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40:With a little help.しり切れトンボ

with a little help from Stranger


40:しり切れトンボ



籠の中にムカデが60匹、4人の部下が石の下、橋の下を覗き込んで捕まえた。
早朝に呼び出されてセントラルパークでこんなことをやらされるとは。
ボスはメンゲレの話に乗ったようだ。
珍しく真顔で、
「毛虫、ゲジ、なんでもいいから100匹、今日中に捕まえてこい」
「ガセネタだったら肥だめに頭を突っ込んで死にたくなりますよ。多分、一生、いや、永遠に語り継がれるでしょうから。ゴキブリならここの住人なので冗談だと思うでしょうが」
余計な事を言ってしまった。
いきなり鳩尾に右フックが入った。
「鉄二、お前がドンを殺るか?ディマッジョのジョン達がパレルモ、ガンビーノ一派、インツェリッロボス、ヴィットリオを屋敷内にあるサンジオバニ教会ごと朝のお祈り中に吹き飛ばす。レバノンのヒズボラ(神の党。イスラム・シーア派過激組織)の爆弾でな。あっちもその気だ」
「急に感じたものですから。メンゲレにデイトすっぽかされてそんなに経っていないものですから」
「いけんのか」

別れ際の言葉で俺への怒りは右フックで鳩尾に沈んだと感じた。だが、最後の言葉が、、しり切れトンボだ。
「教会をイスラムの爆弾で吹き飛ばすとは、鉄二、とんでもない世の中だな。宗教戦争、俺が起こしそうだ、もう起きてるか。ジョンの話だと、ヴィットリオの爺さんの教会はモスクの形をしてるらしい。シチリアは300年近くアラブ人に占領されてたんでな。遺跡はなんでもあり。スペインのハブスブルグ、ブルボンの庭、バロック宮殿、仏ゴシック教会、古代ギリシア、古代ローマの墓、神、王の大理石、銅像、寺院の残骸、アラブ人のモスク。
鉄二、いいかよく聞け。おまえも一応、シチリア生まれだ。覚えてろ。この3000年の間、シチリアは他民族、他宗教に何度も侵略されて従属させられてきた。その歴史の長さがよ、抑圧、倦怠、絶望となってな俺達の心奥深く巣くってる。おまえの中にもだぞ。俺達が殺し合うのは救済だ。ドン・ヴィットリオ爺さんのは毎朝の祈り、、馬鹿な事を。おまえの一族は、、、、、、、。鉄二、早いとこ毛虫取りに行け」

何を言おうとした、、俺の一族、お袋の一族、ジャパニーズ暴力団組長の親父と何が、、糞!あの糞マイケルに会わんと真相はわからんのか。
だが、なぜこんな馬鹿なことにボスは、、親友の仇だと、今時流行らんことを、、何があんだ、メンゲレさんよ。今日中に100匹、ガンビーノと戦争だな。、これか、マフィアの戦争、確かピコの足も抗争の流れ弾で、、だが、メンゲレはお抱え医者だ、それもガンビーノ。

午後二時、78匹集めたところでセントラルパークを出ようとした。
ここらでいい、後はゲジでも事務所で探そう。
何度もボスの携帯にかけたが繋がらない。

ストロベリー・フィールズに差し掛かった時、人だかりが見えた。警官、救急隊員が見える。
WOMEN'S GATE(W72丁、セントラルパーク入り口)手前でストレッチャーを押す救急隊員の叫び声が響いた。
「通してくれ!急いでる!通してくれ!」
ストレッチャーに横たわっている人に話しかけていた、名前を聞いている。
顔半分を覆っていたシーツが風でめくれた。
お年寄りだ、どこかで見た顔、、

「ジョセフ、、、メンゲレ、、、、ピコ、、、、」

声が、かすかに、、唇がそうささやいて、、メンゲレだった、あの写真の。

「何があったのです!」
「後ろから背中!どいて!」

胸騒ぎがした。ボスの携帯は相変わらず駄目だ。事務所にかけた。

「鉄二さん!ボスがリトルイタリーで撃たれました。30分前です!」

どうなってる、メンゲレとボスがおなじ時間に。
救急隊員を追いかけていた。

「老人を知っている!どこの病院です!」
「彼の名前は!」
「ジョセフ・メンゲレ、医者!病院は!」
「レノックスヒル(Lenox Hill)!かなりあぶない!君は身内の者に知らせてくれ!」


「ピコ、お父さんが怪我をした。すぐにレノックスヒル病院に行け」
「え、、、!!誰なの?」
「鉄二だ、、急げ!」
「そんな、、大丈夫なの、、、どこの病院、、」
「レノックスヒル、、イースト70辺りだ!急げ!」

「GO、すぐにレノックスヒル病院に行け。メンゲレがやばい。ピコもそっちに向かっている」
「何、鉄二か、、もう一回言ってくれ」
「レノックスヒル病院に行け。イースト70辺りだ。メンゲレだ、、ピコもそっちに向かってる。急いで行け!じゃな」

毛虫をぶら下げた部下達が小走りで来た。
「鉄二さん、どうしたのですか?急に走り出して何かあったのですか?」
「毛虫なんぞ放り投げろ!おまえらボナンノはやばいぞ。ボスがさっき殺られた。逃げるなり、なんなり自分で考えて動け、いいな」

足は勝手に動いていた。別のことを考えているやけに落ち着いた自分がいた。

“おまえの一族は”、、ボスの、しり切れトンボの、、しり切れトンボ、、尻尾を切って草、枝を押し込んで飛ばす。本当かよ、そんなこと俺達はやれるのか、よ。
マフィアの俺がよくも、言える、、カオスだな。







テーマ : 連載小説
ジャンル : 小説・文学

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Author:dorock osamu
今の社会、右、左はないのでしょうが、どのような状況であれ、妥協せず、批判的な目だけは持ち続けたい人間です。お付き合い頂けたらありがたいです。

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