8:わいぎぎ亀は亀・ スーツケース行方不明

8:スーツケース行方不明

鈴木:  腕をまくった時、見ました?
ゆかり: 何をよ?
鈴木:  刺青ですよ。やっぱりあの“てきや”ですよ。
ゆかり: 違うとさっきから言ってるでしょう?何よ、あなた。パパのオジーちゃんが日本人で、、、かにーじゃが責任者で、、なに、、日本語忘れています?、、、、ひどいわね。私、絶対に許さないわ。
鈴木:  ゆかりさんも、韓国人とか言って。(苦笑しながら)ウンコにフンコ。ウイルスもなかなか。
ゆかり: ウイルスもなかなか?どういうことなわけ?あなた達何か企んでいるわけ。ウイルスはわざとうんこ、、ふんこって言ったわけ?あなた達は私に刃向かっているわけ!
鈴木:  とんでもないです。何を言うんすか?ウイルスがうろたえていたのを見たでしよう。演技であんなことやれますか。話は変わりますが、日本からメッセージが来てたんすか?
ゆかり: 、え、、そうよ。

ゆかり、少し狼狽気味。Fax着信の音。鈴木すばやくFAXを取って読む。

鈴木:(楽しそうに)これは大変だ。また、またもめそうですよ。オフィスからです。読みますね。

ナガタヒデヨシ御夫妻、明日午後1時ヴァンクーバー経由でホノルル到着予定。エアカナダ106便、計4名。アライバルナンバー11。大切な御客様に間違いのないように。

鈴木: ナガタヒデヨシ?大物の名前、どこに泊まるのですか、、何も書いてませんね。ここ@ホテルのフロントは何も言ってなかったし。息子のテキヤはXホテルだし。確認したほうがいいんじゃないんすか?
ゆかり: なぜ親子だって分かるわけ? 
鈴木:  カナダ経由でこちらに来るって、何で真っ直ぐこっちに来ないんすか。多分かなりの大物ですよ。つい最近ラスヴェガス空港で拒否されたヤクザの親分が新聞に載ってましたけどこの親分もブラックリストに載ってるんで直接アメリカ入国できないんすよ、だから第三国のカナダ経由に。
ゆかり: 答えになってないでしよう!

ウイルス、急ぎ足で帰って来る。

ウイルス: ミスターナガタ、ジャパニーズギャング、、ヤク、、ヤクザ!すぐ探さないと僕の指の爪を剥いで積み重ねる、と言った!結婚式で着る服とかアクセサリーとかいろいろ入ってる!今日、衣装合わせの時間にスーツケースが必要なんだ!
ゆかり:  どうしたのよ!何言ってるの。落ち着いて話せないわけ。指の爪とスーツケースがどうしたわけ?
ウイルス: スーツケースが届いてない!僕の指の爪を、、積み重ねるらしいんだ!
ゆかり:  スーツケースは一緒に来たんじゃないわけ?
ウイルス: ナガタの荷物、何も届いてない、荷物係言ってる。
鈴木:<指の爪を積み重ねる?指の爪を積み、、何だそれ、、指の爪を積む、、?>あああ、そうか。それってあれだろ指を詰める、ってことだろ。ヤクザ用語で、指を切り落とすことだよ
ウイルス: まじ?え!大変だ!ポリスに訴えよう!ここじゃ犯罪だ!
ゆかり :(あわてた様子で)ちょっと待ちなさいよ!社長の大事なお客様よ。それは駄目。とにかくスーツケースを探すのが先よ

ゆかり,Walkieを取る。鈴木、ゆかりを見ている。

鈴木: <社長の客?、、、、>
ゆかり: エアポート、アキ、カミン!エアポート。アキ、カミン!エアポート、アキ、カミン!アキ!!!聞こえてんだろう!早く出ろ!
   
ウイルス、鈴木、びっくりして顔を見合す。

アキ: 何よ?お客さんに聞こえる!うるさいわね
ゆかり: アキ、スーツケースが届いてないの!ノースウエスト10便アライバルナンバー6。アーリ-チェックインのミスターナガタ。どうしてお客様の車に荷物が乗ってなかったわけ!アーリーチェックインのお客さんの荷物はお客さんと同じ車でホテルまで運ぶんじゃなかったわけ!
アキ:  あ、それーね、お客さん悪い!ミスターナガタって大きな声で呼んだのに知らん振り。ナガタさんですか、って何度も確認した。何聞く?うるさい、俺じゃない。人違い。勝手に白のリムジーン強盗して行っちゃった。荷物も何もない。家の運転手のトニーさん、待ってたのにすっぽんがすっぽんぽん。だからミスターナガタのスーツケース確認できないでしよう?さっきスタンバイの報告遅れたのはこれ。私たち悪くない。
ゆかり: 悪いのよ!さっきなんでそれ言わなかったわけ!
アキ:  言おうとした!あなたの話し方何。わたし、筋肉はない。悪いのはあなた。
ゆかり: まー、なんていう子なの!
鈴木:  (つぶやき)<筋肉がない、、、、筋肉がない、、、きんにく、、、がない、、筋肉、、気に食わないか、、?か?、それに何だった?。強盗ですっぽんがすっぽんぽん、、すっぽんがすっぽんぽん、、?>やめた。わかんね。
ウイルス: (小声で頼むように)ゆかりさん、怒らない、スーツケース、スーツケース。
ゆかり: で、、、荷物はどうなってるの!見つかったの?
アキ:  移民局の手続き終わった。何も言わず大声で笑いながら勝手に出て行った。スーツケース、スリーって書いてあるけど確認できなかった。そっちで聞くね!
   
ウイルス、ゆかりからWalkieをむしり取る。

ウイルス: アキ、僕の指あの世消える!スーツケース、そこにまだあるか調べろ!
アキ:  ウイルス?あなたも大変。ゆかりと仕事するなんて、何?何で指があの世よ?
ウイルス: いいからミスターナガタのスーツケース探してくれ!ノースウエスト10便の荷物、空港まだいるでしょう?
アキ:  さー、わからない?
ウイルス: 何それ!!そんなことすぐわかること!オカンが爆発しそうだ!
アキ:  何でおかんが爆発!あなたのママは爆弾!わかるように言いなさい!ダミッット!荷物はそっちで探すね。ノースウエスト10便の荷物なんてもう出てる。何時だと思ってるの!
ウイルス: 僕のママの話するな!オカンじゃない!コカンだ!
アキ:  もうこっちに10便の荷物はないわ!!! 

アキ、Walkieを切る。

ウイルス: あ、、、。
鈴木: (横でつぶやく)<何で、コカンにオカン?、、爆発する?コカンが爆発するのはわかるが、、、>アカンなこれ、もしかして“やかん”のことか?さっきからわからねえ日本語でよく意味がよく通じるな、こいつら。
ゆかり: 観光してランチを食べる通常のノースウエスト10便のツアー客の荷物と一緒になっているわけよ。ウイルス、スーツケースの特徴を各デスクに伝えてラゲジルームをチェックしてもらいなさい。
ウイルス: 特徴?、、スーツケース3個しか聞いてなかった。ミスターナタに聞くの嫌だな。鈴木、頼む
ゆかり:  そうよね、あなたさっきから何もしないで“うえのそら”でぶつぶつ言ってるだけよね。あなたが聞きなさいよ。
鈴木: “うえのそら”でぶつぶつ?、うえのそら、、?うわのそらじゃないですか?なんかおかしくなりそう。はい、わかりました。仕事します。一応電話で聞いてみます。

  鈴木、受話器を取る。

鈴木: ヂスイズ カメハメハツアーズ。プリーズコネクトミ、ミスターナガタ サンキュー
   
しばらくして

ながた: かめはめ?荷物はいつ着く?
鈴木:  はい、ながた様が空港スタッフの指示通りにしていただいていたらもうそちらにあるはずなんですが、こちらが荷物を確認する前に出られたらどうしようもないわけでありまして、まだ空港にあるやら、どこかの荷物に紛れて御旅行中かもと判断しかねているところで懸命に捜索隊を作りまして探しているところでございます。早く探し出すためにも数とスーツケースの特徴を確認したいのですが。
ながた: 何だとその言い方は?お前はさっき急に日本語が上手くなったりする6世の6ちゃんか?俺より日本語ぺらぺらしゃべれるじゃないか!いい加減にしろよ
鈴木:  6ちゃん?はい、そうでございます。商売柄長くやっていますと使用する言葉はほとんど変わりませんので暗記しているぐらいにすらすらと出てきます。しかし、話題が逸れまーーすともうお手上げーーでがございます。
ながた: でがざいます?気に食わねぇ野郎だ。いいか、、空港スタッフだと!どこにいたんだ、そんなのは!いなかったよ。
鈴木:  スタッフが申しますには、何度もながた様をお呼びしても知らん振りで、人違いだ、と言って用意していた黒のリムジーンに乗らずに勝手に駐車していたリムジンに乗っていってしまった、と。
ながた: (呟くように)ながた、、、あーーー、、、“ながた”って言われたからな、、、。
鈴木:  え、、ながた様どういたしました。お名前はながた様で、、、すよね?
ながた: そう、そうだ!何が聞きたいだと? 
鈴木:  スーツケースの数は3個でよろしいでしょうか?
ながた: そうだ。
鈴木:  大きさは?
ながた: 80*50ぐらいかな?
鈴木:  メーカと特徴を教えていただければ。
ながた: 待ってろ。おい、、じゅんこ、代わってくれ。メーカーに特徴だと
じゅんこに代わる
じゅんこ: 困るの、早く見つけて。スーツケースの特徴?。え、、、、、、
鈴木:   色は?
じゅんこ: 赤に黄色に、、、
鈴木:  青でしょうか?
じゅんこ: ま!どうしてわかったの?
鈴木:え、、、勘です。
じゅんこ: 驚いた。赤がなかったので塗ったのよ。
鈴木:   ああ、、そうですか。メーカはどこでしょうか?
じゅんこ: サムソナイトよ。
鈴木:   何か目印になるようなものは?ありませんか?どらえもんのシールを貼ってあるとか。ペットの猫ちゃんの写真を縫い付けてるとか。
じゅんこ: 青にK、赤はFBIのF、黄色はCIAのCのワッペンを貼ってあるの。スーツケースの手を持つ所。大きさは500円玉ぐらい。
鈴木:   警察、FBI、CIA、、の頭文字ですね。でも、どちらかというと赤が警察じゃ?
じゅんこ: ふふふ、、外れ。訳はいえない。
鈴木:   は、あああ、、言わなくてもわかりました。ケンタッキーフライドチキンでしょう?
じゅんこ: あら、よーーくわかったわね!
鈴木:   KFCですからね。いえ、どういたしまして、で、、大きさは3つとも80*50でいいんでしょうか?
じゅんこ: そう、そのぐらい。
鈴木:   荷物には名札を付けていらしゃいます、、、よね?
じゅんこ: 主人が書いて付けた。でも驚いた、中身まで知ってるんじゃないでしょうね。お金なんて絶対に入ってないわよ!
鈴木:  中身までは、、まして大金が入ってるなんて、、、、。(受話器からじゅんこのびっくりした声。あら、、!)かしこまりました。見つかり次第、すぐお届けいたしますのでお待ちください。

Theme: 戯曲
Genre: 小説・文学

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