下はわいーい 1:.デビアス ダイヤモンド市場 このエントリをはてなブックマークに登録

はわいーい 下巻


概要(上巻)

18歳でハワイに来た純一、16歳でシンナー中毒、退学したモモ、彼女の兄、ミュージシャンのホタル、3人は偶然、父親同士が友達だったと知る。
二人は不可解な死を遂げていた。ホタル・モモの父親は高速道路でパンク修理中に狙撃死、純一の父親はその6ヵ月後、ひき逃げで亡くなっていた。いずれも犯人は捕まっていなかった。
3人は、広域暴力団のハワイツアーを契機に真相を探ろうとした。

1:デビアス ダイヤモンド市場
2:偽札 Supernote
3:シーカヤック
4:ラルフ・ヨハンソン
5:父さんの死
6:イシル マヤ・キチェ村
7:あわてる沢村
8:マヤ神話
9:アラモアナ
10:サーフィン
11:モモに首ったけ
12:亀のモモ
13:サディスト・沢村
14:キリスト
15:ハリケーン
16:軍事おたく
17:ハイビスカス
18:戸昼はハリケーンの神
19:お見合い
続下20:光
  21:命拾い
  22:蟹男
  23:モモ
  24:CIA
  25:これで終わり?
  26:万事休す
  27:ハワイアン
  28:強姦魔 米国
  29:Tommy or お富さん
  30:もしかして、モモは、
  31:免税店・健さん
  32:モモ

登場人物

高井ホタル:ミュージシャン
高井モモ:元不良。ミュージシャン
高井千恵子:ホタル、モモの母親
高井直人:ホタル、モモの父親。日系3世
橋本純一:東都ツアーデスク勤務 
橋本明:純一の父親
荒井邦男:暴力団,宮沢組幹部,上村通商専務
上村正一:宮沢組幹部,上村通商社長
荒井君夫:上村通商部長
宮沢寅吉:広域暴力団、宮沢組会長
沢村拓司:ボディガード
マイケル・タケ:舎弟
上山義勝:ダイヤモンドヘッド・エンタプライズ社長
細川肇:上村通商ツアー添乗員
倉田寿子:留学生
結城真理:修道女
戸昼アキラ:グアテマラ・マヤ、キチェ族
ラルフ・ヨハンソン:戸昼の仲間、ココナツ運送勤務
ルイス・エンリケ:ハワイの実力者、武器商人
ダニー・レイボーン:ホノルルアドバタイザ紙、記者

 フィクションです。


1:デビアス ダイヤモンド市場

戸昼、ラルフ・ヨハンソン、倉田寿子の3人は、カパフル図書館で借りてきた本、NETを参考に書類を調べた。
 

ルイス・エンリケは1998年まで、アンゴラのダイヤモンド密売に関わっていた。

アンゴラでは1975年、ポルトガルから独立後、MPLA、FNLA,UNITA(注)、3つ巴の内戦が勃発した。
アフリカの米、ソ連による代理戦争、南アフリカ、ザイールなど隣国を巻き込んだ資源戦争だった。
死者50万、数百万が住んでいた土地の立ち退きを強制された。
FNLAは84年に降伏したが、MPLAとUNITAは停戦協定を無視して2002年まで戦い続けた。

UNITAを含めたアンゴラの反政府組織は、ダイヤモンドの密輸で約40億$余りを稼いでいたので和平を望まなかった。
1992年の選挙結果を拒否して、意図的に94年の和平協定に違反した。
内戦当初からUNITAを支援していたCIAに武器調達を依頼した。
CIAは中米(注)と同じように表に出ることを恐れ、ルイス・エンリケを仲買者として武器を調達した。
98年にダイヤモンド禁輸などの制裁を国連によって科せられるまで、UNITAはダイヤモンド原石で代金を支払っていた。
それらの原石は軽飛行機でザンビア、コンゴの国境まで運ばれ、密売ルートでカルフォルニアまで運ばれていた。
その原石の一部を、ルイス・エンリケは宮沢組に卸していた。

UNITAは,1998年の国連決議を無視して1999年、北朝鮮から武器を購入した。
依頼されたのはエンリケだった。
国連の目があった、イスラエルから購入できなかったので、北朝(注)とのコネクションを利用した。

2002年、UNITAの崩壊とともにアンゴラに和平が達成され関係が途絶えていた。
5月にUNITAの残党からルイス・エンリケに連絡があった。

4月にリベリアのダイヤモンドの禁輸が国連によって解除された。
打撃をこうむったシンジケートが、アンゴラ、シオラレオネ、コンゴ、リベリアのダイヤモンドの卸し先を探しているので助けて欲しいというものだった。

ダイヤモンドは2000、2002年のキンバリープロセス(注)の強化で紛争地のダイヤモンドは売買が難しい状態になっていた。
しかも、そこには一世紀以上も世界のダイヤモンド市場に君臨するデビアス社という厄介な問題があった。

デビアス(Dee Beers)社は一世紀に渡ってダイヤ市場を独占していた。
90億$分の原石は、カットされ、磨かれ140臆$に、卸されて280億$、最終的に570億$で売買されていた。
とてつもない巨大市場だった。(2002年)

デビアス社は、アフリカ・ダイヤモンド鉱山の7割を所有し、
全世界ダイヤモンド生産の4割を占め、以前の8割から落ちたとはいえ、
世界の宝飾ダイヤモンド流通の半分以上を押さえていた。
デビアス社が年、10回催す原石内覧会(サイト)が世界へのダイヤ流通の出発点だった。

招かれる業者は世界で120社あり、それらサイトホルダーと呼ばれ会社の半数近くがベルギーのアントワープにあった。
サイトでは、サイトホルダー毎に小箱に入っている原石が用意されていた。
石の形、価格の希望は出せてもその保障はなく、買うか、買わないかの選択を迫られ、2度続けて断るとサイトには招待されない、といわれるほど市場を牛耳っていた。

依然、アフリカの反政府勢力からダイヤモンドを購入しているという、きな臭い噂が流れていた。
それを打ち消すため、2年前、アンゴラ政府系採鉱会社(SDM)の購入分を除きアンゴラでの原石調達を控えると発表した。
そこを突いたのがイスラエルのレバイエフ社とベルギーのオメガ社だった。
両社はデビアスの10倍、税金を掛けれられてもいいからSDM分も含めて原石の独占購入権を手に入れようとアンゴラ政府に働きかけた。
功を奏して、去年、政府と折半出資でアスコープを設立した。
これに対抗してデビアス社はSDMとの独占契約は有効だと反発して原石を徹底的に追跡する作戦に出た。
去年暮れに、アントワープ空港の税関でダイヤ原石の小包2個が差し押さえられた。
荷主はアスコープ。
差し押さえをブリュッセルの商業裁判所に求めたのは、業界の雄デビアス社だった。
カナダ、オーストラリアで新鉱脈が発見され、デビアス社の独占支配体制が揺るぎ始めていた。

ルイス・エンリケが参入しようとした背景には、これらの情勢の変化があった。
日本に送る際は、原石ではないというカモフラージュが必要だった。
カルフォルニアにあるクリスタル・エクスペリメント社がそれを解決してくれた。
原石の表面にフッ化物を真空蒸着して特殊加工をして、模造ダイヤモンドに似せることに成功した。
エンリケは模造ダイヤモンド(ジェバライト・ダイヤモンド)として日本に送る計画だった。
それでもレーナー式宝石鑑定用屈折計(屈折率を計る)、
ダイヤモンド軟X線透視鑑別器、分光器、
などをクリアするのは不可能だったので税関員を抱き込む作戦も密かに進行中だった。

宮沢組は密かに、ダイヤモンドの取り引きが集中しているベルギー・アントワープに数人を派遣して研磨加工技術の習得に当らせていた。
最近、ダイヤモンドが、耐熱性、熱伝導性の高さ、伝導率(不純物を添加することによる半導体化の試みもなされている)の観点から究極の半導体として脚光を浴び始めていた。

エンリケは、シンジケートが提供できるすべての原石を購入する計画だった。
装飾用は原石の2割しか使えなかったが、残りの8割は産業用として使える。
将来、半導体としての価値が極限まで増大すると読んでいた。
日本、米、ヨーロッパ、どこも欲しいはずだ。




ルイス・エンリケと中米:
1977年に誕生したカーター政権(在位1977~1981)の人権政策で、米は1978年にニカラグア、グアテマラ、エルサルバドルに武器輸出できなくなった。
その間隙を突いたのがイスラエルだった。以来、CIAは国際社会の目を恐れ、イランゲートが86年11月、発覚するまで、イスラエルとの仲買をルイスに任せた。

エンリケと北朝鮮;
ルイス・エンリケは1992年,イスラエル(モサド)から極秘に要請を受けた。
イスラエルが北朝鮮の金山ウンサンを開発するから、見返りに、イラン、シリア、リビアにミサイル、スカッドを売らないように北朝鮮に働きかけてくれというものだった。
別のルートで北朝鮮が、よりによってイスラエル外交部と同じような交渉をしていたのが判明して失敗した。
この時、エンリケと北朝鮮政府・高官とのパイプが確立された。

キンバリープロセス(Kimberly Process):2002年、ダイヤモンド原産地証明の義務付け管理制度。

アンゴラ内戦(1975~2002):米、南アフリカ、ソ連、キューバ、ザイール、米ソ・代理戦争、資源戦争。

UNITA:アンゴラ前面独立民族同盟,
米、南アフリカ支援。中、南部・ダイヤモンドを資金源

MPLA:アンゴラ開放人民運動、ソ連・キューバ支援、北部・油田を資金源

FNLA:アンゴラ開放民族戦線、米、ザイール、中国支援。南部、84年、降伏


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genre : 小説・文学

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