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22:ゴッド・ファーザー

《ゴッド・ファーザ》の映画に魅せられてマフィアになった。親父は日本の暴力団組長、そんな縁もあったが一番はあの映画だ、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、今はいい歳したおっさん俳優に憧れた。
この稼業に入った時、正直、面食らった。自分だけじゃなかった、NYのマフィア、すべてが《ゴッド・ファーザ》の映画に恋をしていた。
服、髪型、靴、煙草、歩き、ナイフ、フォーク、何から何まで、デ・ニーロ、アル・パチーノ、マーロン・ブランドの真似をしていた、おっと、過去形じゃない、今でもだ。
あれはマフィアのバイブルだ。
ファミリーでは副ボスのアロイはアル・パチーノ、デニーロが俺のはまり役だったが、最近そっくりさんショーから外れた。この稼業にうんざりしてきたからだ。

毎日が新幹線、脱線などない、一本道のレールが土手の上で寂しくあるだけ。
昼過ぎに起きて、ピザ、スパゲティにエクスプレソの後、縄張りのクラブへ行ってコーヒーを飲みながら何かうまい話がないか時間を潰す。
ぼろい儲け話が入ってくると、壊れていない公衆電話を探しに出かける。壊れていない、だと、笑わせるぜ、、とにかくまともなのを探すのに苦労する。二日と続けて使えるのにはお目にかからないからだ。記録に残らないゴッドファザー時代が羨ましい、住みづらくなったものだ。
運良く、時間切れ寸前に探し当てて値段の交渉に入る、だが、これでも駄目だ、先はまだ長い。
公衆電話すぐ横に駐車していた車の警報探知機が突然、鳴り出すか、パトカー、最悪は制服警官が遠くにちらほら、、、多分、彼等は公衆電話付近を張り込んでいるんだろう。今時、公衆電話をこそこそ使う奴なんて、おまけにアルマニのスーツ姿のおっさん連中だ。
受話器を放り投げて一目散に逃げるしかない、結局、商談は成立しない。
事務所に着く頃はもう夜だ。
シャワーを浴びて服を着替え、ボスのアロイに連れられて夕食。
やっと彼が決めたレストランへ行くと、会いたくない奴、気に食わない奴、他のファミリーメンバーに必ず出くわす。当然だ、同業者、みんな似たような行動パターンだ。
アロイに急かされて、また、レストラン探し、コーヒー、煙草、おまけに空腹で腹が痛い、当然、愚痴を聞かされる。
腹いせに飛ばして、パトカーに追われスピード違反の切符を切られる。
結局、数時間後、誰もいないことを祈ってまた最初のレストランに戻る。
アロイの日課みたいなものだった。どんなに時間をずらしても所詮、鉢合わせするのは分かっているのに無駄なことをする。

マフィア稼業もうんざりだな、おまけにアルカイナとかいうテロリスト集団と関わりあいがあるようだ。

携帯がいきなり喚いた、知らない番号だった。
誰が俺の携帯に“誰だ”

「会えませんか、あなたのお母さんのことでお話したいことがあるのですが、」
お話、、“お”を付けてしまった、、馬鹿。

変なアクセント、餓鬼っぽい言葉遣い、、なのにいきなり俺のお袋、、、?
「誰なんだよ、一体、、名乗れよ。礼儀だろうが、なぜ俺の携帯の番号を知ってんだ」

「会えませんか、、会ってお話すれば分かっていただけると思うのですが、」
まただ、、“お”なんか付けるな、馬鹿!

「何をぶつぶつ言ってる。まだ答えを聞いてないぞ、なんで俺の番号を知ってる」

「僕、、、、俺はある組織の人間です。シチリアのディマッジョ ファミリーと関係がある組織の者です」
「ディマッジョ、、?どういう関係だ?」
「合衆国の人達が好きなものを我々が調達してあげているというわけです。あなたのお母さんがなぜ亡くなったのか知りたくありませんか?」
「何だと!俺のお袋がなぜ亡くなった、だと!」

どうして、、、何だこいつは、、30年間、捜し求めていたものをどうして、、


theme : 連載小説
genre : 小説・文学

23:With a little help. ワシントン・スクウェアこのエントリをはてなブックマークに登録

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23:ワシントン・スクゥェア


午後二時、待ち合わせ場所はワシントン・スクェアゲート前、携帯が必要だ、、盗まなければ、山岡鉄二にしつこく連絡先を聞かれた。ジャパニーズの観光客だな、、、オールジャパニーズキャストだからな、、。

向かいのマクドナルドから若いジャパニーズが出てきた。
こいつでいい、彼の跡をつけた。
僕の英語でOKか、、アラブ系、怪しまれないだろうか、通報されたら事だ。
構うもんか、どんないかさま英語だってここでは通じるんだ、現に僕のは山岡鉄二に通じた。誰だってここにいればニューヨーカーだ、怪しまれるもんか。
でも、、アラブ系はやばいかな、、、いかれたギャングのように振舞ったほうが無難だ、、ヒップホップ系ギャング、、、僕の美しいけつ(尻)が見えるぐらいジーパンをずらしてやるか、、びびるだろう、、ジャパンは平和な国のようだからな、、、アラブのヒップホップギャング・テロリスト、、笑っちゃうな。

Alfanoose(レストラン)の看板が目に入った、アラブのレストランのようだ、、シリア?レバノン?
しぼんだ、、浮かれてくだらない事を考えている自分に腹立たしくなってきた。
右手が右頬を殴ろうと、、やめた、、この5年間いつも同じことをやっている、いい加減くだらない儀式から卒業しないと、。
ジャパニーズの右腕を強く掴んでレストラン脇の階段、踊り場のゴミ置き場に引きずり込んだ。

まだ時間はあったがワシントン・スクウェアに徒歩で向かった。
昔は湿地帯で鴨撃ちにハンターが来るぐらいの寂れた所だった。
今は平和な広場、笑えるな、一万人以上が下で土になって眠っているなんて知ったら皆びびるだろう、無縁墓地、18、19世紀にはパークの北西にある楡の木でギロチンをやってたなんて知ったら。
待ち合わせ場所にふさわしい所なんだ、山岡さんよ、、そんな人が多いとこでかなんて文句言ってたけどさ。
今は平和さ、でも、それは暗い、暗い過去の積み重ねさ。無縁墓地とも知らずに、その上ではしゃいでる、、たまらないよ、滑稽で。いきなり爆弾が破裂したらどうなる、今の僕の国みたいに。

あの看板は?、近くに映画館が、、何、(注)“Boys From Brazil(ブラジルから来た少年たち)”
ヒットラーのクローン人間の映画だ.
世界中にヒットラーのクローンがいたなんて、、、実際いてもいいんだ。そいつ等がどうしてくれるのか、、あれはユダヤ人擁護の映画だ、、、糞ハリウッド、牛耳られてしまって。



奴はアルカイナに違いない、、会っていいものだろうか、FBIがマークしているか、、、捕まれば監獄、グアンタナモ(Guantanamo)でアルカイダ連中の仲間入りか、、、、お袋の亡くなった理由はどうしても、。 

若いのを二人連れてワシントン・スクウェアに向かった。
しつこく若造の連絡先を聞いた、待ち合わせるのに何を考えてやがる。
携帯番号を知らせてきた、一時間も経って。どうせ盗んだんだろう。
わんさか人間がいるとこで、、ど素人めが。
目印が黒のTシャツ、胸の辺りでゴールド色のお釈迦さんが夕日を背景にサーフィンをしている、、だと、、イスラムがなんでお釈迦様だ、、、、どこまで、ど素人だ。

男が20m前の横断歩道を横切った、、横顔、歩き、見覚えがあった。
GO、、なんだあいつ戻ってきてたのか。

おい、GO!!!

注:
Boys From Brazil:ヒットラーのクローンの子供達を題材にした映画 。南米で、ジョセフ・メンゲレがヒットラーの皮膚、血液のDNAで彼のクローン達を既に作っていた。


theme : 物書きのひとりごと
genre : 小説・文学

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24:サーフィン好きなお釈迦様

花子さんのアフリカの恩人、なのに徹は、、マイケルをここに泊めてはいけない、当の本人の前で。ひどくびびった、気まずい雰囲気になると、、そうならなかった。
マイケルは一応、驚いた素振りは見せたが、どこか楽しんでいるような、今にも笑い出しそうな雰囲気さえ、、なぜだ?何が面白かった?
昨夜の徹は普通じゃあなかった、あんなきつい目で、、そうか、俺達、大人、三人が徹の言葉を真剣に吟味していたからか、それがおかしかったか?
少年っぽい、どこか不自然なとこも、、コーヒーカップを覗き込んでいた、話しかけているのに、、泡が消えるのを一心不乱に見ていた。
何かに、、そう、、食われているような感じだった、、自分を餌にしているような、、。
徹は何が見えたんだ、、今朝、七時、マイケルは部屋にいなかった、と花子さんが言ってた。
彼女の話では、マイケルの家族はこのイラク戦争で亡くなった、と、、俺と同じ境遇か。
イラク人、イスラム、、テロリスト、二十歳、若い、、テロリストのはずは、持ち物は小さめのショルダーバッグだけ、、真夜中、彼の部屋からかすかな物音がした、携帯を使っているような、聞きなれない言葉、、最近はアルカイダが携帯でPRしているから、それを、、アルジャジーラ(アラブ系放送局)だったのか、、もしかして、それで指示を、、やっぱりテロリスト?
馬鹿、何を考えてる、、、イスラムかと聞いたら、違う、と即座に、、感情が籠められていた、嫌悪するような。マイケルはイスラムを信じていない、だからテロリストじゃ、、、いや、イスラム、イコール、テロリストという図式に毒されているかもな、、、こんな不透明な世だ、そうでないのがいてもおかしくはない。
ハワイ島にペレの神(ハワイ島の石)を送ったのは昨日だ、関連があるのか。
それにしても、何を聞いても徹は押し黙ったままだった、花子さんまでも。


なじみの言葉が飛んできた。無視した、“GO”なんて珍しくもない。
だが、声、、懐かしい、ルチアーノ・パパロッティ並みの図太い、、偉大なテノールに失礼か、、誰もが振り返る。
立っていた、、あいつだ、どう見ても鉄二だ、いつものアルマニ姿じゃない。
Tシャツ、胸にGROOVY(グルーヴィ)のロゴ入り、KISSがデザインした新作だ。
断崖絶壁で、キリスト、マホメッド、お釈迦様三人が必死で一本のロープにしがみついている。上に一人、下に二人の三通りのデザイン、、上はロープを切らないと共倒れだ。

まさかワシントンスクゥエアで、卒業以来だ。
横断歩道のど真ん中で突っ立って鉄二を待っていた。敵わないのに車のクラクションが鉄二のテノールに挑んでいる。
珍しい、昔はのんびり歩いていたのに、早足だ。
いったんズボンを捲り上げて、また、便意を催して座りなおしたような顔、、ああこの顔付きの時は気を付けないと、、遅かった。
変わっていない、昔と同じだ。いきなり平手が頬に飛んできた。

「馬鹿、今までどこにいた?」
「久しぶりだな、鉄二」
「五年以上は久しぶりとは言わないんだよ。それ以上は、まだ生きてたのかよ、だ。
お袋さんが亡くなった情報は入ったが、おまえは何やってた。お袋さんを看病しに日本に帰ったんだろうが、何の連絡もせず。親父が貿易センターテロ、お袋さんもあの世に行っちまってまいったか、GO凡凡よ」
「何とでも言えよ。腑抜けになってハワイに逃げた」
「ふん、、そんなとこだと思ってたよ。今、時間がない、連絡先くれ。夜、電話する」
「そうか、学生時代からアルマニだったのに今時のマフィアはTシャツか」
「仕事、、、サーフィン好きなお釈迦様に会うんでな」




theme : 連載小説
genre : 小説・文学

25:With a little help .可愛い竜巻このエントリをはてなブックマークに登録

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25:可愛い竜巻


あのジャパニーズは花子さんのとこにいた、、、相手は、、、山岡?
僕の目印に徹が着ていたシッダルサ(お釈迦様)のサーフィン姿を伝えた、だから、登山家、三人、マホメッド、キリスト、シッダルサのTシャツを?
胸ポケットの写真に右手が走った。
間違いない、何度も拝んだ顔だ。
でも、なぜ、あんなに親しそうに、、どういう関係だ。ジャパニーズ同士、友達?、、まさか、アルカイナは僕をスケープゴートに、、シチリアのディマッジョファミリーと山岡のボナンノファミリーは仲間だ、、そのディマッジョにアルカイナはアフガニスタン、パキスタンのドラッグを卸している、、、違う、、その線じゃない。
考えろ、マイケル、考えるんだ、、、、、、偶然会った、ただの友達、、、横断歩道の真ん中で話すぐらいだ、、、そうだ、そうとしか、、、あのジャパニーズを調べないと。

とにかく合格だ、山岡さん、あなたが来てくれるのか確かめたかっただけさ。僕が思い描いていたようなやさしい、やさしい?変てこな言葉だな、笑わせる、でもそんな人だったよ。
お袋さんのことは必ず知らせる、このワシントン・スクウェアを吹き飛ばす時、待ってて。
なぜ亡くなったか知ったら粉々になりたくなる、僕が手助けしてやるよ。あなたに大事なものを運んでもらわないとこの平和な広場を吹き飛ばせないからさ。
それにしても、そのTシャツのデザインは際どいよ。皆、どうすんだろう、、ロープを切る?
どうなるのか、先を見たい。出来れば、切った時の表情、場面のデザインを頼みたいな。
まさか引き上げようと、一緒に落ちていくなんて、、あり、、か?

ドゴン族の太鼓だ、とにかく早く回収しないと。
着いてる?、、無事、着いているはずだ、、、幹部が確実に送ったと、、だって、ばれていたら僕は捕まっているし、花子さん達も。
まだ着いていなかったら?、、、そんな、、時間が経っている。
もしそうだったら、、、僕は泳がされて、、、、どうだ、、マイケル、見ろ、見渡せ、居るか、誰か監視しているか?
“いないよ”
大きな声が出ていた。通行人が一斉に僕を見た。
やばい、GOに背を向けろ、マイケル。
ああ、、自分で名前を言い始めている。よくない兆候だ。不安、緊張すると、いつもだ。
いい加減そんな子どもっぽいこをなんか止めろ、、マイケル、、、ああ、、また。

目が、焦点が、ぼやけてきた。
視界が消えてく、駄目だ、、こんなとこで、ワシントンスクウェアまですぐだ、マイケル、がんばれ、公園のベンチに座れ。
こんなとこでどうか跳ばせないでくれ、怪しまれる。
サングラス、サングラスだ、、、ない、、どうした、マイケル、落としたのか。
なんで太陽の光がこんなに気持ちよく降り注いでいるのに、、あ、、初めてだ、ぼやけるなんて、、視界が消えてくなんて。

駄目だ、かすんで見えない。
ああ、ぶつかった、、ああ、また。

何やってるんだ!どこを見ているのよ!
ちょろちょろして!真っ直ぐ歩けよ!

ベンチの端、手がたどり着いた。
女性の髪の毛?、触れた、、人が座っていた。

非難の声が来ると、来なかった、、でも、可愛い竜巻が僕の右頬で発生した、と、同時に咳払いと足音が宙で木霊した。

地面に積もっていた、、銀杏だ、、葉っぱだ。
なぜ脈を、、君達も脈打つの?だって体から離れて一人ぼっちで落ちているのに。
いきなり竜巻が右肩に動いた。
ああ、そっちに行く気だ。
君達、早く逃げないと、、吹き飛ばされるよ!



theme : 連載小説
genre : 小説・文学

dorock修

Author:dorock修
物語,音楽をとおして何かを共有できないか、心に入り込めないか探っている者です。
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