下はわいーい10: サーフィン 
10:サーフィン
12時になった。
ラルフはどうしてもリスクを平等にしたいらしい。
「橋本の声なら俺が出る。
沢村ならお前だ」
ラルフが受話器を耳に当てた。
宙に投げた。
“xか”声が浮いて悲鳴に変わった。
ガチャーン!!
「戸昼、受話器をどうして取らなかった」
「、、、、、、、、」
「しようがないな」
プッシュボタンを押して沢村の声を確認して戸昼に手渡した。
「xさんよ、どうしたんだよ!
電話線に弾ぶちこんだのか!」
きついテキサス訛りで早口で喋った。
「東都の橋本じゃないから切る」
「待て!待て!待て!待て!」
「橋本を出せと言ったはずだ!
今度3時に電話する。
また、お前なら取引は終わりだ!」
「おい、待て!待て!待て!!」
ラルフが糞を踏んづけたような顔だ。
「何だよ、やけに早いじゃないか。
300万、なぜ念を押さなかった」
「交渉事はちまちま同じことを言わないことだ」
「、、今の声が沢村だ。
戸昼、録音されたな。
これでお相子だな」
ラルフが楽しそうだ。
こんなことで楽しまれちゃあ、馬鹿な奴だ。
荒井邦男と上村正一は無表情でソファに座っていた。
初老のマネキンは珍しい。
タケは、傍観者の目だ。
人が目の前で殺されようが殴られようが関係ない、でも見たい。
「待て、待て、待ての沢村よ、やけに早かったな。
ハワイに来て日本語忘れたか?」
「申し訳ありません
東都の橋本じゃない、と切られました。
今度3時に連絡があります。
橋本が出なかったら取引は終わりだと言われました」
「強気だな」
「9時にかけてきた声と違います。
こいつは肝が据わっています。
3時に東都の若造を出さないとやばいです」
「最初の声と違うのか?」
「はい、別人です」
「、、相手は何人だ?」
「タケが騙された空港の女を含めると今のところ3人です。
なあ、タケ?」
「はい!」
「一体、相手は何人だ?
英語か?」
「はい、訛りがありましたが、」
荒井はリスクを考えていた。
今夜で取り引きが終われば宮沢会長、ルイス・エンリケに失態を知られない。
諦めかけていた会長の椅子も可能になる。
300万$は用意できた。
バブル後期に債券取り立てで面倒を見た業者が数人いた。
「3時の電話は東都の若造を出せ。
沢村、タケ、社長に住所リストもらって金を集めて来い」
アラモアナからの帰り、キャロル・キング(Carole King)のYou’ve got a friendのCDを放り込んだ。
無造作にこの曲が手に載った。
丁度よかった、今ラップは御免だ。
ラルフが一緒に歌いだす。
歌が上手いと思っている音痴ほど愚かな奴はいない。
この曲の友達は暇人だ、夢物語だ、きれいごとだ。
こんな親身になって心配してくれる友達って、、本当にいるのだろうか?
寿子がコピーした書類が無造作にテーブル下の床に転がっていた。
「どうだったの?」
ラルフが得意そうだ。
「9時に俺が300万要求した。
一人100万$だぞ。
寿子、感謝しろよ」
「で、今度の電話は?」
「戸昼が話したからよ、進展なしだ」
「戸昼、どうしたのよ」
口を開くのが億劫だ、こいつらの口にテープを5重に巻きたい。
「純一の声じゃなかった」
「で、、」
「それだけだ。
今度3時にかける。
純一が出なかったら終わりにする」
ラルフの頭にバイキングの角が生えた。
「終わりにはしないぜ!
感触は悪くない」
「何かあったの?」
「相手が橋本じゃあなかっただけだよ。
9時の男だった。
300万の一言もなく戸昼が勝手に切った」
「戸昼が話したの?
計画では、ラルフが話すんじゃなかった?
何があったのよ?」
ラルフが冷蔵庫からコナビールを取り出した。
「ラルフ、俺にもビールくれ」
「、、、、、、戸昼、これからの予定を教えて」
「3時にラルフが電話する。
沢村が出たら俺が話す。
出方によっては取引を止める。
純一が出てきた時は、夜の10時が取り引き時間だ」
「変わったのか、8時じゃないのか?」
「遅いほうが好都合だ。
8時のカピオラニ公園はまだ人が多い。
知り合いに出くわしたら終わりだ。
ラルフが桟橋で金と交換してダイヤモンドヘッド沖3k、ブラックポイントにサーフボードで向かう。
俺は離れてカヤックで付いていく」
「なんだ、ブラックポイントで落ち合わないのならそのままサンディビーチに行こうぜ」
「ワイキキから見えないとこまで沖に出ないとな、方向が分かったら奴ら車で追っかけてくる」
「俺が金持って遁ずらすると不安になったか」
「ラルフ、こんな時に何を言ってるのよ!」
「よく分かるな、それが一番だ。
2番は、10時過ぎの海上は暗い、見失う恐れがあるからだ。
3番は、3k沖合いに出なくてもビーチが見えなくなったらサンディビーチに行ける。
ラルフ、まだ何かあるか?」
「戸昼、いいから続けてよ」
「カヌーはカパフル図書館脇のアラワイ運河に友達が午後6時までに運んで置いといてくれる。
9時半過ぎ、俺と寿子は俺のダッチでカヌーをカピオラニの水族館裏まで運ぶ。
寿子はラルフがサーフボードでビーチを離れたのを見届けてサンディビーチに向かってくれ。
俺は、水族館から3、400m離れた海上から成り行きを見ている。
大体、10時30過ぎに俺たちはワイキキを離れる。
サンディビーチには、夜中、12時前後に着く。
二人ともなるべく目立たないようにな。
特にラルフ、なるべく人に会わないようにな。
寿子はカピオラニでパンチに見つからないようにな」
「300万$、どうやってサーフボードに載せよう、、
濡れないようにしないと、、」
ラルフは、もう300万$背負ってサーフィンしている。
ご苦労なことだ。
12時になった。
ラルフはどうしてもリスクを平等にしたいらしい。
「橋本の声なら俺が出る。
沢村ならお前だ」
ラルフが受話器を耳に当てた。
宙に投げた。
“xか”声が浮いて悲鳴に変わった。
ガチャーン!!
「戸昼、受話器をどうして取らなかった」
「、、、、、、、、」
「しようがないな」
プッシュボタンを押して沢村の声を確認して戸昼に手渡した。
「xさんよ、どうしたんだよ!
電話線に弾ぶちこんだのか!」
きついテキサス訛りで早口で喋った。
「東都の橋本じゃないから切る」
「待て!待て!待て!待て!」
「橋本を出せと言ったはずだ!
今度3時に電話する。
また、お前なら取引は終わりだ!」
「おい、待て!待て!待て!!」
ラルフが糞を踏んづけたような顔だ。
「何だよ、やけに早いじゃないか。
300万、なぜ念を押さなかった」
「交渉事はちまちま同じことを言わないことだ」
「、、今の声が沢村だ。
戸昼、録音されたな。
これでお相子だな」
ラルフが楽しそうだ。
こんなことで楽しまれちゃあ、馬鹿な奴だ。
荒井邦男と上村正一は無表情でソファに座っていた。
初老のマネキンは珍しい。
タケは、傍観者の目だ。
人が目の前で殺されようが殴られようが関係ない、でも見たい。
「待て、待て、待ての沢村よ、やけに早かったな。
ハワイに来て日本語忘れたか?」
「申し訳ありません
東都の橋本じゃない、と切られました。
今度3時に連絡があります。
橋本が出なかったら取引は終わりだと言われました」
「強気だな」
「9時にかけてきた声と違います。
こいつは肝が据わっています。
3時に東都の若造を出さないとやばいです」
「最初の声と違うのか?」
「はい、別人です」
「、、相手は何人だ?」
「タケが騙された空港の女を含めると今のところ3人です。
なあ、タケ?」
「はい!」
「一体、相手は何人だ?
英語か?」
「はい、訛りがありましたが、」
荒井はリスクを考えていた。
今夜で取り引きが終われば宮沢会長、ルイス・エンリケに失態を知られない。
諦めかけていた会長の椅子も可能になる。
300万$は用意できた。
バブル後期に債券取り立てで面倒を見た業者が数人いた。
「3時の電話は東都の若造を出せ。
沢村、タケ、社長に住所リストもらって金を集めて来い」
アラモアナからの帰り、キャロル・キング(Carole King)のYou’ve got a friendのCDを放り込んだ。
無造作にこの曲が手に載った。
丁度よかった、今ラップは御免だ。
ラルフが一緒に歌いだす。
歌が上手いと思っている音痴ほど愚かな奴はいない。
この曲の友達は暇人だ、夢物語だ、きれいごとだ。
こんな親身になって心配してくれる友達って、、本当にいるのだろうか?
寿子がコピーした書類が無造作にテーブル下の床に転がっていた。
「どうだったの?」
ラルフが得意そうだ。
「9時に俺が300万要求した。
一人100万$だぞ。
寿子、感謝しろよ」
「で、今度の電話は?」
「戸昼が話したからよ、進展なしだ」
「戸昼、どうしたのよ」
口を開くのが億劫だ、こいつらの口にテープを5重に巻きたい。
「純一の声じゃなかった」
「で、、」
「それだけだ。
今度3時にかける。
純一が出なかったら終わりにする」
ラルフの頭にバイキングの角が生えた。
「終わりにはしないぜ!
感触は悪くない」
「何かあったの?」
「相手が橋本じゃあなかっただけだよ。
9時の男だった。
300万の一言もなく戸昼が勝手に切った」
「戸昼が話したの?
計画では、ラルフが話すんじゃなかった?
何があったのよ?」
ラルフが冷蔵庫からコナビールを取り出した。
「ラルフ、俺にもビールくれ」
「、、、、、、戸昼、これからの予定を教えて」
「3時にラルフが電話する。
沢村が出たら俺が話す。
出方によっては取引を止める。
純一が出てきた時は、夜の10時が取り引き時間だ」
「変わったのか、8時じゃないのか?」
「遅いほうが好都合だ。
8時のカピオラニ公園はまだ人が多い。
知り合いに出くわしたら終わりだ。
ラルフが桟橋で金と交換してダイヤモンドヘッド沖3k、ブラックポイントにサーフボードで向かう。
俺は離れてカヤックで付いていく」
「なんだ、ブラックポイントで落ち合わないのならそのままサンディビーチに行こうぜ」
「ワイキキから見えないとこまで沖に出ないとな、方向が分かったら奴ら車で追っかけてくる」
「俺が金持って遁ずらすると不安になったか」
「ラルフ、こんな時に何を言ってるのよ!」
「よく分かるな、それが一番だ。
2番は、10時過ぎの海上は暗い、見失う恐れがあるからだ。
3番は、3k沖合いに出なくてもビーチが見えなくなったらサンディビーチに行ける。
ラルフ、まだ何かあるか?」
「戸昼、いいから続けてよ」
「カヌーはカパフル図書館脇のアラワイ運河に友達が午後6時までに運んで置いといてくれる。
9時半過ぎ、俺と寿子は俺のダッチでカヌーをカピオラニの水族館裏まで運ぶ。
寿子はラルフがサーフボードでビーチを離れたのを見届けてサンディビーチに向かってくれ。
俺は、水族館から3、400m離れた海上から成り行きを見ている。
大体、10時30過ぎに俺たちはワイキキを離れる。
サンディビーチには、夜中、12時前後に着く。
二人ともなるべく目立たないようにな。
特にラルフ、なるべく人に会わないようにな。
寿子はカピオラニでパンチに見つからないようにな」
「300万$、どうやってサーフボードに載せよう、、
濡れないようにしないと、、」
ラルフは、もう300万$背負ってサーフィンしている。
ご苦労なことだ。
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