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With a little help from Stranger

12.アルカイナ(テロ組織)

いつものように徹夜したKISSは太鼓がないのに気づいた。どこを探しても見つからなかったので徹の部屋に走った。
「徹!太鼓知らないか?」
「、、ああ、あれ、バンドの練習にキャシーが使えないかと思って昨日持っていったよ。KISS、家にいなかったから言いそびれちゃった」
「花子さんが帰ってきてからにしてくれよ。一応、俺宛に来たんだからよ、責任があるからな」
「どうせ太鼓、僕のものなんだ。そのつもりで花子さん送ったんだから、でもいいよ、KISSがかわいそうだから。練習場にあるよ、今日は行けないから明日でいいでしょう?」

俺がかわいそう、、餓鬼に言われたくない言葉だ。
「キャシーって、パーカッションやってる子か?
親父がマフィアの副ボス(アンターボス)とかいう?」
「そう言ってる人もいる。電話するから受話器持ってきてよ」

今度は受話器持ってきてよか、、王子から王様になるのも近い。

「キャシー、あの太鼓、花子さんが帰ってきてからにしてよ。もう帰ってくるからさ、KISSがうるさいんだよ。明日持ってくよ」
「わかったわ。徹、ここにあれば明日、学校帰りに寄れるでしょう。
運んで玄関に置いておくわ」
「いいよ、八ブロックもあるんだよ。無理だよ、重いんだから」
「大丈夫、もっと筋肉つけないと太鼓叩けないもん」

俺がうるさいからか、、徹も人のせいにするとこなんざ成長したものだ。千里眼に大人のいやらしさ、、当の本人の前で素直に口にするとこだけは俺と違ってまだ餓鬼だ。

キャシーは午後、八ブロック離れた練習場から太鼓を運んで玄関脇に置いた。
二日前から瓜二つの太鼓が玄関入り口脇にあったので代わりに練習所に運んだ。
六歳のキャシーには大変な仕事だった。運び終えた時、人差指の皮がむけていた。


その夜遅く、山岡鉄二はリトル・イタリーのマルベリー通りにあるキャシーの家を訪ねた。

キャシーの父、サルバトーレ・アロイはNYマフィア5大ファミリーの一つ、ボナンノ・ファミリー副ボス(アンダーボス)だった。七十を過ぎたボス、ジョウ・マルセロに代わってファミリーを仕切っていた。
鉄二はアロイの命令で太鼓を取りに来た。
中には、メデジン・カルテ(コロンビア・メデジン市に本拠を置く麻薬組織)のコカインと交換したヘロインのサンプル、約一キロが入っていた。
イタリアではヘロイン、コカインとも、キロ5万$で売買されていた。米ではコカインが1万1千$、ヘロインが25万$もした。
ドラッグに関して、NY五大マフィアは上納金だけを取ってシチリアからの新参者にまかせていた。
しかし、このうまい話にNYで一番弱小のボナンノ・ファミリーが飛びついた。
 
メデジン・カルテのコカインを、ベネズエラ、エクアドル、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチンを偽装用の積み出し地として使い、アフリカのナイジェリアを中継地としてローマ、パレルモ、カタニアまで船で運んだ。
ポルトガルの密輸ボートや入り江の多いスペインのガルシア海岸を出航した漁船団と公海上で落ち合い、荷の交換をすることもあった。

帰りの船でシチリアの盟友ディマッジョ・フアミリーが、アジア、中近東の阿片から精製したヘロインをベルギーのアントワープやオランダのロッテルダム、アムステルダム、英の港を経由してNYまで運ぶという仕組みだった。
なぜか英の港を経由する荷物は税関に疑惑を持たれなかった。
液化したヘロインをシチリア産のワインに混ぜる、トマトの缶に詰める、食肉の中に詰め込む、それらが主な運搬方法だった。
今回、アフリカの太鼓に詰めて運ぶ新しい方法をシチリアが考え出した。
鉄二は二日前に届いたそのサンプルを取りに来た。
この太鼓にはきな臭い噂があった。
アルカイナ(アルカイダの親戚テロ組織)が関わっているらしい、と。

それにしてもアルカイナだと、、もろ日本語じゃあないか、、
テロリストが五大ファミリーと仲良くお手手つないで何おっぱじめるつもりだ。




theme : 連載小説
genre : 小説・文学

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