42:With a little help. angel of waters

with a little help from Stranger


42:angel of waters

レノックス病院目指してセントラルパーク内を東に向かって歩いた。
GOとピコに会えるのは今しかない、そう感じた。この数日ひどく疲れた。手足どこじゃない、首根っこ、体中を紐で縛られ上から誰かに操られている。
マイケル、メンゲレ、約束を二度すっぽかされたあげくボスとメンゲレが、ガンビーノ・ドンはお見通しだった。騙し合い、、もうこの稼業もうんざりだ。
ジャパンにでも行ってみるか、一度も会ったことがない親父に、、暴力団の組長というのは気になるが。

レノックスヒル病院が目に入った。パトカー、警官の姿があった。
病院内は騒がしかった。マスコミに警官、それにFBIらしき連中が廊下の片隅でひそひそ話をしている。

受付でセントラルパークから搬送されてきた人のことを聞いた。
聞き耳を立てていたのかIBFの連中が俺を見た。
受付の女性が教えてくれた緊急救命室に向かった。

救命室前で嗚咽しているピコの肩を優しさと愛おしさで包んでいるGOを廊下の外れから遠巻きに見ていた。長年連れ添っている夫婦という感じだ。
GOの携帯をメンゲレに教えたのは昨夜、別れて七年は経っている。ここに辿り着くまで遠回りはしたが無ではなかったようだ。お似合いのカップルだ。
メンゲレさんよ、これだったんだろうあんたが望んでいたのは。

警察官が二人、廊下をこちらに向かってくる、その後ろに先ほどの内助話のIBFの連中。
やばいな、うまい具合にピコの背中越しにGOの目と交差した。
こちらに来るように目配せした。
警察官は通り過ぎていったがIBFの連中は数十m後ろで立ち止まって見ている。

まさかの再会がこんな形になるとは、毛虫捕りから始まった朝だ、なんでもありか、この世は。
ワシントンスクウェアで出くわし時はそう感じなかったがGOも老けた。どんな童顔でもそれ相応の年輪は刻むってことか。
ピコとも目が、、もう大人になっていた。以前の彼女は不自由な右足を気にして歩きがぎこちなかった、今はどうだ、そんなことなど全くかまっていない。どっしりと揺るぎない、生半可じゃあ動じない芯の強さが、彼等は成長していた。
無じゃないな、何事も、その時は上手く行かなくても、ちゃんと、おまけが付いて返ってくる。
悩め、とことん落ち込め、苦労しろ、結局、帳尻は合う、いや、それ以上のものが、ってことか。
俺は、、駄目だな、どうしても過去に戻っちまう。

「鉄二、駄目だった」
「そうか、、」
「心臓まで達していたらしい」
「そうか、、ピコ、久しぶりだな。こんな形で再会するとは。お父さんは残念だった」
「ありがとう、鉄二。あなたでしょう、お父さんにGOの携帯を教えてくれたのは」
「よかったな。道草はしたが落ち着く所にはまったようだ」
「、、、、、」
「鉄二、おまえ会ってたのか?」
「、メンゲレとか?悪い、ピコ、呼び捨てにして」
「いいの」
「ピコ、悪いがGOと二人で話したい」
「お願い、私も、どんなことでもいい、お願いよ。もうお父さんはいない。知りたいの」
「ここを出よう、IBFの連中が目障りなんでな」

15分後、72丁、セントラルパーク・イーストで車を降りて公園に入った。
ピコはメンゲレが亡くなったストロベリーフィールズにどうしても行きたいと言ったが、俺はそこまで付き合うのは御免だったので途中のベスェスダ噴水(Bethesda fountain)のベンチで勘弁してもらった。
病院にいたIBFが二人、遠巻きにこちらを見ている。

「メンゲレさんとは数回電話で話した。昨夜、会うつもりだったがすっぽかされた。その時おまえの携帯を教えた」
「同じファミリーじゃないのになぜ会おうと?」
「メンゲレさんからあることを提案された。俺のボスが乗った。多分、死んだろう、大体、同じ時間に狙撃されたと、リトルイタリーでな、メンゲレさんと」
「おまえのボスが殺された?メンゲレさんと同じ時間?どういうことだ、鉄二?」
「おまえに言っていいものか」
「言えよ。このままじゃあたまらん。ピコも聞きたいはずだ」
「、、ガンビーノのドンを殺そうと提案された。その準備を始めた矢先だ」
「ガンビーノのドン?私の本当のお父さんを行方不明にしたドン・ゴメス?」
「明日、明後日にもメンゲレさんはドンを殺すつもりだった」
「そんな、私には一言も、、、、、ああ、、あの電話は、」
「どうした、何か知っているのか」
「約一月半前、夜中の一時半頃、変な電話が、、誰かがお父さんを脅していた。偶然、聞いてしまった、“ドン殺しを忘れたのかと思って”と相手が、お父さんは“ドンの夫人、カテリーナが尻の脂肪を取る整形手術を受ける。約一月フロリダの病院に入院する予定だ。ドンを爆破させる”と」
「一月半前?」
「ええ」

誰だ、どこのファミリーだ。

噴水のセンターに大きな羽を広げた女性天使の銅像、右手は水を清め、左手にゆりの花、その下に、中庸、平和、純粋、健康を象徴する4人の天使(angel of waters)。
餓鬼が数人、手作りのヨットで遊んでいる。
ここは、騙し合い、殺し合い、争い、無縁の世界、、こうあって欲しいと、どんなどす黒い奴でも感じる、ここを離れるまでは。

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