4: junky musicology  Janis、Jimi、Eric

65、6年のザバーズ(THE BYRDS 英のバンド)の《EIGHT MILES HIGH(八マイルも ハイになって)》って曲知ってる?ポップ、ロック界ではドラッグの影響を受けて創られた最初の曲だといわれている。当時は物議をかもしてラジオ局で放送拒否されたぐらいさ。ビートルズ初期の一連の曲《SHE LOVES YOU,I WANNA HOLD 》なんかと《TOMORROW NEVER KNOWS, SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND》を比べたらわかるよ。この間に何があったと思う?純粋にインスピレーションで音が変化した、と君、思ってないだろう。


確かに音はかなり違けど、レコードスタジオ、楽器、機材、それらのテクの進歩に拠るんじゃないの

それは否定しない。でもね、LSDがジョン・コルトレーンをスピリチュアルなものに向かわせ、オーネット・コールマンをコード、スケール、モードを超えたフリージャズに向かわせたのは有名な話さ。ボブ・ディランの詩が葉っぱの影響を受けているのは周知の事実だし、その存在をビートルズに教えたのは彼だしね。誰もが知っているなじみの曲でドラッグの影響を受けていない曲がどれほどあるか俺は疑問だね。芸術家だけでなく、それを見、聴くすべての人、いや社会全体が好むと好まざるとに関わらず間接的にそれらの恩恵を受けてきた。

恩恵?そうなの、、今は?

それはないよ。加工できるfakeの世界だよ。それにドラッグはつまらないよ。ジミヘンのCD聴けば分かる。彼はハイな状態で延々とギターを弾いては録音していた。うんざりするぐらいのテープを残して逝ってしまったのさ。最悪の演奏もあった。それで金儲けしようとする輩がいた。ドラッグで演奏なんてその時は最高によく聞えてもシラフでは到底聴けないレベルさ。彼だって表に出るとは思ってなかった。でも、うんざりするぐらいの量なんだ。

頭硬いんだね。音楽の好き嫌いはその人が決めるのさ。押し付けるものじゃないよ

そうだ、それは確かだ。今は商業主義に毒された焼き増しだらけだ。でも60年、70年半ばのミュージシャンは違った、と思うよ

商業主義?昔からそうだよ。金になると分かったら、一目散、今と変わらない。

でもね、彼等は音楽に無限の可能性を感じていたと思う。実際、何やってもよかったんだ。プレスリーが革新的だったんだよ。

イギー、おかしいよ。プレスリーは偉大だよ。あのスタイルは最初だった。当然じゃないの。今でも同じだよ、状況は。originalityを産み出せばいいのさ。

、、そう言うなよ。フィル・スペクター(Phil Spector。60年代の音楽プロデューサー)って知ってる?

60、70年の人だろう?知らない。

殺人の罪で今、務所暮らしの楽プロデューサだ。Beatles(let it be)やJohn lennon (imagine)など彼らのアルバムに関わった。
“WALL OF SOUND”(同じ楽器を四、五台使ってオーバダヴィングした音の組み合わせ)を用いてそれまで聴いたことがないヘヴィーな音を生んだ。ロネッツ(the Ronettes)の”Be My Baby”聴くとよく分かるよ。バックの重い音がそうだ。そういえば、映画“Easy Rider”でドラッグ売人役で出てたな。
当時、音楽にはまってた多くの奴は似たようなsoundを作ってたと思う。彼は上手く出てきたが、いわゆるオリジナリティをさ。だがもうキャンバスは白くない。幾重にも塗られてどす黒く変色している。油絵みたいに膨れ上がっててさ。今のロックはそこらの遊園地のジェットコースターと同じ金儲けの娯楽産業だ。10代、20代の思春期の若者のチョコさ。ジャズがモード、スケールでお茶を濁し行き詰まったのと同じで、ロックはワールドミュージックなんてたいそうな名前をつけて、レゲエ、アラブ、アフリカ、インド音楽に出口を見つけようとした、でも今はどこに向かってるのかな。俺がガキの頃はドラッグなしでもロックを聴けた。やがてそれなしでは聴けなくなった。今はそれをやっても聴く気にならない。年食ったら誰も聴かない思春期の音楽でしかない。まあ売れてるのはみなそうだけどな。

でも、そういう人たちもコンサートには行くよね

思い入れ、、があるからかな、、いろんなことを呼び起こしてくれる、、恋人、、友達、、忘れたいことや、、懐かしいことや、、それまでの

それでいいんじゃないの。イギーだって60,70年代の音聴くとじっと来んだろう

オーティス・レディング、ジミヘンのギター、震えるね

音楽に何を期待しているの。しょせん娯楽だろう。キャッチーなメロディ作って、Love 、Sex、を歌い、そして,youtubeで宣伝、昔と違って良い時代じゃないの。ジョンレノンだって“starting over”のアルバム出すとき、当時流行っていたCDで傾向を把握して勉強さ。そんなこと普通のことさ、売ろうと一生懸命なんだよ、あのjohnさえ。イギーにとって、60、70年代のなんでもありの、創成期が最高なんだろうけど、音楽は個人的なものだよ、その人が選ぶのさ。まあ、最近はメディア、ネットに流されてるとは思うけど。その人が好きならそれでいいんだよ。それで満足できない音楽好きな奴は寝食忘れ、貪って音楽を聴くさ。僕はそうだった。イギーもそうだろう。そういう人達に好かれれば最高じゃないのかな。

俺は最初ロックを聴いたとき、その力ですべてが変わると信じた。だからミュージシャンになった。地球のUNITY、平和 、それらを勝ち取る強力な武器ができたとね。でも、そうではなかった。アイスクリーム、チョコでしかなかった

でもさっき言ったよね。ドラッグの影響で社会も恩恵を受けているって。僕は変わったと思う。イギーの期待した速度でないにしてもこの世界が共通の問題意識を持ち確実に縮まっていると思う。世界のどこにいようが同じ音楽を聴き、踊って、歌えるようになってきている。全世界が共通に同等に分かち合えるものを一つでも多く持てたら平和に近づけると思う。その意味でロックだろうが、音楽は世界の平和に貢献している。もう少し素直になりなよ。NYにいる頃、変なコンサートがあった。タイトルは《Jimi HendrixとJanis Jophlin ジョイント・コンサート》。ジミヘンとジャニスのそっくりさんのコンサートだった。
当時、ビートルマニアなんてビートルズのそっくりさんのコンサートがブロードウェイで流行っていたんでそれにあやかったんだ。こっちは夜中の0時に開演で閑散としていた。
ジミヘンのコンサートのとき、隣に座っている10歳ぐらいの子が僕のシャツの袖を引いた。目が輝いて興奮していた。ジミヘンってこんなに凄かったの?って僕に聞いてきた。太めの白人、ジミヘンだったのにね。
“当時、たいしたイフェクターを使ってないのにどうしてあんな音が出てくるのか。ミュージシャンたちは不思議がって真似したんだけどだめだった。今でも謎だよ。と僕は答えた。この子は繋がっているんだ

ジャニスは?

ジミヘンの音は今は出せるけど、彼女の声は誰がやっても無理だね。酒、ドラッグ漬けの生き様が声に、目を閉じてヘッドフォンでジャニスを聴くと怖かったよ。目の前で髪を振りかざし、拳をあげ、顔をしかめ、叫び、鬼になってに迫ってくるんだ。

俺が彼女を思い浮かべるのは、亡くなる二、三年前の写真と最後のアルバム、パールのジャケットの顔の余りの違いだな。翳、、10年以上の年輪が顔に刻みこまれてた。彼女にとって、この世は、酒、ドラッグなしでは耐え難い所だったのかな?

普通の生活を維持するのに必要だなんて、、

彼らの死をどう思う?

モーメントがすべてだったんだよ、二人には。彼らに死なんて頭にないよ。パールに奇妙な曲、《Buried alive in the blues(ブルースに生き埋めにされ、って曲があるけどなぜかボーカルが入ってないんだよ。間に合わなかったんだ。彼女の生き様は、《Buried alive in drugs(ドラッグに生き埋めにされて)》だと思う。ベルギーではいい年した大人もマリファナ、ハシシを吸ってるの?

ああ、それらは普通にあるからな。でも、知っているジャンキーの親父達は足を洗ったな。
“坊主、35年以上吸ってたらどんな馬鹿でも考えるぜ。体にゃもうエキスが巣くってタール状にたまってんでな。澄んだ水も行き場が無くなりゃあ腐れ悪臭を放つのと同じだ。この20年、においを嗅いだだけで身体が自然に反応しちまってな。おもしろくもねえ、変化もねえ、くたびれた世界にしか連れてかねえ。わけえ時は感覚が冴えて毎日が新しい発見で興奮したもんだが、長くやるとなすべてがそこで止まっちまう。それ以上の新しい自分を求めようにも、もう体はそれに蝕まれちまってて苦痛しか感じねえ。毎日うまいもんばっかし食べてりゃあ飽きるのと同じで初めの頃感じた感覚の躍動はもう無理なんだ。
35年もうんざりするほどの時間がかかったが、もう山頂には登れないってやっと悟ったのさ、最初の一発目のとこにはな。坊主もいい加減にしろよ。疲れを感じ始める前に止めなきゃあ、大切な感覚まで麻痺させちまうぜ。俺みたいにだらだら35年も待たずにな、って真顔で言ったよ。そして、“素面の世界が一番おもしろいって気づけばいいのさ。ドラッグの時間なんて一過性、普遍につながる時間の軸につながってない、って。

イギーの好きなmusicianは?

真のヘロイン・junkyだったクラプトン(Eric Clapton)かな。よく死ななかったと思う。生き延びた。でも多くの人が彼に巻き込まれてjunkyになり命を落とした人も、、だが、それらを糧に曲を創った、、とてつもなく美しいのを。

               続

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