続下はわいーい20: 光 
続下はわいーい
続下20:光
21:命拾い
22:蟹男
23:モモ
24:CIA
25:これで終わり?
26:万事休す
27:ハワイアン
28:強姦魔 米国
29:Tommy or お富さん
30:もしかして、モモは、
31:免税店・健さん
32:戸昼
33:モモ
34:衝突
35:ハリケーン
36:病院
37:別れ
38:失踪
39:モモ
40:モモとモモ
41:モモの体温
42:生き続ける
登場人物
高井ホタル:ミュージシャン
高井モモ:元不良。ミュージシャン
高井千恵子:ホタル、モモの母親
高井直人:ホタル、モモの父親。日系3世
橋本純一:東都ツアーデスク勤務
橋本明:純一の父親
荒井邦男:暴力団,宮沢組幹部,上村通商専務
上村正一:宮沢組幹部,上村通商社長
荒井君夫:上村通商部長
宮沢寅吉:広域暴力団、宮沢組会長
沢村拓司:ボディガード
マイケル・タケ:舎弟
上山義勝:ダイヤモンドヘッド・エンタプライズ社長
細川肇:上村通商ツアー添乗員
倉田寿子:留学生
結城真理:修道女
戸昼アキラ:グアテマラ・マヤ、キチェ族
ラルフ・ヨハンソン:戸昼の仲間、ココナツ運送勤務
ルイス・エンリケ:ハワイの実力者、武器商人
ダニー・レイボーン:ホノルルアドバタイザ紙、記者
はわいーい20:光
「戸昼、奴ら何もしなかったが300ないぞ」
「明日の会合を優先したんだ、成功だ。
全部が1ドル札でも、2、3万あるだろう」
「馬鹿言え、要求したのは300万$だぞ」
ラルフはバッグを開けようとした。
「サンディビーチまで待て、濡れるぞ」
ラルフが4,5束掴んだ、100$紙幣だった。
「戸昼、100$紙幣だ!」
一時間前まで殺すつもりでいた男の嬉しそうな顔を見た。
1982年、4月3日、政府軍に親父、お袋、お婆ちゃん、親族、皆撲殺された、5歳だった。
日本の旅人、橋本明が命をかけてフロリダ、パームビーチのインディアンタウンに住む親父の友達、マリアノ・イザベルの元に連れてきてくれた。
彼は既にこの世にいなかった。
1980年になってグアテマラから逃げてくるマヤの人達が急増した。
彼らの受け入れ先となっていた友達をグアテマラ軍事政権は快く思っていなかった。
CIAが暗殺に手を貸した、と8歳の頃,聞いた。
1978年からイスラエル・米が支援する軍事政権と左翼ゲリラの戦いが始まった。
マヤの人々は、左翼ゲリラには食料品を奪われ、政府軍にはゲリラを支援していると疑われた。
1978年から1985年まで、7年間で400以上のマヤの村が破壊され、百万人もの人達がキブツ化(注)で、立ち退きを強制された。
1996年までに約20万人が虐殺され、今でも3万5千〜4万人が行方不明だ。
政府軍、ゲリラ、陰で政府軍を支援した米は勿論憎かった。
それ以上にナチスに民族浄化を受けた国、イスラエルが憎かった。
ナチスのようなことを中米でやった。
軍事政権を武器、コンピュータ網の構築で支え、マヤ村を破壊し、マヤ文化の民族浄化を指導した。
広場で明とベンチに座っていた。
明は途方にくれていた。
其の時、修道女が一旦、通り過ぎて戻ってきた。
結城真理、長崎から来ている修道女だった。
13でハワイに行かされるまでの8年間、真理と過ごした。
優しい女(ひと)だった。
修道女なのにマヤという文化を尊重してくれて、宗教を一切、無理強いしなかった。
マヤ独自の文化、伝統、言葉、因習を忘れないようにと地元のコミュニティが運営するマヤ学校に自分を通学させた。
虐殺を逃れてきたマヤの人々は貧しかった。
800万のマヤ人口を持つグアテマラには、言語が22種類もあり、村、部落がそれぞれ固有の文化を持っていた。
フロリダのスペイン、ラテン共同体の人達は同族と見なし、マヤ文化を理解、尊重しようとしなかった。
マヤの人々は貧しく、背が低かったので彼らに差別された。
名前をスペイン語読みに変え、マヤを否定する人が多くいた。
そういう人達に真理は熱心に説いた、自分達がマヤだというアイデンテティを捨ててはいけないと。
彼女の活動に反感を持つグループがいた。
グアテマラ、メキシコの貧しいマヤ村から、15にも満たない少女を連れてきて、強姦したあげく売買していたグループだ。
真理はそのアジトまで行って説教した。
勇気と彼等を更正させなければと、一途さがあった。
彼女の思いは通じなかった。
脅迫状、車の傷、パンク、窓ガラス割りが暴力にエスカレートしていった。
1990年、3月ハワイに来た。
真理は自分を強引にハワイへ追いやった。
あなたは日本語が話せる。
ハワイだと仕事も容易に見つかるはずよ。
二ヵ月後、5月15日に真理が消えた、以来、行方不明だ。
前日の電話が最後になった。
誰が黒幕か分かっていた。
戸昼はマヤでありながらスペイン人になり下がった人身売買グループボスをいつか殺すつもりでいた。
「戸昼、波が高い!
サンディビーチまで行けるか?」
ハリケーンの影響で波が高くなっていた。
3m近くに達していた。
「もう少し沿岸を行こう。
ラルフ、岩が多いぞ、気をつけろよ」
思ってもいない言葉が出た。
カヤックが高波に襲われた。
水中に投げ出された。
最悪だ、カヤックとズボンのベルトを結んでいたロープが両足に絡まった。
どうあがいても自由が利かない。
水中に引き込まれた。
ラルフが背後から現れた。
首を絞める気だ、、
筋書き通りだ、俺が銃で始末するはずだったのに、
負けだ、、諦めた。
Tシャツの襟を掴んで引き上げようとした、、
助ける気か、、、
こいつに助けられようとしている。
金の入ったバッグは多分、流されたはずだ。
ラルフが金を差しおいて俺を助けようとしている、、
「戸昼、カヤックの縁にしがみついてろ!
バッグ探してくる!
サーフボードのロープに結び付けてた。
切れてなきゃ見つかる。
待ってろ!」
午前、二時半、サンディビーチにかろうじて辿り着いた。
波の高さは4mを越え、海は怖いぐらに荒れていた。
何度も流され、溺れかけた、その度にラルフが助けてくれた。
一人では無理だった。
寿子は戸昼とラルフをビーチから見ていた。
お互い、疲れきった体を労りあうようにカヤック、サーフボード、それにバッグをひきずっている。
こんなに親密な二人を見たことがなかった。
「遅いじゃんよ!
2時間もオーバーよ」
「ラルフの親父が水泳のオリンピック選手でよかった!
助けられた!」
二度と親父のオリンピックのことは言うな、とひどく怒っていたラルフが笑っている。
今まで味わったことのない心地よいへこみ具合だった。
注
キブツ:イスラエル式農業共同体
続下20:光
21:命拾い
22:蟹男
23:モモ
24:CIA
25:これで終わり?
26:万事休す
27:ハワイアン
28:強姦魔 米国
29:Tommy or お富さん
30:もしかして、モモは、
31:免税店・健さん
32:戸昼
33:モモ
34:衝突
35:ハリケーン
36:病院
37:別れ
38:失踪
39:モモ
40:モモとモモ
41:モモの体温
42:生き続ける
登場人物
高井ホタル:ミュージシャン
高井モモ:元不良。ミュージシャン
高井千恵子:ホタル、モモの母親
高井直人:ホタル、モモの父親。日系3世
橋本純一:東都ツアーデスク勤務
橋本明:純一の父親
荒井邦男:暴力団,宮沢組幹部,上村通商専務
上村正一:宮沢組幹部,上村通商社長
荒井君夫:上村通商部長
宮沢寅吉:広域暴力団、宮沢組会長
沢村拓司:ボディガード
マイケル・タケ:舎弟
上山義勝:ダイヤモンドヘッド・エンタプライズ社長
細川肇:上村通商ツアー添乗員
倉田寿子:留学生
結城真理:修道女
戸昼アキラ:グアテマラ・マヤ、キチェ族
ラルフ・ヨハンソン:戸昼の仲間、ココナツ運送勤務
ルイス・エンリケ:ハワイの実力者、武器商人
ダニー・レイボーン:ホノルルアドバタイザ紙、記者
はわいーい20:光
「戸昼、奴ら何もしなかったが300ないぞ」
「明日の会合を優先したんだ、成功だ。
全部が1ドル札でも、2、3万あるだろう」
「馬鹿言え、要求したのは300万$だぞ」
ラルフはバッグを開けようとした。
「サンディビーチまで待て、濡れるぞ」
ラルフが4,5束掴んだ、100$紙幣だった。
「戸昼、100$紙幣だ!」
一時間前まで殺すつもりでいた男の嬉しそうな顔を見た。
1982年、4月3日、政府軍に親父、お袋、お婆ちゃん、親族、皆撲殺された、5歳だった。
日本の旅人、橋本明が命をかけてフロリダ、パームビーチのインディアンタウンに住む親父の友達、マリアノ・イザベルの元に連れてきてくれた。
彼は既にこの世にいなかった。
1980年になってグアテマラから逃げてくるマヤの人達が急増した。
彼らの受け入れ先となっていた友達をグアテマラ軍事政権は快く思っていなかった。
CIAが暗殺に手を貸した、と8歳の頃,聞いた。
1978年からイスラエル・米が支援する軍事政権と左翼ゲリラの戦いが始まった。
マヤの人々は、左翼ゲリラには食料品を奪われ、政府軍にはゲリラを支援していると疑われた。
1978年から1985年まで、7年間で400以上のマヤの村が破壊され、百万人もの人達がキブツ化(注)で、立ち退きを強制された。
1996年までに約20万人が虐殺され、今でも3万5千〜4万人が行方不明だ。
政府軍、ゲリラ、陰で政府軍を支援した米は勿論憎かった。
それ以上にナチスに民族浄化を受けた国、イスラエルが憎かった。
ナチスのようなことを中米でやった。
軍事政権を武器、コンピュータ網の構築で支え、マヤ村を破壊し、マヤ文化の民族浄化を指導した。
広場で明とベンチに座っていた。
明は途方にくれていた。
其の時、修道女が一旦、通り過ぎて戻ってきた。
結城真理、長崎から来ている修道女だった。
13でハワイに行かされるまでの8年間、真理と過ごした。
優しい女(ひと)だった。
修道女なのにマヤという文化を尊重してくれて、宗教を一切、無理強いしなかった。
マヤ独自の文化、伝統、言葉、因習を忘れないようにと地元のコミュニティが運営するマヤ学校に自分を通学させた。
虐殺を逃れてきたマヤの人々は貧しかった。
800万のマヤ人口を持つグアテマラには、言語が22種類もあり、村、部落がそれぞれ固有の文化を持っていた。
フロリダのスペイン、ラテン共同体の人達は同族と見なし、マヤ文化を理解、尊重しようとしなかった。
マヤの人々は貧しく、背が低かったので彼らに差別された。
名前をスペイン語読みに変え、マヤを否定する人が多くいた。
そういう人達に真理は熱心に説いた、自分達がマヤだというアイデンテティを捨ててはいけないと。
彼女の活動に反感を持つグループがいた。
グアテマラ、メキシコの貧しいマヤ村から、15にも満たない少女を連れてきて、強姦したあげく売買していたグループだ。
真理はそのアジトまで行って説教した。
勇気と彼等を更正させなければと、一途さがあった。
彼女の思いは通じなかった。
脅迫状、車の傷、パンク、窓ガラス割りが暴力にエスカレートしていった。
1990年、3月ハワイに来た。
真理は自分を強引にハワイへ追いやった。
あなたは日本語が話せる。
ハワイだと仕事も容易に見つかるはずよ。
二ヵ月後、5月15日に真理が消えた、以来、行方不明だ。
前日の電話が最後になった。
誰が黒幕か分かっていた。
戸昼はマヤでありながらスペイン人になり下がった人身売買グループボスをいつか殺すつもりでいた。
「戸昼、波が高い!
サンディビーチまで行けるか?」
ハリケーンの影響で波が高くなっていた。
3m近くに達していた。
「もう少し沿岸を行こう。
ラルフ、岩が多いぞ、気をつけろよ」
思ってもいない言葉が出た。
カヤックが高波に襲われた。
水中に投げ出された。
最悪だ、カヤックとズボンのベルトを結んでいたロープが両足に絡まった。
どうあがいても自由が利かない。
水中に引き込まれた。
ラルフが背後から現れた。
首を絞める気だ、、
筋書き通りだ、俺が銃で始末するはずだったのに、
負けだ、、諦めた。
Tシャツの襟を掴んで引き上げようとした、、
助ける気か、、、
こいつに助けられようとしている。
金の入ったバッグは多分、流されたはずだ。
ラルフが金を差しおいて俺を助けようとしている、、
「戸昼、カヤックの縁にしがみついてろ!
バッグ探してくる!
サーフボードのロープに結び付けてた。
切れてなきゃ見つかる。
待ってろ!」
午前、二時半、サンディビーチにかろうじて辿り着いた。
波の高さは4mを越え、海は怖いぐらに荒れていた。
何度も流され、溺れかけた、その度にラルフが助けてくれた。
一人では無理だった。
寿子は戸昼とラルフをビーチから見ていた。
お互い、疲れきった体を労りあうようにカヤック、サーフボード、それにバッグをひきずっている。
こんなに親密な二人を見たことがなかった。
「遅いじゃんよ!
2時間もオーバーよ」
「ラルフの親父が水泳のオリンピック選手でよかった!
助けられた!」
二度と親父のオリンピックのことは言うな、とひどく怒っていたラルフが笑っている。
今まで味わったことのない心地よいへこみ具合だった。
注
キブツ:イスラエル式農業共同体
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