with a little help from Stranger


46:大福


花子さん、徹、俺、キッチンのテーブルで彼女が買ってきたチャイニーズのテークアウトを食べている。
おかしい、初対面なのにいつものルティーンって感じだ、一人でいることが多い俺にとってかなり息苦しいシチュエィションなのに。おまけに、苦手な、かん高いトーンの餓鬼と女性だ。
花子さんの言葉も少ない。だが初対面は変な感じだった。
半開きの状態でドアノブから手が離れなかった。記憶を辿っているかのようだった。
チャイニーズテークアウトが入ったプラスチックバッグが彼女を現生に戻そうと、、記憶も支えきれなかった、勢いよく床に落ちた。
スープが床を這い、彼女のスニーカに達した。それでも花子さんの動作は鈍かった、まだタイムスリップ中だ。
GOが彼女に伝えたことじゃない、多分、俺の顔、、徹と似ていると、俺が感じたような。
デザートは緑茶に大福、大福は半ジャパニーズなのに日本のことを何も知らない俺の為にいつも日本食でもてなしてくれたGOのお袋さんの大好物だ。
なぜ彼女が、今、、


「あなた狙われているの」
大福に齧りつくと同時にいきなり来た。ひどいタイミングを選んだものだ。
喉に詰まった、もう出て行け、と聞こえた。
さっき感じたものは何だったのだ。へこみそうになった。

「すみません、すぐ出て行きます。マイケルにどうしても会いたかったものですから。あなた方を巻き添えにするのではと考えたのですがどうしても彼に、申し訳ありません。彼から連絡があったら知らせて欲しいのですが」
「何をそんな、そんなことじゃないわ。GOの部屋を使ってここに居ていいのよ。巻き添えなんて、そんなこと考えなくて。ここでは起きない、そんなこと起こさせない、信念があるから」
「信念、、ですか」
「何事も受け入れるわ、、」
「はあ、、、」
「ペレの神って知っている?」
「いえ」
「ハワイ島の火山の神様。最近ここの共同生活者のKISSがマウナロアから3個の石を持ってきておかしなことが続いているの。石は彼女の体の一部だから黙って持ち帰った人に災いを起こすらしいわ。この子は彼女が私達を試していると思っているようだけど。実際、どんな人間なのか化けて試すらしいわ」
「試す、、俺が、、その神様の化け物ですか」
「あら、、化け物だなんて、、御免なさい。話がそれてしまったわ。マイケルからは必ず連絡があるわ。ここに居なさい」
「、、連絡だけで結構です」
「鉄二、隠す事ないよ。ここに居れば安全さ」

春巻きを頬張って俺の目を徹が直視している。
切れっ端が今にも口から落ちそうだ。なのにまた喋った、、案の定、落ちた。
「マイケルはいい加減さ。いつ来るのか分からないよ。会いたいのならここに居たほうがいいよ。色々と知りたいことがあるんでしょう」
「何?知りたい事?何が分かる?お前に、、花子さん、どうも、言葉遣いは綺麗な方ではないので勘弁してください」
「お前でいいよ、俺、、僕」
「俺、、ふざけやがって」
「この子は私達より少し広い世界に住んでいる。別のものを感じ取れる。コルベの、私の亡くなった夫よ、彼の家系に魔女狩りで亡くなった人がいるらしいの。多分、徹と同じような世界にいたのだと思う。当時は困難だった」
「魔女狩り、、お前、俺の知りたい事ってなんだ?言ってみろ」
「マイケルに聞きたいんでしょう?」
「だからそれは何だ?お前に分かるのか?」
「、、、、、、、」
「どこまで分かるんだ?」
「どこまで?もち、分かるとこまでさ」
「教えてくれ」
「何をさ?」
「お前が知ってること」

徹が花子さんを見た。どこまで話していいの、、と見て取れた。

「あなたの家系にポーランド人かヨーロッパの人はいない?」
やはり彼女も何かを感じてたんだ。

「母がシチリアで亡くなってます。他に身寄りは、、親父はジャパニーズ、生存中」
「シチリア?イタリア、、お母さんが亡くなったのは何年?」
「俺が生まれてすぐ、、多分、1976か77」
「多分?お母さんが亡くなった年を知らないの?」
「人伝に、、彼女の事は何も、、なぜマフィアでここに居るのかも、、ここに連れられてきたのは微かに覚えてますが、2,3の時だったかな」
「そう、、最初、あなたを見た時、驚いたわ。コルベの祖父に似ていたの、それに、この子、徹にも。祖父には十離れた姉妹がいた。ナチス占領下のポーランドよ。妹が夫コルベの母クララ、お姉さんがエリザベス、彼女、1943年に忽然といなくなったの。以来、行方が分からない」
「ナチス、1943、、お姉さんは何歳で行方不明に?」
「17歳の時」
「、、、、、、51、、違うな、77年としても、、これまで母のことを、どんな人だったのか、なぜ亡くなったのか、情報を探しました。何も、シチリアには痕跡も残っていなかった。彼女の名前すら知らないんだから当然でしょうが」
「お父さんには訊ねていないの?」
「会ったことも、、ジャパンの広域暴力団組長らしいです」
「暴力団、、マフィアに暴力団」

ささやき声がした、、似ていた、GOのお袋さんの、、
「あなたのお母さんはエリザベスの子ども」

テーブルに大福の破片、無残な形をしている。俺の歯はのこぎりか、、、





2008.10.24 


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