with a little help from Stranger


55:テロリスト・マイケル


「何も」
「君は覚えているか?僕が花子さんに、泊めて欲しい、と言った時、泊めてはいけない、と怖い顔をして、、何をやろうとしていると?」
「子供の僕が言うと怒るから鉄二に聞いて」
「てめぇは子供だと、、笑えるな。マイケル様は餓鬼にも見透かされてるようだな。徹、子供のお前には聞かせたくない馬鹿な世界の話だ。こんなもんに、」
「徹、僕が怒るだと?何に?」
「お前はアルカイナ、アルカイダの下っ端のその下のグループ、けちなドラッグ売買もやるテロリストグループの社員。今度は国連ビルでもぶっ飛ばすか。だが、事がうまく運んでいない。図星だろうが、徹が言ったことは。“僕はあのナチ医者に拉致された生体実験前の可愛いウサギです”と、泣きが入ってたからな。大体、赤の他人のドクターメンゲレの所にいるのがおかしい」
「爆破するのは国連ではありません」
「素直じゃないか、マイケルさん、そうあるべきなんだ、若者はな。ただ、解せない。俺の役目だ。お袋の情報を出しに何を?俺の可愛い泣き顔見たさに情報をくれるってんだからいいだろう」
「信管。C4(プラスチック爆弾)を起爆させる、、信管になる予定でした。手に入ってれば上手く行くはずだった」
「はあ、俺が信管、、このドゴンの太鼓にはプラスチックが、、それが入ったなかった、ってか。お前は株式会社アルカイナの正社員じゃなかった。アルバイト、契約社員だった、ってわけか」
「何ですって!」
「テロリストにドゴン族の太鼓、、モーツァルトが生きていたらすげぇ歌劇にしただろうよ。プラスチックの代わりにアルカイナお取扱商品のヘロインでも入ってたら悲喜劇だ」
「なぜそれを?」
「ヘロインが入ってたのか!」
「、、、」
「アホらし、、何を意味していると思う?」
「、、、」
「気付いたか。お前の知らないとこで動いてる。当の本人は一端のテロリストになったつもりでいるが今のところ、お前はただの運び屋。その内、どこかに卸せと指示が来る。だがくじけるな、マイケルさんよ、アメリカ合衆国に潜入できたお前にはまだ価値がある、ってことだ。アルカイナ社のえらいさん達はまだ期待してるはずだ。歴史に名を残したいなら気持ちを切らさずに、腐らせず待つことだな。若いのにくだらねぇことに命を、悲しいな。見込みのないのは囮、、俺達マフィアも使う手だ。実際は別で進行、、どこだった、爆破するのは?」
「、、、、、」
「見込みのない囮、頭に来たか」
「ワシントンスクウェア」
「馬鹿な、国連ならまだ同情の余地があるだろうに、特にアメリカ合衆国代表部だけ狙えばな。ワシントンスクウェアだと、あんな平和な広場を、、」
「平和な広場ですか、山岡さんはあの場所が昔、無縁墓地だったのを知らないんですね。18、19世紀にはパークの北西にある楡の木でギロチンをやってたんです。今でも一万人以上が土になって眠っている。その昔は湿地帯で鴨撃ちにハンターだけが来る寂れた所だった。
その上でバスケット、ミュージック、滑稽ではないですか。無縁墓地ではしゃいでいる。モーツァルトに教えてあげたいぐらいだ。とんでもないレクイエムでも出来そうだ」
「昔、当然だろうが。奪い合い、殺し、どこでもそんなのありだ。それで今が成り立っている。お前はまだその世界に住んでるようだな」

2009.06.21 


Secret