完 偽威議員 エピローグこのエントリをはてなブックマークに登録

エピローグ


「穣二、会えないか?」
「誰だ?」
「日本国衆議院議員、加賀大和先生だ」
「まだ秘書の分際でいる俺にあてつけか」
「お前はご先祖様の七光りで寝ていてもいずれ衆議院議員だろう」
「何の用だ?」
「サチが直に渡したいものがあるそうだ。
昨夜、日本に来た」
「俺に渡したいもの、、、何だ、」
「時間作ってくれ。
明後日には帰るらしい」
「今夜は?」
「OKだと思うよ。
早くお前に渡したいようだ」
「議員会館前で8時はどうだ?」
「車で迎えに行く」

「穣二、乗れよ」

「サチが何を渡すのか分らない」
「熱湯かけられたお前に会ってまで渡したいものがあるらしい」
「、、、、」
「お前がかけたのか?」
「事故だ」
「サチにとっては事故だろう。
だが、お前はちがうだろう」
「何を言いたい」
「穣二、よく女に熱湯かけれたな?」
「俺がやったような口ぶりだな」
「サチから聞いた。
ペンダントごとお湯をかけたらしいな」
「馬鹿な、彼女の妄想だ」
「ペンダントに武蔵とサチの名前が刻んであったので頭にきたか」
「大和、いい加減にしろよ。
もう過去のことだ」
「簡単に割り切れるか?
サチ、武蔵、俺はそうはいかない」
「お前らの勝手だ。
俺には終わったことだ」
「馬鹿、お前は相当の馬鹿だな」
「馬鹿!
何だと!
、、、4号線になんか乗ってどこに向かってる!
「まあ、いいじゃないか。
ドライブしようぜ」
「どこに行く気だ?
サチは?」
「まあ、穣二、いいじゃないか。
ゆっくりこれまでのことを話そうぜ」
「サチは嘘か!」
「熱湯マニアのお前には二度と会いたくないだろう」
「大和、いい加減にしろ。
次の出口で首都高降りろ!」
「まあ、いいじゃあないか。
ドライブだ、穣二。
諏訪辺りまで行ってもいいし、まだ話したいなら名古屋、九州まで行ってもいい」
「どういう気だ、こんな真似して」
「これまでのことを話したいだけだ」
「次の出口で降りろ!」
「時速100kの車から飛び降りるだけの勇気がなかったら話せ」
「いい加減にしろ!
降りろ、次の出口で!」
「用足したくなったら座席の下にペットボトル、プラスチックバッグがある」
「ふざけるな!」
「俺を撲ってハンドル奪ってもいいぜ。
言っとくが、俺はお前と心中する気だ。
お前次第だ。
いつでも奪え」
「、、、、、、、」
「あの似非教師を丸めたのか。
お前が頼んで退学にしたのか」
「、、、、」
「サチに横恋慕して武蔵が邪魔になったか」
「、、、、、」
「どうした、総理の息子よ、小安穣二。
ガスが切れる6,7時間も黙っていたら退屈だぞ」
「ふざけた野朗だな、大和」
「穣二、言葉注意しろ。
自分が底なしのふざけた野朗だと、気づいてもいい頃だ。
自分のことしか頭にない馬鹿だと。
特権、権力持った世襲政治家の家に生まれた馬鹿息子だと」
「言葉遣い気をつけろ!」
「今のお前は俺と同じ生身の人間だ、後ろに誰もいない。
黒、黄、白、茶、朝鮮、日本、捨てな。
くだらないものは。
お前は生死の境にいる。
運転手はとっくに生に興味がない。
どうだ、こんな状況でお前の大和民族は朝鮮民族より優れているか、
肌の黒いのは劣っているか、
美しくないか、体臭が嫌か?
どれだけのものだ、お前のしがみついているものは?
教えてくれ」
「、、、、、、」
「俺と武蔵を嵌めたのはどうしてだ?」
「、、、、、」
「穣二、話せよ。
話したくないか、こんな下司野朗には」
「サチだ、、」
「何」
「サチだ、好きになった」
「ふざけるな、色恋が理由で俺達を嵌めたか」
「朝鮮、肌、表向きだ」
「アホかお前は。
サチを奪う為だけに似非教師巻き込んで俺達を退学にした?
武蔵も俺も17だった。
お前みたいに、お偉いさんのバックはいない。
どれだけ苦労したか分るか」
「、、、、、」
「身勝手だな、お前は。
サチに熱湯かけたのは?」
「武蔵の電話番号、ペンダント、寝言、惚れた女がこうだ。
我慢できるか」
「お前は何をしたのか理解できてないようだな。
お前が勝手に惚れたんだ。
親父の力利用して汚い手で仕組んでサチを手に入れた。
武蔵とサチは結婚を約束した仲だ。
知ってただろうが」
「、、、、」
「今でもサチを相当憎んでるか、
馬鹿だな、お前は。
ひどいことやったのにまだ憎しみが消えてないのか。
彼女の痛みが分らんか、、」
「、、、、、」
「お前が世襲で政治家になるのか、、
末恐ろしいな。
人の痛み、苦しみが分らんのがなってはいかんだろう」
「俺は分っているつもりだが」
「今までやってきたことをどう思う」
「非難されるようなことは何もやっていない」
「不感症か?
凡凡だな」
「そうだ、凡凡だ。
馬鹿な凡凡だ」
「いい加減にしろ!
お前のその小賢しいとこが許せない。
すべてサチのせいにしてまで生きたいか」
「、、、、」
「穣二、お前には肝心なものが欠けている。
分るか?」
「欠けている?
俺が不具のような言い方だな
二度と言うな。
許さんぞ」
「不具はお前が言ったんだ。
自覚してるからだろう」
「大和、ふざけるな。
二度と俺が欠けてるなんて言うな!」
「その言葉は堪らんか、そう言われたことはないだろうからな。穣二、不具だと、何度でも言ってやろうか」
「大和、お前、何様のつもりだ!
お前が俺を不具だと!
ふざけるな!」
「まだ怒れるようだな」
「ふざけるな、黒んぼが!」
「おう、やっと本心を言ったな。
黒んぼは嫌いか」
「反吐が出るな。
顔見たくねえ」
「そんなこと言ってると来生は俺より黒んぼで生まれるぞ。
相手の気持ち、立場を考えたことはないのか。
思いやり、優しさは、、」
「黒が馬鹿なことを聞くな。
十二分にある」
「お前が変るとは、、
期待はしていなかったが、、、
悲しいな、、、」
「おい、どうしたんだ!
急にスピード上げて!」
「お前が真の大和民族なら覚悟は出来てるだろう」
「おい!
止せ!
馬鹿!
止せ!」
「離せ!
穣二!
ハンドルから手を離せ!」
「大和!
どうする気だ!
ウワー!!!」


武蔵、サチ、俺の分まで幸せにな。
再会できたらな、、、

おかしいわ。
武蔵、手紙これだけよ、、、、


昨夜未明、中央自動車道、東京都八王子市と神奈川県相模原市相模湖の都県境にある小仏トンネル付近で、衆議院議員、加賀大和さん運転の乗用車がガードレールを乗り越え20m落下し大破。加賀大和さんは全身を強く打ち即死、同乗していた小安宗徳首相の長男、小安穣二さんは意識不明の重態です。



6ヵ月後

「穣二、元気を出せ。
そろそろ選挙だ。
右足が無くなったぐらいでめそめそするな」
「、、、、」
「今度の選挙、お前を貴志川爺様のとこで出そうと思う」
「、、、、」
「今のお前ならお爺様の地盤に同情票、簡単に勝てる」
「こんな体で私が何をやれるのです」
「福利厚生、お前と同じように苦しんでいる人達の為に働ける。弱者の味方になれる」



   完  
 
   おさむ










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