の選挙で旗色が悪いので、与党、凡凡党の小安総理は領収書5万添付する、と。
これは大変な譲歩で困ったことだよ。
あの息子のポルシェ、5万じゃあ、いくら領収書がいると思うかね。
名目は?
、、困るよ、これ。
だが、まだ上手い方法がうんざりするほどある。
何でも出来る、どうかね、大和君?
代議士になってくれんかね。
金、女、周到にやればすべて思いのままだ」
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