下はわいーい5 父さんの死
5:父さんの死
宮沢組と敵対する暴力団が仕組んだのか。
ホタルは気に食わなかった。
「一つ質問していいですか?」
純が真剣な顔だ。
「僕の父さんの死が上村通商ツアーと関係あるかもしれない、とホタルさんは言いました。
今、教えてくれませんか?」
「父の友人の新聞記者から電話があった。
名前はダニー、上村のハワイツアーを知っていた。
純のお父さんのことを話したら覚えてた」
「そうですか、、」
「俺たちの父親は、18年前、LA(ロサンジェルス)の高速道路上でパンク修理中に狙撃された。
容疑者は今ハワイ島に住んでいる。
名前はルイス・エンリケ、裏社会で絶大な力を持っている。
ルイスの父親、マリオ・エンリケは1979年、ニカラグアにサンディスタ社会主義政権(注)ができるまで、
43年間も続いたソモサ一族,独裁政権内で非合法活動を取り締まるボスだった。
ソモサ一族は国全体の2分の1、3分の1の富を私物化したとんでもない奴等だ。
米とCIAが支えた。
利益のためなら、人が死のうが、苦しもうが関係ない、米の建国以来持つDNAだ。
純はコントラ事件を知ってるか?」
「いえ、知りません」
「当時の米大統領、レーガンはイランに極秘に武器を売却してその代金を、オリバー・ノース中佐がコントラ(米が全面支援するソモサ残党・ニカラグア反政府ゲリラ)へ横流ししていた。
70年後半、80年代、カーターの武器禁輸などで米は武器を中米に売れなくなった。
間隙をついてイスラエルが入ってきた。
何でも売った、ナパームから潜水艦、ニカラグアの武器の98%がイスラエル製だ。
グアテマラは最悪だった。
民族浄化を受けた国が、ナチスのようなことを中米でやった。
軍事政権を武器、コンピュータ網の構築で支え、マヤ文化の民族浄化を指導した。
マヤの人々は、左翼ゲリラには食料品を取られ、政府軍にはゲリラを支援していると疑われた。
1978年から1985年まで、7年間で400以上のマヤの村が破壊され、百万人もの人達がキブツ化(注)で、立ち退きを強制された。
1996年までに約20万人が虐殺され、今でも3万5千〜4万人が行方不明だ。
82年に父親、マリオが不慮の事故で亡くなったので、CIAは息子ルイスに目をつけた。
以来、CIAと繋がっている。
エンリケと宮沢組も長い付き合いだ。
会長の宮沢寅吉が内部抗争から分裂した山崎組に対抗するため密かに武器買い付けのためハワイに来た1987年、FBIの囮捜査で捕まった。
エンリケは有能な弁護士を米中からかき集めてFBIの囮捜査の違法性を訴えた。
この国の弁護士は金のためなら操作して無罪にできる。
2か月後、無罪放免された。
バブル期、三菱地所がNYのマンハッタンにあるロックフェラーセンターのオーナー会社の株式の51%を1200億円で買った。
住友不動産、三井不動産も市価の5%以上も高い法外な値段でNYの666オフィスビル、エクソンビルを買った。
物色に来ていた荒井邦男に市場価格より5〜15%も高いから今は買うべきではないと強く忠告したそうだ。
彼らの関係は思ったより深い。
荒井邦男が偽装までしてここに来たという事は何かが動いている。
ブラックリストに載っているのに入国はフリーパスだった。
イミグレに誘導され、何もないブースを素通りしてね」
「フリーパスだったの!」
「エンリケだ、買収だ。
葬式の時、ダニーは酒飲みながら純のお父さん、明さんと夜通し話したそうだ。
親父の死から半年後に亡くなったと言ったらひどく驚いた。
3人でエンリケと会った時、明さん、エンリケの父親がニカラグア・ソモサ政権の幹部だったと知って口論になって殴りかかったんだ。
銃を持ったボディガードの目の前でね。
中米を旅行したことがあったので情勢をよく知っていた。
ソモサ政権を“くず政権”と呼んだからだ。
グアテマラからフロリダまで、マヤの5歳の子どもを連れて危険な旅をしていた。
世話になった人の子どもで、銃口を突きつけられ相当危なかったようだ。
明もエンリケの差し金で宮沢組に殺されたと思って間違いないと言った。
部下の前で殴りかかられ、面子をつぶしたエンリケが付け狙っていたらしい。
家の親父がなんとか説得して帰国させたんだ。
その時、今度ハワイに来たら殺すとエンリケに脅されたそうだ」
「そうですか、、」
「当時、エンリケを追及していて、行方不明、不慮の事故で亡くなった人が多い。
ダニーも右半分の麻痺がひどくなっていた」
「エンリケが?」
「親父達と一緒にやってたからね。
明は直人の兄貴みたいだった、と言ってた。
気骨のある人だったんだな」
注:
サンディニスタ政権:
1961年、トマス・ボルヘ、カルロス・フォンセカ(1976年戦死)によって創設。
1963年、ソモサ独裁政権に対する武装闘争を開始。
1979年、6月、ニカラグア左翼政権樹立。
米はニカラグアのキューバ化を恐れ、ソモサ残党を中心とした右派反政府ゲリラ“コントロ”を支援。
注:
ニカラグア:
父、アナスタシオ・ソモサ・ガルシア(暗殺)、長男ルイス・ソモサ・デバイレ(病死)次男アナスタシオ・ソモサ・デバイレ(パラグアイで暗殺)
3代に渡り(1936〜1979)国を私物化。
一貫して、米は積極的に支援。
コントラ事件:
1986年、11月、発覚。
キブツ:
イスラエルの農業共同体、コミューン
宮沢組と敵対する暴力団が仕組んだのか。
ホタルは気に食わなかった。
「一つ質問していいですか?」
純が真剣な顔だ。
「僕の父さんの死が上村通商ツアーと関係あるかもしれない、とホタルさんは言いました。
今、教えてくれませんか?」
「父の友人の新聞記者から電話があった。
名前はダニー、上村のハワイツアーを知っていた。
純のお父さんのことを話したら覚えてた」
「そうですか、、」
「俺たちの父親は、18年前、LA(ロサンジェルス)の高速道路上でパンク修理中に狙撃された。
容疑者は今ハワイ島に住んでいる。
名前はルイス・エンリケ、裏社会で絶大な力を持っている。
ルイスの父親、マリオ・エンリケは1979年、ニカラグアにサンディスタ社会主義政権(注)ができるまで、
43年間も続いたソモサ一族,独裁政権内で非合法活動を取り締まるボスだった。
ソモサ一族は国全体の2分の1、3分の1の富を私物化したとんでもない奴等だ。
米とCIAが支えた。
利益のためなら、人が死のうが、苦しもうが関係ない、米の建国以来持つDNAだ。
純はコントラ事件を知ってるか?」
「いえ、知りません」
「当時の米大統領、レーガンはイランに極秘に武器を売却してその代金を、オリバー・ノース中佐がコントラ(米が全面支援するソモサ残党・ニカラグア反政府ゲリラ)へ横流ししていた。
70年後半、80年代、カーターの武器禁輸などで米は武器を中米に売れなくなった。
間隙をついてイスラエルが入ってきた。
何でも売った、ナパームから潜水艦、ニカラグアの武器の98%がイスラエル製だ。
グアテマラは最悪だった。
民族浄化を受けた国が、ナチスのようなことを中米でやった。
軍事政権を武器、コンピュータ網の構築で支え、マヤ文化の民族浄化を指導した。
マヤの人々は、左翼ゲリラには食料品を取られ、政府軍にはゲリラを支援していると疑われた。
1978年から1985年まで、7年間で400以上のマヤの村が破壊され、百万人もの人達がキブツ化(注)で、立ち退きを強制された。
1996年までに約20万人が虐殺され、今でも3万5千〜4万人が行方不明だ。
82年に父親、マリオが不慮の事故で亡くなったので、CIAは息子ルイスに目をつけた。
以来、CIAと繋がっている。
エンリケと宮沢組も長い付き合いだ。
会長の宮沢寅吉が内部抗争から分裂した山崎組に対抗するため密かに武器買い付けのためハワイに来た1987年、FBIの囮捜査で捕まった。
エンリケは有能な弁護士を米中からかき集めてFBIの囮捜査の違法性を訴えた。
この国の弁護士は金のためなら操作して無罪にできる。
2か月後、無罪放免された。
バブル期、三菱地所がNYのマンハッタンにあるロックフェラーセンターのオーナー会社の株式の51%を1200億円で買った。
住友不動産、三井不動産も市価の5%以上も高い法外な値段でNYの666オフィスビル、エクソンビルを買った。
物色に来ていた荒井邦男に市場価格より5〜15%も高いから今は買うべきではないと強く忠告したそうだ。
彼らの関係は思ったより深い。
荒井邦男が偽装までしてここに来たという事は何かが動いている。
ブラックリストに載っているのに入国はフリーパスだった。
イミグレに誘導され、何もないブースを素通りしてね」
「フリーパスだったの!」
「エンリケだ、買収だ。
葬式の時、ダニーは酒飲みながら純のお父さん、明さんと夜通し話したそうだ。
親父の死から半年後に亡くなったと言ったらひどく驚いた。
3人でエンリケと会った時、明さん、エンリケの父親がニカラグア・ソモサ政権の幹部だったと知って口論になって殴りかかったんだ。
銃を持ったボディガードの目の前でね。
中米を旅行したことがあったので情勢をよく知っていた。
ソモサ政権を“くず政権”と呼んだからだ。
グアテマラからフロリダまで、マヤの5歳の子どもを連れて危険な旅をしていた。
世話になった人の子どもで、銃口を突きつけられ相当危なかったようだ。
明もエンリケの差し金で宮沢組に殺されたと思って間違いないと言った。
部下の前で殴りかかられ、面子をつぶしたエンリケが付け狙っていたらしい。
家の親父がなんとか説得して帰国させたんだ。
その時、今度ハワイに来たら殺すとエンリケに脅されたそうだ」
「そうですか、、」
「当時、エンリケを追及していて、行方不明、不慮の事故で亡くなった人が多い。
ダニーも右半分の麻痺がひどくなっていた」
「エンリケが?」
「親父達と一緒にやってたからね。
明は直人の兄貴みたいだった、と言ってた。
気骨のある人だったんだな」
注:
サンディニスタ政権:
1961年、トマス・ボルヘ、カルロス・フォンセカ(1976年戦死)によって創設。
1963年、ソモサ独裁政権に対する武装闘争を開始。
1979年、6月、ニカラグア左翼政権樹立。
米はニカラグアのキューバ化を恐れ、ソモサ残党を中心とした右派反政府ゲリラ“コントロ”を支援。
注:
ニカラグア:
父、アナスタシオ・ソモサ・ガルシア(暗殺)、長男ルイス・ソモサ・デバイレ(病死)次男アナスタシオ・ソモサ・デバイレ(パラグアイで暗殺)
3代に渡り(1936〜1979)国を私物化。
一貫して、米は積極的に支援。
コントラ事件:
1986年、11月、発覚。
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