15:偽威議員 再生このエントリをはてなブックマークに登録

15:再生


4時前だ。
大和はソファで寝ている。
サチのいる治療室に向かった。
誰にも見られないように入った。

眠っていた。
サチだ。
か細い、
壊れそうなサチだ。
初めて会った頃のサチだ。

家が近かった。
護った、大きな大人、自転車、車、みんなから護った。
壊れそうだった。
よく怒った、
独りで大丈夫、
あっちに行って。
心配だった。
引っ越した後もよく見にいった。
いつの間にか、受け入れてくれていた。

川遊びをして遊んだ。
サチは竿を持っていた。
その先に箱が付いていた。
中に俺が捕ったセミが入っていた。


桜の木でセミが鳴いた。
4mもあった。
サチがせがんだ。
4歳の餓鬼には無理な高さだ。
サチが登ろうとしたので体をつかんだ。

僕が行くよ。

セミは捕まえた。
下りる時、2mの所で足が滑った。
サチの声が響いた。
落ちる!
サチめがけて落ちていった。
目をつぶって手を広げている。
抱き合ってクサムラに転がった。
顔を見合わせて大声で笑った。
雑草とサチの背負っていたバッグがクッションになってくれた。


中州に向かっていた。
深みにはまって足をすくわれた。
何とか抜け出せた
サチは溺れかけていた。
「サチ、竿だ!
竿から手を離せよ!
離して泳げ!」
「嫌よ!
セミが死んぢゃう!」
「駄目だよ!
離せって!
溺れるだろう!」
「嫌よ!
離さない!」

飛び込んだ。
サチの手に届いた。
握りしめた。
流された。
もう駄目だ、、
サチにしがみついて観念した。
セミの箱が岩に引っかかった。
引っ張られた。
足が地に着いていた。
セミの箱は流されていった。

サチ、あの時、一緒に死んでいたらな、、、
「武蔵、、、」
サチ、竿離さないからだ、、、
「武蔵、、」
セミ助けて命を落としたかも分らなかったのに、、
でも、、あのセミ、助けてくれたんだね、、
代わりに、、
「武蔵、、武蔵、、、武蔵、、」
「サチ、、、、」
「私,、死んだの、」
「、、何を言うんだ。
俺がいるじゃないか。
死なせないよ」
「助けに来てくれたの、、」
「、、、、」
「やっぱり来てくれたのね」
「ごめんよ、、何も出来なくて、」
「、、会いたかった、、、」
「ごめんよ、、サチ、」
「顔、、見ないで、」
「何を言うんだ。
綺麗だよ。
サチ、すごく綺麗だ。
何を気にしているんだ、こんなに綺麗なのに」
「、、、、」
「もう大丈夫だ。
サチの中に俺と大和の血を一杯入れた。
この痕も消えるって、先生が言っていた」
「、、、」
「俺と大和の血が一生懸命に治す。
サチはこれから生き返るんだ。
俺と一緒に」


「どうだった」
「会ってきた。
サチだった、小さい頃の、」
「そうか、、よかった、」
「穣二がかけたそうだ。
俺がプレゼントしたペンダント見つけて、、、ペンダント、、お湯に入れて、、」
「そうか、、よく我慢したな、、、」

theme : 連載小説
genre : 小説・文学

この記事を見ている人は、次の記事も見ています。

ロードしています....

最新エントリー

Trackbackについて

Trackback policy - トラックバック・ポリシー

言及リンクは特に必要ありません(が承認待ちになることがあります)。初めてされる方もお気軽にどうぞー。内容が良かった場合はこちらからもトラックバックを送らせていただくことがあります。また、内容が悪質な宣伝目的やスパムと思われるものや全く関係のないトラックバックは削除します。

以上に了承された方は下記のTBアドレスを御使用ください。


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

comment

comments:
0 Responses to " 15:偽威議員 再生 "
Secret

dorock修

Author:dorock修
物語,音楽をとおして何かを共有できないか、心に入り込めないか探っている者です。
リンクのdorockmuzie/junkmusicをクリックしていただければ、junkな音が、

最近の記事
dorock 全作品一覧

全ての記事を表示する

CATEGORIES

MONTHLY

Ranking

ブログランキング・にほんブログ村へブログランキング

fc2
Track Back
Comment
Mail Form

名前:
メール:
件名:
本文:

you're welcome

k2

FC2ブログジャンキー

「アクセス数が全然伸びない…」そんな悩みをブログジャンキーが解決します!

RSS Link
QR
QRコード

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ