38:With a little help. メンゲレの計画 このエントリをはてなブックマークに登録

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38:メンゲレの計画 

マイケルを部屋に残して外に出た。
知り合って半日にも満たない青年に書斎の戸棚だけは開けないで欲しいと伝えた。彼を100%信じている自分を信じた、変な言い回しだ。
彼は戸棚に目をやり、私の目に頷いた。
彼と繋がったと感じた。こちらが開けばその分、返ってくる、と、、思い込みに過ぎない、とは。

家に戻るつもりだったが、ドライバーには診療所と告げていた。
ピコにGOの携帯を教えることができてよかった。山岡に感謝しなければ、二人がまた昔のようになれば安心しておさらばできる。
運転席横のダッシュボードの身分証明、IRAQ・Ibrahim al-Jaafari,,が目に入った。
、ルドウィク、マイケルを捲き込んでしまった、、気付かれたらマフィアに追われる。
数日中にドンを殺そう。


メンゲレの計画はNY五大マフィアファミリー間の抗争を利用して組織を弱体化させることだった。その餌としてガンビーノ・ファミリーボス、ドン・ゴメス殺害は不可欠だった。
おまけに親友、ルーリード、ピコの実の父親を殺した黒幕だ。これまで集めた資料だけでも彼らは大打撃をこうむる、だが組織までは無理だった。どのファミリーも次のドンが待ち構えていた。弱体化させるにはファミリー間に、しこり、恨みを植え付けることが必要だった。

半年前、ドン殺しをコロンボ・ファミリーボス、トーマス・ブシェタ持ちかけた。
二年前、彼の妻、キャサリーンの心臓疾患の手術で知り合った。ドンを快く思っていないことを予め調べておいた。彼は知っていた、、親友が行方不明になった黒幕だと。マフィア間では周知の事実だったようだ。
一月前、表に出ることなく、ボナンノ副ボス、サルバトーレ・アロイがドンを葬ってくれる伝えた。うまく行けば、ボナンノからヘロインのマーケットも奪い取ることが出来ると。


ドン・ゴメスはクィーンズに住んでいた。ハワード・ビーチで毎年、独立記念日に主催する違法の花火大会を警察は黙認した。NY市警、FBIにとってドンは泥棒、殺し屋、詐欺師、恐喝屋でも、ここクィーンズではギャング中のギャングで、知名人、英雄だった。俳優のような顔、笑み、これだけで彼の悪口を言う人はいなかった。 
1939年、8人兄弟の4番目の子どもとしてNYのロウア・イーストで生まれた。1920年、シチリアから不法入国した貧しい農夫を父に持ち、母親はスペインのカタロニア出身だった。両親は米滞在許可証を持つことなくこの世を去った。名前がスペイン系のため子どもの頃からイタリア系に喧嘩を売られて育った。しかし性格の残忍さに周りはゴメスを恐れ敬うようになっていった。

15歳でギャングメンバーになり、駆け出し時代はロウア・イーストを拠点に、強盗、恐喝、ケネディ空港トラック強奪などをやった。20、30代のとき何度かルイスバーグの連邦刑務所に服役した。
当時、この刑務所にはロバート・ケネディ司法長官のマフィア撲滅作戦のおかげで、400人以上のマフィアが常時服役していた。

その中に前コロンボ・ファミリーボス、ガランテがいた。血気盛んな若いゴメスを気に入り面倒を見た。しかし、ゴメスはガンビーノへの忠義から彼の庇護を途中で断った。以来、刑務所内で面子を潰されたガランテはゴメスをひどく憎んだ。
晩年のガランテは、選挙シーズンになると《イタリアの力》という政治団体を結成し、政治的な影響力を手に入れようと街頭に出て頻繁に演説をした。連日マスコミに顔写真が出て、マフィアの言葉、文字が、新聞、テレビをにぎわしていた。
当時のガンビーノボス、カルロ・ポンテはこれに恐怖を感じた。
1991年4月、ガランテはコロンブス・サークルで演説中、カメラマンに変装したハーレム黒人ギャング団に暗殺された。黒幕はガンビーノボス、カルロだったがFBIは立証できなかった。
当時、幹部だったトーマス・ブシェタはガランテの復讐を誓った。


ブシェタとアロイの電話をすべて録音していた。ドンの死後、全米マフィアに流せば抗争が延々と続く。

診療所からボナンノファミリー副ボス、サルバトーレ・アロイに電話をした。
「アロイさんですか?ジョセフ・メンゲレです」
「こんな朝早く、、よくかけてこれたもんだな。どうして鉄二とのランデブーを避けた?ドンが感づいたのか?」
「私事だ。悪かったと思っている。あなた方の真意がはっきりしたので二三日中に決行したい」
「殺し屋が毛虫とはな、、俺はお笑い者にはなりたくない。この件は駄目だ。毛虫とは、!」

アロイは思わず噴き出した。弾みでテーブルがよろけ、半分ほど入ったワイン・グラスが純白の絹スカーフを目指して滑ってきた。
ワインの冷たさも赤に変色したスカーフも気にならなかった。
奇声を上げて又噴き出した。
「うひゃーーーー!!!」
「何を言うんだ!いい機会だ、これを逃したらドンを殺せない。あなたのドラッグマーケットも乗っ取られる」
「毛虫が殺し屋でどうして信じろと言うんだ!」
「長年、主治医として仕えている私を信じたまえ。ドンは毛虫を見れば心臓発作を起こす」
「、、真剣なのか、、で、俺達は何をしたら?」
「毛虫を今日中に集めて明日の朝までに届けて欲しい」
「大のマフィアが毛虫集めとは、、そこまで言うのならどうやって殺すのか教えろよ」
「浴槽だ。ドンが入った浴槽に毛虫を投げ入れる」
「誰がやる?」
「私だ。あなたは毛虫を集めて欲しい。100匹は欲しい。私は動けない、、察してくれ。メデジンカルテ、カリカルテ、コロンビアのコカインはそっちの思うままになる」




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genre : 小説・文学

15:完・えるびす&れのんこのエントリをはてなブックマークに登録

15:


聖子:アゴジ、いえ、イェップ様?何が起こっているのか説明してください!
山田:心配しなくていいよ、わたくしイェップ様を信じていなさい。すべてこの方の作り話ですからね。
聖子:でも、田宮はどうなるのでしょう?
岡本:聖子よ、この糞女!このイボジ(一同振り向く)はお前も田宮と同じでな、働くだけ働かせて捨てるつもなんだよ。お前のドレス1億で買いたいとメンフィスの偽本山から注文が入ってるんだ。
聖子:1億!本山からですか?
山田:何を言うのです!出鱈目を、そんなの入ってません。
岡本:又、知らん振りか?偽本山はお前のデザインに惚れてるんだとよ。
山田:入ってても1千万そこらです。
岡本:入ってるじゃねぇかよ?1千5百万とか言ってなかったか?なあ、お二人さんよ、このおっさんは山師だぞ! 
聖子:まあ!
山田:何を作り話を。
岡本:このおっさんはおまえのデザインで一儲けしょうと企んでんだよ。浪曲ラップのCDタイトルを間違えましたなんて、、馬鹿みたいなこと言ってよ。キッドの癒しの浪曲が木戸先生の怒りの浪曲だったか、、、
山田:なんとひどいことを!ドクターキッドです。浪曲ラップではありませんぞ、ヒップホップ演歌です!
岡本:どっちゃでもいい。こんな親父とは付き合いたくねえ!

聖子、田宮、二人で話している

田宮:あなた方の魂胆がわかりました。聖子とわたしはこれから新たに新しい会派を立ち上げることにしました。わたしがションレノン平和友の会を、聖子はエルビスフレスリー宇宙平和です。カツラ、Tシャツ、ドレス、あなた方が路頭に迷う姿を目標に戦いますのでそのおつもりで。
聖子:アゴジ様、あ、先ほど岡本様のお話では改名されていましたね。イボジ様でしたね。
イェップのイボジ様?本山のドレスあたい達でやりますので!どうか末永くお元気で、ゲップのイボジ様。
田宮:黒ゴマ誠君、いや、誠The不燃ゴミ君。君も元気でやりたまえ。これからはライバルだ、商売大変だろうけどね。 

田宮、聖子 大声で笑いながら退場。
山田 にたにた笑って座っている

岡本:よお、おっさん、どうした!さんざこけにされてよく笑っていられるな。
山田:感激しているのです。
岡本:感激している!何だよ!
山田:岡本さん、我々もイスラム、キリスト教の歴史のプロセスから逃れられない運命なんだと。
岡本:何を言っとるん?
山田:(異様な目の輝き)
メジャーになる宗教は分裂しなければいけないのですよ。イスラム教におけるシーア派にスンニ派、そしてプロテスタントにカトリック。エルビスフレスリー世界平和もあなたのジョンレノン平和協会もしかりです。今、あの二人が枝分かれして行ったのですよ!
ションレノン平和友の会、エルビスフレスリー宇宙平和、、岡本さん!これが何を意味するか!わかりますか!我々もメジャーな宗教になる道を歩み始めたということではありませんか!喜ばしいことではありませんか!そうでしょう!
岡本:そういえば、そう言えなくもないが。
山田:でしょう!岡本さん、やっと今あなたと心が一つになったような気がいたします。
岡本:確かにそうだな。
山田:我々の宗教の偉大さがとうてい交じり合うこともないと思っていたわたくし達の心に作用したのですよ。なんと素晴らしいことでしょう!あの二人に感謝しなければ。
岡本:そうだな。たしかにそうだ!
山田:(大声で)岡本さん、もう、メジャーが目の前です。我々はもう歩んでいるのですよ!
山田:(大声で叫ぶ)そうだ!そうだ!

叫び続けている岡本を見てささやく
山田:メジャー、メジャーって、アホか、野球、ミュージックのレベルかよ、、ジョンレノン平和協会はそんなんじゃねぇぞ、、、

         完      dorock修

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genre : 小説・文学

39:With a little help .メンゲレの死このエントリをはてなブックマークに登録

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39:メンゲレの死


午後、診療所を出てストロベリー・フィールズの西“WOMEN'S GATE(W72丁、セントラルパーク出入り口)”に向かった。辺りをチェックした。
五日前だ、あのホームレス姿の見張りがいたのは、、あれ以来不審な人物を見かけなかった。
広場はいつものように観光客で溢れていた。
ポンペイのモザイク横のベンチに座った。
笑っている、皆、楽しそうだ、ぼんやりと彼等を見ていた。
彼らとおなじような気持ちに、、なかった、、76年も生きていて、、ピコか、、初めてお父さんと呼んでくれた時、小学校卒業、あれは一番うれしかった。
目が合っていた、、誰もが私を見ている、ように感、、いや、私が見つめていたからだ。

なぜなの、どうしたの、お爺さん、そんなに見つめて、

どうしてそんな心配そうな目で私を、、そんな深刻な顔をしているのか。

目を逸らした、モザイクのセンターに刻印されている"IMAGINE"が目に、、まさにレノンの“imagine”だ。
頭はフル回転でこれからのことを考えていた。

ドン・ゴメスが議長を務める全米マフィア・最高会議に3回付き添った。
190cm、100k近い大男はいつもおびえていた、毛虫、げじにだ。それをボス連中に悟られないように細心の注意を怠らなかった。会議場、議長席すぐ横に自分が待機する小部屋を秘密裏に造らせたぐらいだ。
そこで体にテープ・レコーダを巻いて、、最後のはピコのICレコーダーだったか、待機していた。会場の声は筒抜けだった。
その3本のテープ、NY5大フアミリーの悪行を記録した膨大な情報、ドンを定期的に訪問していたビジネス・マンを装った暴力団リスト、、ドンを殺す前にFBIに、いや、もし失敗したら動き出す。やはり殺害後だ、、それにトーマス・ブシェタ、サルバトーレ・アロイをドン殺しの黒幕にするには殺害後、彼等との会話の録音が必要だ。
明日の夜決行しよう。ピコはこれまでの蓄えでなんとか生きていける。GOだな、、山岡にそれとなく仲を、、時間がないな、、今日中に接触できれば、、毛虫を運んでもらおう、その時それとなく伝えよう。
毛虫はどこに、パール通りにはマイケルがいる。忘れていた、、マイケルと山岡は知り合いだ。
どういう関係なのかマイケルは言わなかった。
マフィア、ドラッグ、、アルカイナ、、、ドンがいつか言っていたな。

“ボナンノファミリーはアフガニスタンのヘロインをテロ集団アルカイナから仕入れている。アル
カイダと関係がある。早急になんとかしないと合衆国政府からとんでもないとばっちりをマフィア全体が受ける”

マイケルはアルカイナの工作員?山岡に接触したのはヘロイン?だが、あの太鼓、、中身はどうも別の物が入っていたようだ。
それより毛虫だ、、どうする。山岡にはパール通りの部屋は教えられない。診療所も駄目だ。明日、夕方、決行前に受け取るか、、、今夜、山岡に会えないな、、携帯で二人の仲を頼むか、、、、、、
、ピコ、、、今夜が最後だ、、感謝している、、いなかったらここまで生きてこれたか、、マフィア抗争の流れ弾で足が不自由に、、よく私を受け入れて、、マフィアお抱えの医者を、、お父さんがドンに殺されたというのに、、それでも、、よく私を、、

その時、背中、左の背中に軽い痛みが走った、子どもがぶつかったような。
覚えがあった。小学校に行きたくないと、ピコが駄々をこねた時、肩に彼女を背負って小学校に連れていった。
その時、背中を小さな拳で、、おかしい、、息ができない、、なんだ、これは、血、、“うっ”血、、刺された、のか、、こんな所で、、ジョン・レノンのストロベリーだ、、平和を、、、うっっ”、そんな目で、、私は大丈夫だよ、、、そんな心配そうな目で、、さっきの人達か、、じゃない、、観光客が入れ替わって、、、どうなっている、、“ううっ”、、、明日、、どうして待ってくれない、、後二日、、二日、、、、すべてを捧げる、、、頼む、、、“ううぅっっ”二日だけ、、でい、ぃ、、“うっ”





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genre : 小説・文学

1:わいぎぎ亀は亀. Faxこのエントリをはてなブックマークに登録

わいぎぎ亀は亀ツアーデスク

登場人物
ゆかり:亀は亀ツアー@ホテル・デスクチーフ。ハワイ在住20年
鈴木幹夫:亀は亀ツアー社員 
ウイルス・コンパソ:亀は亀ツアー社員、メキシコ系米人
アキ:亀は亀エアポートスタッフ、中国系米人
長田敵矢(ながだ てきや):北海道のやくざの息子
長田順子(ながだ じゅんこ):てきやの妻
長田昭雄(おさだ あきお):ワイキキ在住。おさだ かんじゅうろうの息子
長田勘十郎(おさだ かんじゅうろう):ツーリスト

fictionです。

1:Fax    

ハワイ・オアフ島、ワイキキ@ホテル内、亀は亀ツアーデスク。奥行き5m、幅20m程のガラス張りの入り口,中にデスクが並んでいる。
早朝出勤したゆかりがFaxを読んでいる。

@ホテル・亀は亀ツアーデスクチーフ: ミス ユカリ ホフマン殿

御長男様、長田敵矢様御結婚式の参席を米国移民局ブラックリスト対象者の為、見合わせていた長田秀吉様、御夫妻カナダ、バンクーバー経由でそちらに向かうことになりました。御長男様、米入国を知って大変喜んでいらっしゃいました。もちろん敵矢様もブラックリスト対象者ですよ。

御と様にくたびれそうなので大変書きづらいのであります。ゆかり君、少し省きますよ。
秀吉様は4名様のパーティでカナディアンパシフィツク007便、成田発午後6時、バンクーバ着翌朝7時30。ホノルル到着はそちらの時間で明日午後1時の予定です。フライトはエアカナダ106便です。この情報は敵矢様、到着しだい伝えてください。
昔よく利用していたXホテルは顔を覚えられているので外しました。いろいろあったようです。
なんでも、メイドが部屋に日本酒を持っていくと日本刀でビーフ切っていた、、とか、、刺青が日本刀を両手にサーフィンしている秀吉様、それも背中一面、なのにワイキキビーチでサーフィンをしていたと、、あきれますね。ホノルルアドバタイザーの新聞にも載ったようです。見出しが“サーフィンヤクザ”。これじゃあブラックリストに載りますよね、ですからゆかりの君の@ホテルにしました。極道様、親子、大変でしょうがお願いしますよ。

秘密を教えましょう、適矢様、米入国できたのは私の知恵によりますよ。新規に取得したパスポートの姓は本来の“NAGADA”ではなく“NAGATA”にしてあります。“だ”を“た”にした訳です。
もちろん、こちらの御役所様にはお金を払いましたよ。案の定、米移民局のコンピューター様は見破れませんでした。もちろん、秀吉様もそうしてあるので100%入国出来ると確信しています。これで新婦の夢でもあったハワイでの結婚式、上手く行きそうです。
なお、新婦のご両親は参席されません。皆様もブラックリストで米国にはもう入れないと伺っています。それにボディガードを連れ大挙して行くとなると新婦の夢を壊しかねないと判断されたようです。
余談ですが、敵矢様入国成功の際は新婦、新郎の御両親はどちらが行くか、何でも“さいころ”を振って決めた、と。

秀吉様は“亀は亀ツーリスト”社長、橘と面識がおありで、よく御世話をするように、とのことです。
以前Faxした、広域暴力団、、、、、、、、、旨の情報は表に出さないで処分するように。その時点で社長と面識うんぬん、、の情報を得ていませんでしたのでくれぐれもお願いしますよ。その情報に接した社員には厳重な緘口令をお願いします。もしそれを破った者がいたら首もありえると思わせてください。
この件は社の上層部の限られた者しか知りません。社内で漏れないよう極秘扱いで通常の客のように装おってください。もちろん、デスクの者にはこの情報を知られないように。

社長はゆかり君の処遇並びに賃金アップを考慮しているようです。がんばりなさいよ。
                                       荒川


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genre : 小説・文学

40:With a little help.しり切れトンボこのエントリをはてなブックマークに登録

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40:しり切れトンボ



籠の中にムカデが60匹、4人の部下が石の下、橋の下を覗き込んで捕まえた。
早朝に呼び出されてセントラルパークでこんなことをやらされるとは。
ボスはメンゲレの話に乗ったようだ。
珍しく真顔で、
「毛虫、ゲジ、なんでもいいから100匹、今日中に捕まえてこい」
「ガセネタだったら肥だめに頭を突っ込んで死にたくなりますよ。多分、一生、いや、永遠に語り継がれるでしょうから。ゴキブリならここの住人なので冗談だと思うでしょうが」
余計な事を言ってしまった。
いきなり鳩尾に右フックが入った。
「鉄二、お前がドンを殺るか?ディマッジョのジョン達がパレルモ、ガンビーノ一派、インツェリッロボス、ヴィットリオを屋敷内にあるサンジオバニ教会ごと朝のお祈り中に吹き飛ばす。レバノンのヒズボラ(神の党。イスラム・シーア派過激組織)の爆弾でな。あっちもその気だ」
「急に感じたものですから。メンゲレにデイトすっぽかされてそんなに経っていないものですから」
「いけんのか」

別れ際の言葉で俺への怒りは右フックで鳩尾に沈んだと感じた。だが、最後の言葉が、、しり切れトンボだ。
「教会をイスラムの爆弾で吹き飛ばすとは、鉄二、とんでもない世の中だな。宗教戦争、俺が起こしそうだ、もう起きてるか。ジョンの話だと、ヴィットリオの爺さんの教会はモスクの形をしてるらしい。シチリアは300年近くアラブ人に占領されてたんでな。遺跡はなんでもあり。スペインのハブスブルグ、ブルボンの庭、バロック宮殿、仏ゴシック教会、古代ギリシア、古代ローマの墓、神、王の大理石、銅像、寺院の残骸、アラブ人のモスク。
鉄二、いいかよく聞け。おまえも一応、シチリア生まれだ。覚えてろ。この3000年の間、シチリアは他民族、他宗教に何度も侵略されて従属させられてきた。その歴史の長さがよ、抑圧、倦怠、絶望となってな俺達の心奥深く巣くってる。おまえの中にもだぞ。俺達が殺し合うのは救済だ。ドン・ヴィットリオ爺さんのは毎朝の祈り、、馬鹿な事を。おまえの一族は、、、、、、、。鉄二、早いとこ毛虫取りに行け」

何を言おうとした、、俺の一族、お袋の一族、ジャパニーズ暴力団組長の親父と何が、、糞!あの糞マイケルに会わんと真相はわからんのか。
だが、なぜこんな馬鹿なことにボスは、、親友の仇だと、今時流行らんことを、、何があんだ、メンゲレさんよ。今日中に100匹、ガンビーノと戦争だな。、これか、マフィアの戦争、確かピコの足も抗争の流れ弾で、、だが、メンゲレはお抱え医者だ、それもガンビーノ。

午後二時、78匹集めたところでセントラルパークを出ようとした。
ここらでいい、後はゲジでも事務所で探そう。
何度もボスの携帯にかけたが繋がらない。

ストロベリー・フィールズに差し掛かった時、人だかりが見えた。警官、救急隊員が見える。
WOMEN'S GATE(W72丁、セントラルパーク入り口)手前でストレッチャーを押す救急隊員の叫び声が響いた。
「通してくれ!急いでる!通してくれ!」
ストレッチャーに横たわっている人に話しかけていた、名前を聞いている。
顔半分を覆っていたシーツが風でめくれた。
お年寄りだ、どこかで見た顔、、

「ジョセフ、、、メンゲレ、、、、ピコ、、、、」

声が、かすかに、、唇がそうささやいて、、メンゲレだった、あの写真の。

「何があったのです!」
「後ろから背中!どいて!」

胸騒ぎがした。ボスの携帯は相変わらず駄目だ。事務所にかけた。

「鉄二さん!ボスがリトルイタリーで撃たれました。30分前です!」

どうなってる、メンゲレとボスがおなじ時間に。
救急隊員を追いかけていた。

「老人を知っている!どこの病院です!」
「彼の名前は!」
「ジョセフ・メンゲレ、医者!病院は!」
「レノックスヒル(Lenox Hill)!かなりあぶない!君は身内の者に知らせてくれ!」


「ピコ、お父さんが怪我をした。すぐにレノックスヒル病院に行け」
「え、、、!!誰なの?」
「鉄二だ、、急げ!」
「そんな、、大丈夫なの、、、どこの病院、、」
「レノックスヒル、、イースト70辺りだ!急げ!」

「GO、すぐにレノックスヒル病院に行け。メンゲレがやばい。ピコもそっちに向かっている」
「何、鉄二か、、もう一回言ってくれ」
「レノックスヒル病院に行け。イースト70辺りだ。メンゲレだ、、ピコもそっちに向かってる。急いで行け!じゃな」

毛虫をぶら下げた部下達が小走りで来た。
「鉄二さん、どうしたのですか?急に走り出して何かあったのですか?」
「毛虫なんぞ放り投げろ!おまえらボナンノはやばいぞ。ボスがさっき殺られた。逃げるなり、なんなり自分で考えて動け、いいな」

足は勝手に動いていた。別のことを考えているやけに落ち着いた自分がいた。

“おまえの一族は”、、ボスの、しり切れトンボの、、しり切れトンボ、、尻尾を切って草、枝を押し込んで飛ばす。本当かよ、そんなこと俺達はやれるのか、よ。
マフィアの俺がよくも、言える、、カオスだな。







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2:わいぎぎ亀は亀. 苦情このエントリをはてなブックマークに登録

わいぎぎ亀は亀ツアーデスク

2:苦情

ゆかり:(独り言)専務、賃金アップと処遇は頂いて私はここでさようなら。後は鈴木幹夫にまかせて失敗したら彼の責任、ああ、私って悪い女。でもどうやって彼に?あの手で行ってみよう。

鈴木幹夫、現れる。

ゆかり:(あわててFaxを裏にしてデスク脇に置き平静を装う)あら、鈴木君、おはよう。 
鈴木:グッモーニン、ゆかりさん、やけに早いですね。
ゆかり:あなた感心ね。タイムカード、いつも出勤が7時59分、退勤はジャスト5時。電波時計人間みたい?
鈴木:電波時計人間ですか、面白いことを言いますね。全く理解できませんけど。仮にですよ、臨終間際、急にアイスクリーム食べたくなったらどうします。後1分あったらなんて後悔しながら死ねます?
ゆかり:(抑揚のない声)はい、死ねます。
鈴木:“しねますこーぷ”だな。
ゆかり:何それ?あなたには付き合ってられないわ。鈴木君、日本からあなたに苦情が来てるのよ。3ヶ月ほど前、海底散歩のツアー客をあなた勝手にキャンセルしたようね。お客様のお名前は近藤勇。日本の代理店から怒りのFaxが来たのよ。
鈴木:あ、はい、はい、はい、あの新撰組の近藤勇、竜馬親子ですね。よく覚えてますよ。
局長の勇さんは分かりますが、なぜ息子さんに竜馬なんて、、近藤竜馬、これ笑えません?
ゆかり:新撰組だの、竜馬だの、、苦情よ!
鈴木:はい、申し訳ありません。かなり笑えますよ、これ、ゆかりさんには無理か。局長はかなりのお年寄り、ゼーゼー、ゼーゼー、呼吸するのも苦しそうで今にもあの世に行きそうな感じ、海底散歩はねえだろう、と思いまして。
ゆかり:勝手に思わなくて!勝手にキャンセルしないでくれる!局長は近藤勇さんのことよね?これから局長は省きなさい!鈴木!私達はお客様の要望に応えていればいいの。客がどうなろうと知ったことじゃないわ。あなた、この仕事、何年になるわけ?
鈴木:約2年になりますかね。
ゆかり:私に聞かないでくれる!
鈴木:え、、聞いてはいませんけど。(独り言)<長くこっちに居ると日本語のニュアンス忘れんだな>
ゆかり:何か言ったわけ?
鈴木:こっちに長くいたら日本語どうなるのか心配になりまして。
ゆかり:(一瞬険しい顔。すぐ表情をつくろい異常に優しい声で)鈴木君、なぜキャンセルしたのか教えてくれる?
鈴木:もちろん人助けです。“父は少しぼけ気味で耳は遠いし言葉もあまり話せないのに海が大好きでここまで連れてこられましたよ”、なんて竜馬が言ってたのに、その竜馬がトイレに消えると近藤勇さんが側に来るよう手を振ったんですよ。そして、言うじゃないですか“海は大嫌いだ、海底散歩も何もしたくない”と哀願ですよ。ハワイにも来たくなかったのに息子に無理矢理連れてこられた、って。
ゆかり:あいがん?あいがん、って???愛するピストル?
鈴木:え!愛するピストル、、ですか?わかんねぇな、、なんと言うか?哀願とは悲しそうに願うことですかね。はい、、で、これは怪しい、もしかして親父を事故と見せかけて殺そうとしているのではと思ったわけで。
ゆかり:へーあなたは殺されないようにしてあげたわけね。ゼーゼー呼吸しているだけでそう思うな!他にわけはないわけね、鈴木!
鈴木:わけのわけのわけですか?もちろんありますよ。明治維新の腐れ縁が要因でしょうが、、
ま、普通なら到着日はディナークルーズやそっくりさんショー、ポリネシアン・ショーで夕食、疲れを取って翌日から動くでしょう?早朝到着してくるくるバスで連れまわされてさぞ疲れているでしょうに海底散歩できないか?なんて。午後の3時過ぎですよ。それも、父がやりたい、と言っているなんて竜馬が。おい、よしてくれよ、勇親父さん調子悪そうだろうが、なんて言えないわけで。やんわりと、もうどこもこの時間は無理です、となだめて事なきをえたしだいで。なんとか引き伸ばしました。
ゆかり:引き伸ばした!その、殺されるのを、なわけ?
鈴木:はい、なわけのわけです。到着前日アライバルシート、チェックしておかしいと感じたのですよ。2人連れで3泊4日、オプショナルツアーはすべて日本で申し込み済み。パラセーリング、潜水艦、ジェットスキー、スキューバ、ダイヤモンドヘッド。サーフィンのレッスン。最終日のスキューバー以外はすべてお一人の申し込み、勇さんがやるんですよ。竜馬は何もしないんですよ。お客さん見てびっくり。足を痛め、羽をもがれ、焦燥しきった、いなごを前にかまきりが付き添っているって感じで。しかもそのオプショナルツアーすべて、かまきりが“いなごがやる”と言うんですよ。ゆかりさん、信じられます?
ゆかり:(困惑した表情)むずかしい。日本語進化しているのね。もがれ、、、しょう、、そ、、しょう、、て?
鈴木:え、しょう、、そんなこと言いましたっけ?
ゆかり:まーーいい。それから、カマキリは手と足が長くて宇宙人顔で、アナゴは英語でイール?ウナギのこと、、じゃないわけよね。というと、えーとそのウナギとミミズク?の真ん中あたりよね?
鈴木:宇宙人であなご??みみずく、の真ん中?でした?そんなこと言いましたっけ?え、、うなぎも出てきましたね。何だ?海の生きものと鳥?ちよっと、ゆかりさん、コンフューズしているようなので基本的なことを説明しましょうか。かまきりは息子のことで竜馬さんです。いなごは勇さんで、、あ、、これがアナゴになったのか<納得、納得>。ゆかりさんが言った先程のアナゴはいなごのことだと思います。これは海には住んでいませんでカマキリさんと同じフィールドでがんばっておられます。うなぎさんは海です?いや川でしたか?海がアナーーゴで?川がウナーーギ。それにミミズーークは鳥で空です。そのアナーーゴが、おっと、いなーーごがお父さんの近藤勇さんのことです。

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genre : 小説・文学

41:With a little help.鉄二を殺すこのエントリをはてなブックマークに登録

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41:鉄二を殺す


これまでNY五大マフィアは上納金だけを取ってシチリアからの新参者にドラッグ売買をまかせていたが、NYで一番弱小のボナンノ・ファミリーは徐々にドラッグに手を染めていった。
ヘロイン、コカインがイタリアではキロ5万$、米ではコカインが1万1千$、ヘロインが25万$もしたからだ。

ガンビーノ・ファミリーボス、ドン・ゴメスはボナンノ・ファミリーとシチリアのディマッジョ・ファミリーがメデジンカルテのコカインを、ベネズエラ、エクアドル、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチンを偽装用の積み出し地として使い、アフリカのナイジェリアを中継地としてローマ、パレルモ、カタニアまで船で運んでいる。入り江の多いスペインのガルシア海岸を出航した漁船団やポルトガルの密輸ボートを使い公海上で荷の受け取りをしているなどの情報をシチリアの盟友、インツェリッロ・ファミリーから得ていた。

帰りの船でディマッジョ・ファミリーが、アジア、中近東の阿片から精製したヘロインをベルギーのアントワープ、オランダのロッテルダム、アムステルダム、そして英の港を経由してNYまで運ぶという仕組みだった。
なぜか、リバプール、サウスポート、ロンドンなど英の港を最後に経由する荷物は税関に疑惑を持たれなかった。液化したヘロインをシチリア産のワイン、トマトの缶、オリーブオイルに混入したり、食肉の中に詰め込む運搬方法が取られていた。

三週間前、ドンはディマッジョ・ファミリーが阿片、ヘロインをタリバン、アルカイダと親密な関係のあるアルカイナから仕入れているとの情報とイタリア当局の監視の目がそれに注がれている事実をインツェリッロ・ファミリーから知らされて驚愕した。
イタリア政府から情報を受け、合衆国政府が水面下で重大な関心を持って動いている事実もFBI上層部にいるマフィア子飼いの役人が伝えてきた。
今世紀になって衰退気味のマフィア全体が壊滅的状態になると危惧したドンはボナンノ・ファミリーを除く他のNYファミリーにこの情報を伝え密かに対応策を協議していた。

したたかなコロンボ・ファミリーボス、トーマス ブシェタはこれまでのガンビーノファミリーとの確執を捨て、ドンにメンゲレとボナンノ・ファミリーが密かに進めているドン暗殺計画を教えた。
もちろん、自分が関わっていることなどおくびにも出さなかった。ドンはブシェタを全く信じていなかったが表向き命の恩人としてボナンノ・ファミリーのドラッグマーケットを引き継ぐことをNYファミリーメンバーに働きかけ了承させた。

メンバーは迅速に動いた。NY時間、午後一時半、シチリア、カタニア時間、午後七時半が決行時間だった。
ジョセフ・メンゲレはセントラルパーク内で刺殺、ボナンノ・ファミリー副ボス、サルバトーレ・アロイはリトルイタリーのレストラン、インツェリッロ・ファミリー副ボス、ジョン・スパーロはカタニアのレストランでそれぞれ食事中に狙撃された。

ドンはボナンノ・ファミリーのいい顔になっている山岡鉄二を始末するかどうか悩んでいた。
彼の父親、山岡哲司とは三十数年の腐れ縁が今も続いていた。
日本最大の広域暴力団組長として彼の存在はガンビーノ、いや、マフィア全体にとってアジアへの基点として欠かせないものだった。

出生の真相を知ったら鉄二は俺を狙う。だが、殺せば哲司はよく思わない、、グアム、ハワイでの事業に支障が、、鉄二を殺すには又とないチャンスなのだが。
合衆国政府が相手だと言えば、親父は納得するだろう、、流れ弾が当たって死んだことにするか。



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