11:はわいーい 予約トラブル
11:予約トラブル
シーサイド・ホテルでは添乗員の細川が難題を吹っかけられていた。
スイート二部屋は部長のArai・Kimio(荒井君夫)の名前で予約されていた。
チェックインに必要なクレジットカードの提示をフロントで求められた。
確認のためパスポートを見たフロントは、名前が違うと説明を求めてきた。
カードの名前はArai・Kimio(荒井君夫)になっているのにパスポートはArai・Kunio(荒井邦男)だった。
しかも名簿にない男性一人と女性二人が同宿すると言うので話がこじれた。
専務の荒井邦男はある人物と秘密裏に会談する予定があった。
ハワイに来たことを警察に悟られたくなかったので、部長の荒井君夫の名前を使ってカモフラージュした。
社長の上村正一は本名で申し込んでいたので滞在者の名簿にないはずがなかった。
ホテル側の滞在予定者名簿には、Uemura・ShouichiとなるところがKamimura・Shouichiになっていた。
細川は真っ青になった。
当然、東都の橋本純一が万全を期していると思っていたので彼に猛烈な怒りを感じた。
それにしても、なぜ部長の荒井君夫が荒井邦男のパスポートを持っているのだ!
ドアでぶつけたおでこが今頃になって猛烈に喚きだした。
痛さを堪えて、細川は平身低頭して言った。
「社長、部長、沢村様、皆様、どうぞそちらのロビーでお待ちください。
すぐ解決いたしますから!」
細川はフロントに電話を借りて東都ツアーズ、ホテル・予約部を呼び出した。
運良く本社から出向している課長の桜井が出た。
「今朝、上村ツアーで来た添乗員の細川ですが!
シーサイド・ホテルの件で問題が起きました。
滞在者の名前が違っていてホテル側は満足の行く説明がない限りチェックインできないと言ってます。
後で改めて抗議しますが、前もってそちらがチェックする事柄じゃあないですか!」
桜井は最後の捨て台詞を聞き流した。
大変なことになった。
総会屋担当の本社重役から上村通商のツアーを円便に終わらせるようにとの指示を黒木がもらっていたのを知っていた。
下手すると、次の人事でこの天国から地獄、日本送りになる。
細川さん、マネージャーのサム・チョイに代わってくれ。
直談判するしかない。
「サム、上村の件だが大目に見てくれ。
漢字の読み方を間違えて予約した単純なミスだ。
名前のスペルが間違っていただけの単なるミスなんだよ」
「桜井、UemuraとKamimuraの名前の間違いは納得できるが、もう一人の滞在者が問題だ。
クレジットカードと宿泊名簿の名前は合っているのだが、どういうわけかパスポートの名前が違う。
こんなこと始めてだ。
残念ながら俺の権限では無理だ」
「サム、そこをなんとか頼むよ。
実は彼らは家の本社のお偉いさんの友達なんだ。
面倒見るようにってFaxが来たぐらいでな。
一生のお願いだ。
頼む!」
「そう言われてもな。
桜井、おかしいだろう?
予約者のクレジットカードを持っているのにパスポートの名前が違う。
胡散臭い。
無理だ」
「部屋はスウィートの3501と3502だったよな。
サム、他にスウィートで空部屋はないか?
一生のお願いだ!
もしあったらフリーの客として泊めて欲しい!」
「気は進まんが、あんたの頼みだ。
ちょっと待ってくれ調べてみる」
その間、桜井は黒木の携帯に掛けてみたが繋がらなかった。
接待の名目でまたゴルフでもやっているのだろう。
サムの声がした。
「33階の3301と3302がスウィートが今日から3日空いてる。
中は3501、02とまったく同じだ」
「じゃあ、それに彼らを泊めてくれないか。
3501と3502はキャンセルということにして」
「桜井、もし、何かあったらそっちが全責任持てよ。
約束できるか?」
「分った」
「文書にして今日中に持って来てくれ」
「分った」
「キャンセル料はもらうよ」
「俺宛に請求書送ってくれ。
サム、本当にありがとう。
本土かどこか行く時は連絡くれよ。
チケット安くする。
添乗員に代わってくれないか?」
もじもじしながら横でやりとりを聞いていた細川は、マネージャーの口調が和らいだのを感じた。
「細川さん、部屋を変更することになりました。
3301と3302のスウィートになります。
マネージャも了承しているのでチエックインできます。
今回はどうも申し訳ございませんでした」
2部屋とも上村正一の名前でチェックインした。
なぜ下の部長が社長のチェックインを手伝わないのだろう。
部長が社長より威張っている?
日本語を話せる若い女性に案内されて部屋に向かった5人を見送った後、細川はベルデスクに走った。
「3501と3502の荷物2個は3301と3302に運んでくれますか?
部屋が変わりましたので」
クリップボードの表を見ていた荷物係は首を傾げた。
「部屋変更の連絡はフロントからさっきありました。
滞在者名簿に書かれてあった名前が違っていたのですね?
KamimuraではなくてUemuraが正しいのですね?」
「そう!そうなんですよ」
「もうとっくに着いていてもおかしくないのですが残念ながら、UemuraもKamimuraもAraiもまだ届いてません。
名前が違っていたならどこかに紛れ込んでいるかもしれませんよ。
エアポート、ツアー会社、荷物運送会社を調べたらどうです?」
冷や汗が出てきた。
思えば当然だった。
名前が違うのに届けられるはずがない。
どうしたらいい。
東都ツアーズの間違いでとんだことになってしまった。
3301に今行けば荷物のことで文句を言われる。
ウェスタンビーチ・ホテル内の東都ツアーズに走った。
「名前が違っていたのなら」、
ベルデスクの言った言葉がボディブローのように胃潰瘍を撫でている。
デスクに座っている純に声を荒げた。
「社長達のスーツケース、2個届いてない!
すぐチェックしろ!
東都ツアーズの責任だぞ。
名前がUemura・ShouichiとArai・Kimioになっているか、そっちの持っていてるリストと空港のを照らし合わせろ。
ホテルを予約した名前が違ってたんだ!」
「名前が違ったのですか!
正しい名前は?」
「Uemura・ShouichiとArai・Kimio だ。
シーサイドの名簿がUemuraがKamimuraになってた。
早くやれよ!」
「僕のはUemura・ShouichiとArai・Kimio になっています」
純が持っているリストには正しく名前が書かれていた。
ホテル予約スタッフが間違えたのか?
シーサイド・ホテルでは添乗員の細川が難題を吹っかけられていた。
スイート二部屋は部長のArai・Kimio(荒井君夫)の名前で予約されていた。
チェックインに必要なクレジットカードの提示をフロントで求められた。
確認のためパスポートを見たフロントは、名前が違うと説明を求めてきた。
カードの名前はArai・Kimio(荒井君夫)になっているのにパスポートはArai・Kunio(荒井邦男)だった。
しかも名簿にない男性一人と女性二人が同宿すると言うので話がこじれた。
専務の荒井邦男はある人物と秘密裏に会談する予定があった。
ハワイに来たことを警察に悟られたくなかったので、部長の荒井君夫の名前を使ってカモフラージュした。
社長の上村正一は本名で申し込んでいたので滞在者の名簿にないはずがなかった。
ホテル側の滞在予定者名簿には、Uemura・ShouichiとなるところがKamimura・Shouichiになっていた。
細川は真っ青になった。
当然、東都の橋本純一が万全を期していると思っていたので彼に猛烈な怒りを感じた。
それにしても、なぜ部長の荒井君夫が荒井邦男のパスポートを持っているのだ!
ドアでぶつけたおでこが今頃になって猛烈に喚きだした。
痛さを堪えて、細川は平身低頭して言った。
「社長、部長、沢村様、皆様、どうぞそちらのロビーでお待ちください。
すぐ解決いたしますから!」
細川はフロントに電話を借りて東都ツアーズ、ホテル・予約部を呼び出した。
運良く本社から出向している課長の桜井が出た。
「今朝、上村ツアーで来た添乗員の細川ですが!
シーサイド・ホテルの件で問題が起きました。
滞在者の名前が違っていてホテル側は満足の行く説明がない限りチェックインできないと言ってます。
後で改めて抗議しますが、前もってそちらがチェックする事柄じゃあないですか!」
桜井は最後の捨て台詞を聞き流した。
大変なことになった。
総会屋担当の本社重役から上村通商のツアーを円便に終わらせるようにとの指示を黒木がもらっていたのを知っていた。
下手すると、次の人事でこの天国から地獄、日本送りになる。
細川さん、マネージャーのサム・チョイに代わってくれ。
直談判するしかない。
「サム、上村の件だが大目に見てくれ。
漢字の読み方を間違えて予約した単純なミスだ。
名前のスペルが間違っていただけの単なるミスなんだよ」
「桜井、UemuraとKamimuraの名前の間違いは納得できるが、もう一人の滞在者が問題だ。
クレジットカードと宿泊名簿の名前は合っているのだが、どういうわけかパスポートの名前が違う。
こんなこと始めてだ。
残念ながら俺の権限では無理だ」
「サム、そこをなんとか頼むよ。
実は彼らは家の本社のお偉いさんの友達なんだ。
面倒見るようにってFaxが来たぐらいでな。
一生のお願いだ。
頼む!」
「そう言われてもな。
桜井、おかしいだろう?
予約者のクレジットカードを持っているのにパスポートの名前が違う。
胡散臭い。
無理だ」
「部屋はスウィートの3501と3502だったよな。
サム、他にスウィートで空部屋はないか?
一生のお願いだ!
もしあったらフリーの客として泊めて欲しい!」
「気は進まんが、あんたの頼みだ。
ちょっと待ってくれ調べてみる」
その間、桜井は黒木の携帯に掛けてみたが繋がらなかった。
接待の名目でまたゴルフでもやっているのだろう。
サムの声がした。
「33階の3301と3302がスウィートが今日から3日空いてる。
中は3501、02とまったく同じだ」
「じゃあ、それに彼らを泊めてくれないか。
3501と3502はキャンセルということにして」
「桜井、もし、何かあったらそっちが全責任持てよ。
約束できるか?」
「分った」
「文書にして今日中に持って来てくれ」
「分った」
「キャンセル料はもらうよ」
「俺宛に請求書送ってくれ。
サム、本当にありがとう。
本土かどこか行く時は連絡くれよ。
チケット安くする。
添乗員に代わってくれないか?」
もじもじしながら横でやりとりを聞いていた細川は、マネージャーの口調が和らいだのを感じた。
「細川さん、部屋を変更することになりました。
3301と3302のスウィートになります。
マネージャも了承しているのでチエックインできます。
今回はどうも申し訳ございませんでした」
2部屋とも上村正一の名前でチェックインした。
なぜ下の部長が社長のチェックインを手伝わないのだろう。
部長が社長より威張っている?
日本語を話せる若い女性に案内されて部屋に向かった5人を見送った後、細川はベルデスクに走った。
「3501と3502の荷物2個は3301と3302に運んでくれますか?
部屋が変わりましたので」
クリップボードの表を見ていた荷物係は首を傾げた。
「部屋変更の連絡はフロントからさっきありました。
滞在者名簿に書かれてあった名前が違っていたのですね?
KamimuraではなくてUemuraが正しいのですね?」
「そう!そうなんですよ」
「もうとっくに着いていてもおかしくないのですが残念ながら、UemuraもKamimuraもAraiもまだ届いてません。
名前が違っていたならどこかに紛れ込んでいるかもしれませんよ。
エアポート、ツアー会社、荷物運送会社を調べたらどうです?」
冷や汗が出てきた。
思えば当然だった。
名前が違うのに届けられるはずがない。
どうしたらいい。
東都ツアーズの間違いでとんだことになってしまった。
3301に今行けば荷物のことで文句を言われる。
ウェスタンビーチ・ホテル内の東都ツアーズに走った。
「名前が違っていたのなら」、
ベルデスクの言った言葉がボディブローのように胃潰瘍を撫でている。
デスクに座っている純に声を荒げた。
「社長達のスーツケース、2個届いてない!
すぐチェックしろ!
東都ツアーズの責任だぞ。
名前がUemura・ShouichiとArai・Kimioになっているか、そっちの持っていてるリストと空港のを照らし合わせろ。
ホテルを予約した名前が違ってたんだ!」
「名前が違ったのですか!
正しい名前は?」
「Uemura・ShouichiとArai・Kimio だ。
シーサイドの名簿がUemuraがKamimuraになってた。
早くやれよ!」
「僕のはUemura・ShouichiとArai・Kimio になっています」
純が持っているリストには正しく名前が書かれていた。
ホテル予約スタッフが間違えたのか?
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