18:With a little help .見張り
with a little help from Stranger
18:見張り
いつもの日曜日だ、誰もいない診療所に一人、、これからやろうとしていることをピコには気付かれたくない、、日曜日になぜ診療所に、、、と小言を何度聞かされても。
もう一週間にもなるのにアロイから連絡がない。あせっていた、コロンボ・ファミリーボス、トーマス・ブシェタとの約束の期限が迫っている。早くドンを殺さないと、、
緑が濃くなったセントラルパークを七階から眺めていた。クラクションの音と鈍い衝突音がした。通りで双方のドライバーが降りてきて向かい合っている。
1ブロック先で六月の穏やかな日差しを浴びて、あのホームレスがベンチで仰向けの姿勢で伸びている。この数日何度も見かけた顔だ。
ジーパン姿に靴は汚れて黒ずんでいる。黒っぽい長めのシャツの左下に、CKJEANS、その上にCALVIN KLEIN(カルバンクライン)のロゴ、目はこちらを向き、いつもの姿勢、、右手を枕にしてシャツの胸元をはだけ、左手がだらしなく地面に垂れている。
胸元から何かが光って路上に転げ落ちた。それを取り上げようと上半身が起きた。
机の引き出しから双眼鏡を取り出した。
携帯電話だ、、ホームレスが?やはり監視されている、、アロイの差し金か、、、、それともブシェタ、、、、ドンか?
今、置かれている状況に身震いした。アロイがドン殺しに加担するのか読めない、、、彼等を手玉に取れるだろうか、、もしドンに知れたら、、。
また身震いした、、、死ぬ覚悟は出来ているのに、、
3時40分、紙袋にポップコーンを一握り入れて診療所を出た。
ストロベリー・フィールズの西側に位置する“WOMEN'S GATE(W72丁にあるセントラルパーク出入り口)”から入ってポンペイのモザイク横のベンチに座った。モザイクのセンターに"IMAGINE"が刻印されている。広場は観光客で溢れ、いろんな国の言葉が飛び交っている。
膝の上に紙袋を置いて、ポップコーンを食べながらホームレスが現れるのを待った。
案の定だ、WOMEN’S GATE脇の木陰に身を隠して観光客に視線を走らせている。
東洋系の若者がバニラアイスクリームのコーンを手に自分のすぐ横に座った、ジャパニーズだろうか。
彼の目を見ながら携帯を取り出した。
「セントラルパークのストロベリー・フィールズに至急お巡りさんを寄越してくれ!ひったくりだ!ホームレスのひったくりに遭って財布を取られた!早くしてくれ!」
「ストロベリーフィールズですね!あなたのお名前は!」
「早くしてくれ!まだホームレスはここにいるんだ!観光客を狙っている!」
「もしもし!もしもし!」
目を丸くしているジャパニーズが逃げようと中腰になった。
誰だってそうしたくなる、老人が穏やかな顔をしてのんびりベンチに座って警官を呼んでいる、、声だけ臨終間際じゃあ。
若者のジャケットの後ろのすそをしっかりと掴んだ。
「君、驚かないでくれたまえ。私はブロードウェイの役者だ。演技なんだよ、、付き合ってくれないだろうか、、どうもこのパートは一人でやるには苦痛でね、、変身できなくなったカメレオンの心境なんだよ、、、、わかるだろうか」
目を丸くして見つめたままだ。どうしたものか思案しているという感じでもない、困った、英語が理解できないでは、、、もう警官が来る。
「ここの役者は本当に警察に電話するのですか、、、、驚きました」
よかった、理解してくれている。
「そうなんだよ、、、右横、30度の角度にホームレスがいる。見えるかい?」
「え!、、ええ、」
「もう警官が来るはずだ、財布をひったくったのはあのホームレスだ、と言って欲しい。そう言ってくれたら100$払うよ」
「本当ですか?でも、みんな嘘なんでしょう?」
「よく気付いたね、もちろんだ、、あのホームレスもこれから現れる警官もすべてブロードウェイの役者だ。だから気兼ねなくおおげさにやって欲しい。役者になったような気でね」
「そうですか、、、それならやりたいです。でも、、それだけで100$なんて」
「これはギャラだと思って」
二人の制服警官が急ぎ足で広場に入って来た。
若者がホームレスを指差しながら警官に説明している。
ホームレスがゲート出口に向かって走り出した。
イラク人のマイケル(Mikhail)はケネディ空港に降り立った。
アフリカで知り合った花子さんの住所のおかげで疑われることもなくイミグレを通過できた。
ここまではすべて計画通りだ。
18:見張り
いつもの日曜日だ、誰もいない診療所に一人、、これからやろうとしていることをピコには気付かれたくない、、日曜日になぜ診療所に、、、と小言を何度聞かされても。
もう一週間にもなるのにアロイから連絡がない。あせっていた、コロンボ・ファミリーボス、トーマス・ブシェタとの約束の期限が迫っている。早くドンを殺さないと、、
緑が濃くなったセントラルパークを七階から眺めていた。クラクションの音と鈍い衝突音がした。通りで双方のドライバーが降りてきて向かい合っている。
1ブロック先で六月の穏やかな日差しを浴びて、あのホームレスがベンチで仰向けの姿勢で伸びている。この数日何度も見かけた顔だ。
ジーパン姿に靴は汚れて黒ずんでいる。黒っぽい長めのシャツの左下に、CKJEANS、その上にCALVIN KLEIN(カルバンクライン)のロゴ、目はこちらを向き、いつもの姿勢、、右手を枕にしてシャツの胸元をはだけ、左手がだらしなく地面に垂れている。
胸元から何かが光って路上に転げ落ちた。それを取り上げようと上半身が起きた。
机の引き出しから双眼鏡を取り出した。
携帯電話だ、、ホームレスが?やはり監視されている、、アロイの差し金か、、、、それともブシェタ、、、、ドンか?
今、置かれている状況に身震いした。アロイがドン殺しに加担するのか読めない、、、彼等を手玉に取れるだろうか、、もしドンに知れたら、、。
また身震いした、、、死ぬ覚悟は出来ているのに、、
3時40分、紙袋にポップコーンを一握り入れて診療所を出た。
ストロベリー・フィールズの西側に位置する“WOMEN'S GATE(W72丁にあるセントラルパーク出入り口)”から入ってポンペイのモザイク横のベンチに座った。モザイクのセンターに"IMAGINE"が刻印されている。広場は観光客で溢れ、いろんな国の言葉が飛び交っている。
膝の上に紙袋を置いて、ポップコーンを食べながらホームレスが現れるのを待った。
案の定だ、WOMEN’S GATE脇の木陰に身を隠して観光客に視線を走らせている。
東洋系の若者がバニラアイスクリームのコーンを手に自分のすぐ横に座った、ジャパニーズだろうか。
彼の目を見ながら携帯を取り出した。
「セントラルパークのストロベリー・フィールズに至急お巡りさんを寄越してくれ!ひったくりだ!ホームレスのひったくりに遭って財布を取られた!早くしてくれ!」
「ストロベリーフィールズですね!あなたのお名前は!」
「早くしてくれ!まだホームレスはここにいるんだ!観光客を狙っている!」
「もしもし!もしもし!」
目を丸くしているジャパニーズが逃げようと中腰になった。
誰だってそうしたくなる、老人が穏やかな顔をしてのんびりベンチに座って警官を呼んでいる、、声だけ臨終間際じゃあ。
若者のジャケットの後ろのすそをしっかりと掴んだ。
「君、驚かないでくれたまえ。私はブロードウェイの役者だ。演技なんだよ、、付き合ってくれないだろうか、、どうもこのパートは一人でやるには苦痛でね、、変身できなくなったカメレオンの心境なんだよ、、、、わかるだろうか」
目を丸くして見つめたままだ。どうしたものか思案しているという感じでもない、困った、英語が理解できないでは、、、もう警官が来る。
「ここの役者は本当に警察に電話するのですか、、、、驚きました」
よかった、理解してくれている。
「そうなんだよ、、、右横、30度の角度にホームレスがいる。見えるかい?」
「え!、、ええ、」
「もう警官が来るはずだ、財布をひったくったのはあのホームレスだ、と言って欲しい。そう言ってくれたら100$払うよ」
「本当ですか?でも、みんな嘘なんでしょう?」
「よく気付いたね、もちろんだ、、あのホームレスもこれから現れる警官もすべてブロードウェイの役者だ。だから気兼ねなくおおげさにやって欲しい。役者になったような気でね」
「そうですか、、、それならやりたいです。でも、、それだけで100$なんて」
「これはギャラだと思って」
二人の制服警官が急ぎ足で広場に入って来た。
若者がホームレスを指差しながら警官に説明している。
ホームレスがゲート出口に向かって走り出した。
イラク人のマイケル(Mikhail)はケネディ空港に降り立った。
アフリカで知り合った花子さんの住所のおかげで疑われることもなくイミグレを通過できた。
ここまではすべて計画通りだ。
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