with a little help from Stranger


65:乱視の神様

携帯が、徹だった。
「鉄二よかったね。さっきロベルトに教えてもらった」
「何を」
「ゲイの喧嘩にしてお巡りさんを呼んだってね。僕、心配して損しちゃった。でも、KISSらしい。
本当に殴り合ったんだね。そこまでしなくても、僕ならもっと上手くやってた」
「彼が来なかったらどうなってた」
「僕とはもう会えない」
「笑える、僕とは会えない、か。会いたくもない餓鬼にそう一方的に言われると」
「何だよ、心配してあげてたのに」
「子供の分際で、、今、何時だと思ってる、学校は?」
「ふん、花子さんに代わる」
 
「よかった。何事もなくて?」
「ええ、、」
「喜んではいないようね」
「、、、、、、、」
「どうするつもりだったの?」
「、、、、、、、」
「マイケルが書類を見つけた。ガンビーノ・マフィアが関わった犯罪が詳しく書かれている。起訴できるかも」
「そうですか」
「自分の手でやらないとすまなかったようね」
「、、、、、、、」
「あなたが必死に探していたお母さんの名前が分かった。彼女の母親、エリザベスは17歳で行方不明になっているわ。名前、それにゴメス、亡くなった場所も分かったのよ。彼女の死には多くの人が関わっている。鉄二、まだ謎だらけ。あなたはすべきことがたくさんある。まだ終わっていないわ。知りたくないの」


東の空がかすかに白んで、聖母マリア様のお目覚めを今か今かと夜通し待っていた子供のように、“謎だらけ”“謎だらけ”花子さんの言葉を反復していた。

「よお、この時間の朝、たまんねぇんだよな。ほんの数ヶ月ハワイの件で罰が早朝の掃除でな。
目覚めたのよ、ピュアリティ(purity)にな。純粋無垢、清らか、これを保つ為、この天体すべて、リセットが必要なんだ、とな。これから24時間、目一杯、堕落に邁進するからな。儀式、これを行わないことには、汚れられない、始まらない、ってな。ほら、かすかに、寝息、じゃないな、起きてんだから、、とにかく息だ。聞えてこないか、神か悪魔。俺にはどっちも一緒、双方とも、邪なとこが、、神様には乱視が入ってるような」

聖母マリア様まではKISSと、だが、邪、乱視、神さんの乱視とは、、、、だが、言えてなくも。
バチカン、ソリダリティ、コントラ、マフィア、CIA、ヨハネ・パウロ一世、確かに、お袋の死は謎だらけだ。とてつもないことを教えてくれるかも。も少しここに留まるか。


マイケルがドアを開けてくれた。
俺には一瞥、KISSには一言、
「KISS?」
二人は初対面のようだった。でもこの名前はいただけない、騒動の原因になる。
俺の心を読んだのかまた一瞥が。
「山岡さん、どうしました?そのつもりでいたのにお釈迦に、これで僕を理解できますよね。今のあなたの空虚な気持ちは僕が一番理解できると思います」

言葉を返さなかった。
今、こいつと話したくなかった。この俺に何を理解して欲しい、してどうなる。
仲良しになりたいのか、寂しさが紛らわせるか、何でお前はそう向きになって俺に理解してもらいたいんだ。
答えは分かってた。独りぼっちだからだ。俺もそうだと、勝手に思い込んでいるからだ。
誰でもいいんだ、こいつの場合は。
だが俺は違う。誰でもいい、はない。
そもそも求めていないんだから。
アマチュアの青二才テロリストと一緒にされちゃあたまらねぇ。

徹は年相応の餓鬼の姿で、よだれを垂らしてソファにうつ伏せ、その横で花子さんは書類を調べていた。
「キャビネット裏にもあったの。大変な量と内容、NYマフィアだけでなく、全米マフィアすべて起訴できる。メンゲレさん、そのつもりで集めていたようね」



タクシー運転手、高木はガンビーノ幹部ジャニーニから、チャイナタウンのコーヒーショプ・ドラゴンでボナンノ・ファミリー幹部、山岡鉄二を捕まえる、と連絡を受けた。
反対車線のキャナル通りで見張っていた。

おかしかった。
男がドラゴンに入るやパトカーが現れ、山岡とその男はパトカー内に消え、捕り物は失敗。
パトカーの跡をつけると、10ブロックも離れていないリトルイタリーの建物の前に停車した。
そして、ポリ公達は建物から出てきた女性と二言、三言、楽しそうに話した後、パトカーは去り、3人は建物に消えた。

どうなってる、、ジャニーニに知らせようと携帯を取って、止めた。
彼の着歌はロッキーのテーマ、聴く羽目になる。それはごめんだ。

ドンはなぜ山岡を殺そうと、奴の親父は広域暴力団菅谷組の組長、、上手く行けば双方から、、吹っかけてみるか。


2010.12.15 


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