3:ロイ

“アーニー爺さんは夏ここ、冬はフロリダで働いている”とジョッシュが教えてくれた。
皿洗いのヘルパーの又ヘルパー、つまり僕より仕事が出来ない。
朝鮮戦争、第二次世界大戦の生き残りで、、こんな書き方でいいのかな、、マリーが教えてくれたとおりに書いているのだけど。生き残り、だなんて僕も使ってしまった。

アーニーがいても仕事にならないからだ。
傍で大きな音を立てようものなら手に持っているものを放り出して走り出すのだから。
たまたま皿、鍋を持っていたら最悪だ。その音でアクセル吹かして駆け出す。
キッチンは大混乱、ウエイターは避けようと料理を落とし、コックは雷声、それで又、アーニーはギアをトップに入れて疾走する。もうどうしようもできない。
右足の長さが左より短いらしく体を左右に振りながら突進してくる。その迫力で僕は二度跳ね飛ばされてしまった。足の長さが違うのは戦争で砲弾の破片を受けたからだとマリーが言っていた。
だからキッチンにいる時は、、変なの、いつもいるのに、みんな大きな音を出さないように注意している。

でも、もう一つ厄介なことがあるのだ。
アーニーと同じように夏の間だけここで働いているロイがいる。
いつもキッチンの裏庭でジャガイモの皮をむいているのだけど、彼がキッチンにいると大変なことになる。
耳が遠いので大声を出さないと、、だから、二人が一緒になると、、アーニーは走り出し、ロイはそれを見て大声で囃し立てる。
二人はひどく仲が悪い、と思う。
だって二人が会話しているのを、、そうか無理なんだ、、無口と、、、。

でも、僕のお婆ちゃん以外、自己中じゃないお年寄りにあったことはない。
長く生きているのだから優しくできると思う。なぜ彼等は相手のことを思いやることができないのだろう、いい歳をして、と思う。

マリーにロイのことを聞いたら変なことを教えてくれた。
“あの爺さん、6年前になるか、宝くじが当たってな。仕事止めたんだが3年前にもどってきた。悠々自適の生活が出来たのにな。原因はどうしようもない子供達だ、、息子と娘、二人いるんだが、大金手に入れたと知って現れたそうだ。それまで音沙汰なしがな.”

2009.09.13 


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