完:下ヒッチハイク. エピローグこのエントリをはてなブックマークに登録

エピローグ

東京に着いたらどうしようか、ゲート前の待合室で悩んでいた。
もう部屋も行く所も無い。

そうだ!インドだ、光に会おう。

成田で飛行機を探すのは億劫だった。
移民官に頼んだ。
「東京ではなくインドにしてくれませんか。
どうせ運賃を払わされるんだからどこに出国しようが問題ないでしょう。
行き先ぐらい決めさせてください。
お願いします」

スチュワデスが隣のゲートから叫びながら走って来た。
「ドクターはいませんか!
ドクターは!
ドクターはいませんか!」 
移民官が彼女に訊ねた。
「隣の12番ゲートから出る飛行機の中で!
お客様が!
心臓発作を起こして!」

12番ゲートへ行こうとした。
俺の左腕を移民官が強く掴んだ。
「どこへ行くんだ!」
「12番ゲートに行かせてくれ!
助けることができるかもしれない!」
「駄目だ!
もう搭乗時間だ!」
「頼むから!」

強引に彼の腕を振り払って12番ゲートに走った。 
乗務員の制止を振り切って進んだ。
「医者だ!
通してくれ!」

男が二人、汗びっしょりになって人工呼吸をしていた。
一人が諦め顔で力なく俺に首を振った。
「眠っていると思って、、気づくのが遅かった。
もう停止して10分、近い」

60過ぎの恰幅のいい男の額に右手を置いた。
ミスターFを呼んだ。

「動いたぞ!!」
叫び声が上がった。
歓声と拍手が機内を揺るがしていた。
皆、俺を見ている。

男の子が、ひざまずいている俺の腕に飛び込んできた。
俺の胸でしゃくりあげた、しゃべりがたどたどしい。
「..おじちゃん..ありがとう..
お祖父ちゃんが死んじゃったら..
ぼく..独りぼっちになっちゃう..
パパ..も..ママも..遠くにいっちゃった....
.お祖父ちゃんがいないと..
ぼく..眠れない..
お祖父ちゃんの子守歌聞かないと..
ぼく..眠れないんだよ..
ミルクも..独りで飲めないんだ...
お祖父ちゃんが死んじゃったら..
..ぼく..お祖父ちゃんが.......」

涙を、何度も、何度も、手で拭ってやった。
甘そうに舐めている。
口に含むと甘酸っぱい、ミルクのにおいがした。 


到着、予定時間から45分が過ぎた。
ボブ・レノンは、マーク・ボランと風耕二の姿を到着ロビーで探していた。
ノースウェスト・カウンター内の女性に、二人が搭乗していたか確認した。
「ミスター.マーク・ボランは心臓マヒを起こして病院に搬送されています。
病院名はわかりません。
ミスター、コージ・カゼは合衆国に入国できませんでした」
「強制送還か?」 
「入国できなかったとしかわかっていません」 

なんてことだ!
これじゃあ奴がどっちかわからないじゃないか。
病気持ちを相手にするんじゃなかった。
大佐の子はやっぱり大佐の子だ。 


4時間後、アテネ経由のインド・ボンベイ行きの機内にいた。
エスコートしていた移民官が上と掛け合ってくれた。
さすがに荷物は間に合わなくて東京の知人の所に飛んでいった。

アテネの空港から光に電話をかけた。
「1週間以内に行くから」
「待ってた」
「こうなるのを知ってたような言い方だな」
「さすがに入れないとはかわいそうで言えなかった。
でも今回はおまえ自身のために必要だった」
「変な言い方だな。
はっきり言ってくれればこんな無駄しなくてよかったのに」
「必要だったんだ、耕二。
この世に無駄なことなんてないよ」
「、、、、俺、、パワーを持っているのかな?
今回、、、また、、、あってな、、続いた、、」
「疑うな、素直に受け入れろ。
あれからもう何年だ、、」
「もしだよ、、もしそうなら何かそっちで手伝わせてくれないかな。
いや、持ってなくても何か手伝わせてほしいんだ」
「その言葉、待ってたよ」
「ありがとう!
それはそうと、なんか昔と逆だな。
あのときはおまえが強制送還されて俺に電話してきたんだよな。
俺たち、昔とたいして変わってないな」
「変わってなかったのは、耕二!
おまえだけだ!」


夢にお袋が出てきた。
こんなに、若くて、綺麗だったんだ、

外が白んでいた。
看護婦に日付を聞いた。
翌朝になっていた。
風が死んで自分が生きている。

携帯を貸してください。

「風は別人だった、、
ちがった、、
彼は別人だったんだ、、、」
「マーク?
何をおろおろ泣いてんだ!
寝惚けたことを!
別人だろうが何だろうが奴は合衆国に入国できなかったんだ!
強制送還だ!
16時間も待たせやがって!
次はこんなへまをしないようにな!」 

     完    
    osamu

参考図書
『臨死体験 上下』立花隆著,文藝春秋
『死ぬ瞬間』E.キューブラ.ロス著 川口正吉訳 読売新聞社
『死後の事実』E.キューブラ.ロス著 伊東ちぐさ訳 日本教文社  
『異端カタリ派と転生』原田武著 人文書院
『さらばKGB』ティエリ・ウォルトン著 吉田葉菜訳 時事通信社 






 


   


 

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続下はわいーい24: CIAこのエントリをはてなブックマークに登録

24:CIA

戸昼の部屋をノックしようとした、モモがいきなり現れた。
「何やってるんだ、危険だよ」
「私も一緒に」

ドアが開いた、戸昼が立っていた。
「やっぱりおまえか?
純一、何の用だ?」
「チーフ、書類を見せて欲しい」
「書類?」
「昨日の夜、金と交換したでしょう?
チーフはカヤックに乗って沖から見ていた」
「、、、、この女は?」
「親しい友達です」
「純一、カヤックなんて乗っていない。
昨夜は友達のとこだ」
「チーフでした!輪郭がチーフだった。
どうか書類を見せてください。
警察沙汰にはしませんからお願いします」
「まあ、中に入れよ。
散らかってるぞ、俺も今、帰ってきたとこだから」

窓際に寝袋が二つ、居間のテーブル下に押しつぶされたビール缶、引き裂かれた皮の断片が転がっている。
戸昼はソファを指差した。
「純一、なぜ書類を見たい?」
「ある男を捕まえたいのです。
書類に何が書かれているか知りたいのです」
「私のお父さん、それに純のお父さんを殺した人間を捕まえたいの!」
「ルイス・エンリケにおまえ達の親父は殺されたのか?」
「モモのお父さんはロスのハイウェイで、俺の親父はひき逃げです」
「純のお父さんの明を殺したのはヤクザ、書類を持っていた連中よ!
エンリケの指図で彼らが殺したのよ!」
「アキラ?純一、おまえの親父の名前はアキラというのか?」
「はい」
「橋本、、、橋本アキラか?」
「はい、そうです。
モモのお父さんが1989年、親父は半年後でした。
犯人はどちらも捕まっていません」
「おまえの親父さんが亡くなったのは何年だ?」
「1990年です、、5月15日です」
「1990の5月15、、純一、親父さんの写真は?」
「あります」
写真を財布から取り出して戸昼に差し出した。

写真を手に、しばらく見ていた。
チーフがおかしい。
左手が鼻から上を覆った、そして、左右に動き出した。
やがて、右手でジーパンのベルトから顔を覗かせていた、いつも大事そうに扱っていたキーホルダーを抜いた。
改めて見ると大きかった、11cmはある。
左手はまだ額を往復している。

「純一、おまえの親父が俺にくれた」
「親父が、」
「おまえの親父に5歳の時、助けられた。
グアテマラのキチェ村からフロリダまで連れてきてくれた。
俺のアキラはおまえの親父からもらった」
「、、、、、、」
チーフが顔を上げた、目がうるんでいた。
「17年も前に、、1990年か、、真理に追いやられてハワイに来た年だ、俺は3月に来た。
連絡した、、手紙はいつも戻ってきた。
5月終わりから書いたんじゃなゃ、、届きっこないよな、」
「親父が亡くなって長崎の実家にお袋と戻りました」
「アキラはフロリダで真理、結城真理という修道女に俺を預けた。
1990年、5月15日から行方不明だ、、月と日にちまで一緒だとは」
「家のお父さんのお葬式に明が来たの、暮れの12月よ。
あなたが3ヶ月早くここに来ていれば会えたのに、戸昼、助けてちょうだい!
書類を見せて!
ルイス・エンリケとヤクザを捕まえたいの!」
「無い、、無くなった」
「ここにあったのですか!」
「二部コピーがあった、昨夜、9時に出るときはな」
「誰が、、チーフの仲間では?」
「彼らじゃない、二人は無理だ」

帰りの車の中は重苦しかった。
戸昼から書類の内容を聞かされただけに皆ひどく落ち込んでいた。
いや、モモだけは元気だった。
「何をがっかりしているのよ。
まだ何か出来るはずよ、考えましょうよ?
これからハワイ島に行ってエンリケに会いましょう!」
「モモ、無理言うな、会ったとして何を言うんだ」
「でも、このままでいいわけないでしょう?」
ホタルがモモの頭をやさしく小突いた。
「純だけが戸昼に会う予定だった、勝手な行動しないように。
でも、一体、誰が?
9時に出たときはあった、俺達は1時前には戸昼の部屋を見張っていた。
ヤクザか?、ヤクザじゃない、、
エンリケか?エンリケじゃない。
ダニー?」
「もっと大きな力だな、警察、FBI、、CIAとか」




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プロローグ:With a little help from Strangerこのエントリをはてなブックマークに登録

With a little help from Stranger                           

上巻

プロローグ KISS&GO
1:解放
2:徹
3:Deep Purple
4:過去との遭遇
5:日記帳
6:ナチ収容所
7:アウシュビッツ強制収容所
8:ピコと徹
9:溜め息
10;火山の神、ペレ
11:スコティ トイレットペーパー
12:アルカイナ
13:ドゴン族の太鼓
14:花子さん
15:ジョセフ メンゲレ
16:水晶の夜・the night of broken glass
17:アルカイナとアルカイダ
18:見張り
19:若いテロリスト
20:マイケル(Mikhail)
21:俺?僕?
22:ゴッドファーザー
23:ワシントンスクゥェア
24:サーフィン好きなお釈迦様
25:可愛い竜巻
26:ハロウィン
27:Charlie Parker
28:もう一人のマイケル
29:決心
30:スーパー小僧
31:ルドウィック

下巻に続く

フィクションです。
今のところ行き先不明です。


主な登場人物

Go 剣持: 元商社マン、現在、風来坊
Kiss: NYに住むTシャツ デザイナー
花子 コルベ: Kissと共にグルーヴィシャツ経営  
徹 コルベ : 不思議な能力を持つ、花子とマキシミリアノ コルベの子ども
山岡鉄二: アロイの片腕・広域暴力団組長・山岡哲司の非嫡出子 マキシミリアノ コルベ:花子のポーランド人の夫
ジョセフ メンゲレ: ドン ゴメスの主治医 
ピコ リード メンゲレ: メンゲレの養女・親友ルーリードの孫 
ルー リード:メンゲレの親友
ルドウィック:メンゲレの親友
マイケル(Mikhail Hashem Abed):20歳のイラク人テロリスト
サルバトーレ アロイ: ボナンノ・ファミリー副ボス
ドン ゴ メス: ガンビーノ・ファミリーボス  
トーマス ブシェタ: NY コロンボ ファミリーボス
ジョン スパーロ: シチリア ディマッジョ ファミリー副ボス
 
注:
NY五大ファミリー:
ガンビーノ、ジェノヴェーゼ、ボナンノ、コロンボ、ルッチーゼ。


[ホロコウスト]
ギリシア語で獣を丸焼きにして神前に供えるいけにえ。
ユダヤ人大量虐殺、ナチスドイツでは、Final Solution(民族浄化、抹殺計画)という。
 


プロローグ:KISS & GO  

俺の名はGO、ハワイ州、オアフ島、ダウンタウンのホノルル警察署内の拘置所でKISSと出会った。
歳も大体30前後、どことなく気が合った、多分、お互い世捨て人だからだ。
程度にもよるが、金を得る手段が環境に悪いなら極力やらない。まともに働きたくない、風来坊にしかなりえない。
生意気なことを言っているが、詰まるところ怠け者だ。
彼の本当の名前は、金太郎・イザベル・デ・スベンソン・スプキ・ムトンバ・ワムトンボ・〜〜この後まだ20ぐらい続くらしい、頭文字とってKISSだと言った。
お祖母ちゃんが薩摩出身の日本人らしい。

「GO、何やったんだ?」
「二人組強盗の片割れに似てるんだってさ」
「何もやってないのか」
「やってないさ!
三日前、夜10時頃、唇に水脹れができたんでクヒオ通りの薬屋に行った。
お巡りがいきなり手錠だ」


日系の小太りのおっさんが、にこにこしながら尋問室らしき小部屋に招き入れた。
それから4時間、名前、仕事、住所、ソーシアルセキョリティ(保険番号)、国籍、なぜここにいるのかなど何度もおなじことを聞かれた。
“何度も言ったように”を何度、言ったことか。
気が狂いそうだったので俺もおなじ質問を繰り返した。
“何度も言ったように”が“何度も言っただろうが”何度も言わせるな“何度もいったでしょう”と語尾変換されて刑事に伝染した。

「薬屋から2ブロック先のテリーに行ったな」
「何度も言ったように、行ってない。
なんだ?そのテリーって?」
「何度も言っただろうが、バーだ。
何度も言わせるな!
クヒオ通りで何やってた?」
「何度も言っただろう、唇にできた水脹れの薬を買いに」
「テリーへ酒飲みに行って気が変わったんだな」
「何度も言っただろうが、酒飲めない。
刑事さんは酒強いんでしょうね」
「何度も言わせるな!
酒に溺れてるような顔して。
で、金は?
もう一人が持ってるのか」
「何度も言ったように、何もやってないです!」
「しらばっくれるな。
証拠はある、金以外はな」
「何度も言ったように、俺は何もやってない。
バーで何があったんです?」
「何度も言わせるな。
ここではどうやって食ってる」
「何度も言ったでしょう、物を送るバイヤーの仕事」
「何送ってる?
盗んだものか」
「何度も言ったように、香水、ブランドのバッグ、鞄、コーヒー」
「NYでなんかやらかしてここまで逃げてきて、また一仕事したってわけか。
何度もおなじこと言わせやがって」

日系が去り、フィリピン系のこわそうな、痩せた刑事が入ってきた。
エスピノサと名乗った、キックボクサーっぽい。
歩くとき、つま先が120度開き、顔の右半分が左半分より気持ち下がっている。
体重があれば、K1、プライドで使える。

「テリーってバーで何があったのか教えてくれませんか?」
キックボクサーもにこにこ顔だ。
質問おたくが、って顔だ。
「ミフネしかジャパニーズの俳優は知らんが、おまえはいい俳優になれるぞ。
何があったかおさらいしょうか?
「もうおさらいはいいですよ」
K1戦士は朗読が得意だ。
どぶ水、自己陶水に浸りたがる。
急に立って歩くのと、いきなり表情を変えるのだけはよして欲しい。

「男がテリーに入ってきた。
カウンター内にいた女主人、白人の50前後の女性だが、彼女の所に歩み寄った。
(ここで立つ)
ドアの外に立ってる男見えるか?
(表情、チンピラ風に)
よーく見てみな。
ショルダーバッグを抱えてるだろう、え?中に何が入ってると思う?
ダイナマイトだよ!レジの金、全部このショッピングバッグに放り込んでくれ。
そうしないと爆破するつもりだ、おれは彼に頼まれただけだ。
こんなふうに間の抜けた変な訛りで言った。
ここまではいいな?」
「いいな?って何ですか。
よくないですよ、知らないんだから。
なぜ、いつもそこで話を切るのですか?」
「出入り口のドア横で、男がショルダーバッグを大事そうに小脇に抱え突っ立つているのが彼女に見えた。
(ここで立つ)
5分後、二人組はレジのあり金、4300$持って消えた。
その自称頼まれ屋は、彼女が金をバッグに入れてる間、バーテンダーと間違えられて客に酒を作ってやった。
(表情、バーテン風に)
記憶にあるだろう?」
「ありません」
「バーには20人近くの客がいたのに、誰一人として気づかなかった。
おまえたちはアカデミー賞もらえるぞ。
東洋系の顔、癖のある英語、サングラスの形、青のTシャツ、それにジーパン、まあ決定的なのは唇の水脹れだな」
「何度も聞くけど、俺の役はどっちなんです?」
「何度も言ったように、主役だ、頼まれ屋のバーテンだ。
何度も言わせるな!」
「あなたも助演賞もらえますよ」

KISSの話は余りに馬鹿げていた、今でも嘘だと思っている。
「前の日に食べた牡蠣があたってな。
トイレットペーパー持って遊覧ヘリコプターに乗った。
ボブ・ディランじゃないが、風に吹かれてすいすいと落ちてった。
どういうわけかこの警察の玄関前に落ちたんだ。
運が悪いことに、お巡りさんに当たってな」
「トイレットペーパーがお巡りさんに当たった?」
「お巡りさん、入院してる。
半年前に交通事故に遭ってやっと鞭打ち症が治りかけてたらしい。
三日前が久しぶりの出勤初日で、衝撃で元に戻ったって話だ。
当たったお巡りさんの名前が問題なんだよ、スコット・パヒヌイ。
俺が落としたのはネピアだ。
俺の言ってる意味、分かる?
スコット、可愛らしくスコッティ。
どうだ、あんなことにならなきゃあ最高のジョークだ。
今日、刑が決まった、罰金5000$と一月の公共サービスだ。
公共サービスは住んでる所でいいらしいからNYだ。
GO、俺は明日、出る。
おまえはまだかかりそうだな」
「ああ、下手すると刑務所行きだ」

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8:えるびす&れのんこのエントリをはてなブックマークに登録

8:

(山田、悪口を言われるたびに怒りを表す)

田宮:ドクターキド・プレスリー!
 キドのヒップ・ホップ演歌、聴いたことは?
聖子:触りのとこ歌ってあげる。
タイトルは、“おっかあ、いい加減に眼を覚ませ”だったかな。
田宮:“おっかあ、いい加減に目を覚ませ”?
聖子:子供から母親への忠告なんですって。
いい、まず、女性のボーカルが、
“あれ、あれ、あれ、あたしゃ、あんたに惚れてたんよ、あ、ほれ、ほれ”、って繰り返し歌ってる、どちらかというと民謡風、徳島の阿波踊りに似てる。
もちろんドラムとベースがヘビーなビートを出しててさ、そこにかぶさるように、ドクターキドが、
“母ちゃん、母ちゃん、そんなこと言わないで、僕は僕はどうなるの、あんたが惚れた男が怖い僕はどうなるの”、
こんな具合に入ってくる。

田宮、唖然とした顔をしている。

聖子:そしたら女性のボーカルが、
“お前は,神の子、神の子よ。
お前ならかあちゃん無しで生きてける。
わたしゃそのつもりで育てたんよ。
そんな弱気でどうすんの、そんな弱気でどうすんの”
これも繰り返し。
そしたら、ドクターキドが、
“そんな、そんな、そこまで言うならちゃんも言う、母ちゃんの秘密言いふらす、母ちゃんの万引言いふらす”、
田宮:“ちゃんも言う”って何だ?
聖子:ちゃんよ!子供が自分のことを“ちゃん”と言うでしょう。
田宮:それからどうなる!
聖子:こんなの聞きたいの。(嫌々ながら)
ドクターキドが
“母ちゃんの秘密言いふらす、母ちゃんの万引き言いふらす”って歌うでしょう。
そしたら女性のボーカルが、
“まあ、何て子、この子は!実の母親にそんなこと言う子は一人で勝手に生きていけ、
一人で勝手に生きていけ”って歌うのよ。
田宮:そこ、おかしいよな、捨てようとしている子に説教なんかできるか!
聖子:いいのよ、アゴジが作ったんだから。
すると今までお母さんの声は若い女性のボーカルだったのにいきなりお婆さんの声に変るのよ、しわがれ声よ。
いい、い?
“おまえの人生長いけど、わたしゃそんなに長くない、わたしゃそんなに長くない。
ここも繰り返し。
ここらから”ラブメテンダ“が小さな音で入って来て、徐々に大きくなるの。
そしたら、ドクターキドがたどたどしい日本語で“ラブメタンダ”歌い出すの。
ここがみそね、涙が出てくるように仕向けてんの、アゴジの考えそうなこと。
そして
“おっかあ、いい加減にしろ、おっかあ、いい加減に目を覚ませ”
ここは少年、少女合唱団のコーラスで繰り返し。
そして、ドクターキドが、
“そんな母親でどうする、そんな大人でどうする、僕は大人になりたくない。
あんたのような大人にゃなりたくない“って歌って終わり。
田宮:もしかしたらヒットするかもな、ヒップ・ホップ演歌、、
聖子:馬鹿なこと言わないで、そうなったらイェップのアゴジが居座るのよ。
絶対にそんなことさせない。
あたい達の目標は、あたいがエルビス世界平和、あんたがジョンレノン平和協会を乗っ取って、合併してドレスとカツラを柱にブランドにまで高めることよ。
田宮:演歌をヒップホップ風にするなんて発想がすごいな。
しかも6歳の餓鬼が歌ってるってのがな。
聖子:何言ってんの!ビール演歌よ、ヒップホップなんて。
田宮:演歌は日本独自のものだ、オリジナリティがあるいわばワールドミュウジックだよな。それに民謡まで入れた、、、すごいぞ。
ほんとうのクロスオーバーだ。
サンプルCDないのか?
聖子:事務所にあるわ、あんなの聴きたいの?
待ってて、持ってくるから。

山田、なんとか身を隠す。
聖子、平和協会に取りに行く。
聖子、CDを田宮に渡す。

田宮:(渡されたCDを見ている) 
ドクターキドの癒しの音楽、冴えないタイトル。
精神科医、木戸先生の癒しのミュージックってことか?
聖子:何言ってんの?精神科医、木戸先生って誰よ?
田宮:餓鬼の苗字じゃないのか?
聖子:イェップのアゴジの子供よ!
山田に決まってるでしょう!
田宮:じゃあ、この木戸先生は何だ!
聖子:あなた、英語で子供のことキドって言うの知らないの?
田宮:キッドだろう!間に“っ”ぐらい入れとけ。
聖子:まあ、大変!それって本当!
(ひどくうろたえる)
田宮:“母ちゃんの万引き言いふらす”で何で癒しになるんだ?
俺なら、ドクターキッドのドクのとこ、漢字で毒薬の毒にするな。
(聖子を見る)
聖子、お前どうした、そんな顔して。
聖子:CD、もう出来上がってるの。
エルビス世界平和の予算ほとんどつぎ込んだの。
あなた、大変よ。
田宮:ドクター木戸でもう出来上がってる!
笑っちゃうな。
聖子:アゴジが英語で子供何て言うんだ、って聞いたから、キドって教えたの私よ!
田宮:じゃあ、この際、木戸先生で売り出すんだな。
聖子:そうね、アゴジが損するだけだからいいか、明日、ディズニーランド行こうね、久しぶりね

 聖子、田宮、手を繋いで退場。
 隠れていた山田、出てくる。
 
山田:
 ドクターキッド、ドクターキド、確かに木戸先生の癒しの音楽みたい。
あの二人ぐるだったのか。
糞、イェップのアホ、ごきぶり、じいさん、あごが痔になった。
、、アゴ、痔、あご痔!

山田、怒って退場。

翌朝、岡本と山田、話しながら現れる。

岡本:まだ信じられない、ぐるで乗っ取ろうとしてるなんてな。
山田:糞、ごきぶり、あほ、、、アホ、ゴキブリ、爺さん、の頭文字とってアゴ痔とわたくしを呼んでいたなんて。
岡本:ひどいな、アゴ痔なんて呼んでいたのか?
岡本:俺のことも何か言ってたか?
山田:いびつな形をした賞味期限が切れたじゃがいも顔、と聖子が言ってました。
田宮は、たしか、黒ごまがかかったおにぎり誠ちゃん、と。
岡本:じゃがいもに黒ゴマおにぎりのまことちゃん?
なかなか可愛いじゃん。
山田:おにぎりまことちゃん、なんてもったいない名前で、腐ったジャガイモは燃えるゴミだけどまことちゃんは他のゴミがいやがるから不燃ゴミよね、とか聖子が言いましてね。
岡本:何!で!
山田:まことthe不燃ゴミ。
岡本:何それ?
山田:何でも、ざ、というのは市販されているカレーのルーがあるでしょう?
そのThe カレーのtheのことのようで、不燃ごみということを強調するtheのようですな。直訳すると、まことはそれもそれもどうしょうもない不燃ゴミだ、ということのようです。
岡本:(怒りで顔が赤くなる)
なんだと!
俺が不燃ゴミ! 

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続下はわいーい25: これで終わり?このエントリをはてなブックマークに登録

25:これで終わり?

ブクカキスは木に登って好物の黄色のさくらんぼを食べていた。
ウナプとイシバランケ兄弟は、木の上で食べているブクカキスに吹き矢を放った。
ウナプの吹き矢が丁度、顎に当たりブクカキスが木の頂上から転げ落ちた。
上にのしかかろうとしたが、逆に腕を捻じ曲げられ裂かれてしまった。

ブクカキスは腕を持ち帰った。
歯が緩んで痛くて、話すことも、満足に食べることもできなかった。

ウナプとイシバランケは、老人と老婆と共にブクカキスを訪ねた。
痛いのは虫のせいです、歯に巣食った虫を取ってあげましょう。
歯を抜いた
この際、目も治してあげましょう。
威厳のある目、装飾品、自慢していたものをことごとく抜き取り、代わりにとうもろこしの粉を詰めた。

ブクカキスは以前の力を無くした、やがて亡くなった。
老人と老婆は腕を取り戻してウナプの体に戻した。
(by Popol Vuh)



「明との関係を考えると、戸昼が嘘を言っているとは思えない。
二日前のヤクザのハワイ到着から知っていた、いや、以前からか、、。
ただ誤算があった、、盗まれた。
一連の出来事を考えるとCIAなら可能だ」
「ルイス・エンリケが教えたの?」
「ネガティブ、戸昼の話では書類に書かれてあったことはCIAには面白くないことだ。
表に出れば、CIA(注)が偽札偽造していたとばれる。
北朝鮮、コントラ、中米武器輸出、ルイス・エンリケ(注)との関係が暴露される恐れがある。
それにアフリカ・シンジケートとのダイヤモンドの取引、キンバリープロセス(注)に背くものだ。
表に出たら合衆国は国際社会から総すかんを食う。
エンリケが勝手に動き出したので国はあわてていると見えるのだが、、」
「取引、そのものをご破算にしないとやばいだろう」
「そうだ、このままじゃあな。
どうするのかな、、ただ今までは見守っていたが戸昼の部屋から盗んだということは腰を上げたのかな。
なんせ、ヤクザの到着から今日でまだ三日目だ。
急な展開に対応が遅れたんじゃないかな」
「俺達の動き、桟橋の取引からすべて知っていたのですか?」
「戸昼の部屋で話したこともすべて盗聴されていたと考えるのが妥当だ」

皆、顔を見合わせた。
ホタルの、この部屋も盗聴されている可能性があったからだ。
モモがFMをかけた。

「後で、人を呼んで盗聴されいるかどうか調べる」
ダニーが力なく言った。

書類がなくった、、CIA、、
結局、父さんの仇も、何も出来なかった、、すべてこれで終わり、、


ダッジの座席下に隠してあった包みを確認した。
5gのヘロインは無事だった。
それにしても誰が盗んだ、、
すべてお見通しだった、やっぱり、、CIAか?
こんなことありか、そうなら俺達も狙われるか、、
書類が無くなったんで見過ごしてくれるのか、、

戸昼はラルフの部屋に向かった。
小細工をする気も起きなかった、もうどう動こうが相手はお見通しだ。

ラルフと寿子は金を3等分に分けて待っていた。
律儀なことだ、猫糞してよかったのに。
大声を出さないようにと、言おうとした、遅かった、寿子が有頂天だ。
どう足掻こうが歯が立つ相手じゃない、どうでもよくなった。
「戸昼、全部で150万$!」
50万$ずつよ!
やった!」
「ラルフ、FMでもなんでもいいから音かけてくれるか。
あまり意味ないとは思うが、、」
「音、?、何だよ、戸昼、やったな!
おまえのおかげだ、礼を言うぜ」
「ラルフ、音かけてくれ、なんでもいい」
「何だ、そんな小声で、どうした?喜べよ」
「FMでいい、なんでもいいからかけてくれ」
「小声で何だ、、戸昼、」

ラルフがしぶしぶFMをかけた。
「楽しい気分を害して悪いが知らせることがある。
コピーした書類、二部、消えた。
あまり大きな声を出さないように頼む。
盗聴されてる」
「盗聴?、、、書類は無くなったの?」
「一体、誰だ」
「お見通しだったんだ、、すべて。
空港で寿子が盗んだのも、ラルフが運んだのも、すべてな、、」
「誰なのよ、、そんなこと、誰が出来るのよ?」
「取引も知ってたのか!」
「大きな声を出すな、、出しても一緒か、、
すべてだ、今も見張ってるはずだ」
「おい、戸昼、悪い冗談よせ。
FBIとかCIAしか出来ないぜ、、、、、まさか、、そうなのか」
「CIAの公算大だ。
エンリケとCIAの長い付き合いからするとな」
「どうするのよ、、」
「俺達が盗んだのエンリケは知ってたのか、、
CIAに俺達を監視させていた?」
「違うな、、エンリケと繋がっているとは思えない」
「私達、どうなるのよ?
もう狙われてるんじゃない」
「まだ、生きてるよな、、
ここに押し入ってきてもおかしくはないんだが、、
ただ、、書類の内容を知っているのは俺達だけじゃない。
純一が現れた、新聞記者と一緒に、計4人、彼等にも話した。
それが救いだな、、今んとこは」



ルイス・エンリケと中米:
1977年に誕生したカーター政権(在位1977~1981)の人権政策で、米は1978年にニカラグア、グアテマラ、エルサルバドルに武器輸出できなくなった。
その間隙を突いたのがイスラエルだった。以来、CIAは国際社会の目を恐れ、イランゲートが86年11月、発覚するまで、イスラエルとの仲買をルイスに任せた。

エンリケと北朝鮮:
ルイス・エンリケは1992年,イスラエル(モサド)から極秘に要請を受けた。
イスラエルが北朝鮮の金山ウンサンを開発するから、見返りに、イラン、シリア、リビアにミサイル、スカッドを売らないように北朝鮮に働きかけてくれというものだった。
別のルートで北朝鮮が、よりによってイスラエル外交部と同じような交渉をしていたのが判明して失敗した。
この時、エンリケと北朝鮮政府・高官とのパイプが確立された。

エンリケと偽札:
金日成が亡くなった翌年、1995年、エンリケは北朝鮮に依頼され、上村商事を通してスイス製のIntaglio印刷機(注)を購入。
その後も、密かに北朝鮮のために最新印刷機を購入、いずれもCIAが裏で工作。
ピョンヤン郊外、ピョンソンにあるPrinting Housで米$偽札偽造。
CIAは、ワシントン郊外で偽造していに偽札をカモフラージュするため北朝鮮を利用。
現在、流通している大半の米、50,100$偽札はCIA製。
資金不足のため(以前と違い、議会の承認なしで自由に使えなくなった)。

キンバリープロセス(Kimberly Process):
2002年、ダイヤモンド原産地証明の義務付け管理制度。ダイヤモンド資金が、アフリカ諸国の内戦、武器調達に使用されるのを防ぐための制度。


CIA偽札疑惑:
2007年1月7日の日曜版、独、フランクフルトの新聞、FAZ・アジア版にCIAがワシントン郊外のCIA施設内で$50,$100偽札偽造の記事。米政府、沈黙。


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genre : 小説・文学

1:With a little help.解放 このエントリをはてなブックマークに登録

With a little help from Stranger

1:解放

KISSが出た翌朝、刑事のエスピノサが来た。
「犯人が捕まったからおまえは今日にでも釈放される。
昨日パールリッジで二人組が捕まってな、手口がおなじで唇の水脹れもあったそうだ。
テリーの女主人が100%彼らだと証言した。
そっちより似ている、とな。
ダイナマイトじゃなく手榴弾だったらしいぞ」 
「俺より似ている?って、そんないい加減でいいのですか?
ふざけてません?」
「よかったじゃないか、これぐらいで終わって」
「よかったじゃないか、、よくそんな言葉吐けますね。
5日ですよ、あなた達に付き合わされて」
「あのテリーの女主人、これまでにも似たようなことがあってな。
俺達も一応疑ってかかってたというわけだ。
よかっただろうが、誰も出てこなかったら5年は食らいこむとこだった。
素直に喜べ、減らず口が多い。
また災難が落ちてくるぞ」
「なぜ俺に説教じみたことを言うのですか
謝ってくださいよ」
「何!ぶちこんでもらいたいのか」
「唇の水脹れ、俺の見てください、、どうです?五日経ったらこうなります。
水脹れに見えないでしょう?
また主人、嘘ですよ。
あなた達がやることは彼女を捕まえることですよ。
エスピノサさん、テリーの常連なんですか?」
笑った、アカデミー助演賞、確実だ。


日本からのFAXが溜まっていた。
ヴィトンの値段、シャネルの口紅、品番〜〜を当たれ、バイアグラ、メラトニン、
最近はブランド品、薬、こんなのばっかりでうんざりだ。
韓国のなじみの店、三、四軒チェックした。
彼らの商魂はたくましい、どこから手に入れるのか化粧品、香水、ブランドもどきのバッグ、頼んで殆ど手に入らないものはない。
日本のファッション雑誌を手に消費者の好み、トレンドを勉強している。
たいしたもんだ、俺には無理だ、大体、ブランド品の存在自体どうでもいいんだから、そんな奴に限って関連の仕事が来る。
なじみの店はフランスに住む韓国人とコネがあるようだ、インド人とおなじで世界中に同胞が居ると言った。
ただし、国の出身地域で絆は微妙に違うらしい、妨害もありだとか。
複雑だ、俺達の営みは。
この仕事、心が満たされない、限界だな、ここハワイも。

「社長、NY、フランスにも当たってみましたが、ある程度の量買うならなんて言われました。
社長は客の注文もらってから動くのでしょう。
香港に当たったらどうです」
「ないから聞いた」
「社長、今日をもってこの商売から手を引きますので今までどうもありがとうございました」
「急に何だ!GO!
上手く行ってるのに手を引くとはどうしたんだ」
「もう贅沢品、薬、やりたくないです。
今日電話したのは、ここの商売止めてNYに行きますから縁があったらまた」
「NYに行くのか!
あそこはハワイよりなんでもあるから、GO、必ず落ち着いたら住所知らせてくれよ!」
「社長、また、贅沢品、ブランド品、バイアグラ、メラトニン、でしょう。
あんなもん、インターネットで探せるでしょう」


「なぜこここに電話を!」
ジョセフ・メンゲレは、ベッド脇サイド・テーブルの時計に目をやった。
午前一時半だ。
「ドン殺しを忘れたのかと思ってな」
「今すぐ電話を切ってくれ!
娘がいる!
明朝、診療所のほうにかけてくれ」
「こうでもしないとおまえの本心が読めん。
どう始末するのか計画を教えてもらわんとな」
「待っててくれ、娘が寝ているか見て来る」

ジョセフ・メンゲレの相手は、NY五大マフィアの一つ、コロンボ・ファミリーボス、トーマス・ブシェタだった。
2年前に執刀したブシェタ夫人の心臓バイパス手術が縁で知り合った。
ガンビーノ・ファミリーボス、ドン・ゴメスの主治医だったメンゲレは、ブシェタがドン・ゴメスを殺したいほど憎んでいるのを知った。
できるだけ多くのマフィアを道連れにしたかったので都合が良かった。
ガンビーノとコロンボだけでは満足できない、五大ファミリー全てを潰さないと。
それがドン殺しを延ばしていた理由だった。
しかし、好機は訪れず、ブシェタと約束した期限が3ヶ月に迫っていた。
最近、ガンビーノ・ファミリー内で変化があった。
上手く行けば、ボナンノ・ファミリーも巻き添えにできる。

これまで、ルドウィックとルー・リードという2人の親友がいた。
ルドウィックはベルリンにいた頃の親友だった。
目の前でナチ親衛隊に両手首を後ろから捻じ曲げられ、首を前方に押さえつけられて連行されていった。
6歳だったメンゲレに当時の社会情勢は理解できなかった。
凍てつく早朝、妙に血色のいい親友の素足をただ見つめていた。
あのときは何もできなかった、、親友ルー・リードの復讐をする、ルドウィックの分まで。

65年、ロウア・イーストで、ドン・ゴメスが孕ました女性の堕胎手術をして知り合った。
違法の堕胎手術で警察に捕まったとき、ゴメスが世話してくれた腕利きの弁護士のおかげで無罪放免になった。
ゴメスの地位がガンビーノ・ファミリー内で上がるにつれ、メンゲレの待遇も良くなっていった。
マフィアは血縁間の結婚が多かったので、心臓発作、精神障害、IQの低い子供が多かった。
それらもメンゲレの存在価値を高めた。

ドンの邸宅の近くに、米での唯一の親友、ルー・リードが住んでいた。
20年も前のことだ。
その親友が、ドンの12歳の一人息子を車で轢いてしまった。
まったく不可抗力の事故だった。
長男はローラースケートに乗れないのに、粋がって横断歩道がない道路を渡ろうとして事故にあった。
検察はルー・リードを不起訴処分にした。
メンゲレは友に付き添ってドンに謝罪した。
それですべてが終わったと思っていた。
しかし、事件から四ヵ月後、忽然と友が消えた。
当時、ドン夫妻はフロリダに休暇中だったが誰の指図かは明白だった。  


「ドン夫人、カテリーナは5月に尻の脂肪を取る整形手術を受ける。
約一月フロリダの病院に入院する予定だ。
ドンを爆破させることができる、私しか知らない秘密だ」
「爆破させる?何だそれは」
「申し訳ないが言えない。
7月始めまでには片をつける」






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genre : 小説・文学

続下はわいーい26: 万事休すこのエントリをはてなブックマークに登録

26:万事休す


午後四時、ヘリがハワイ島、コナにあるルイス・エンリケの邸宅を数キロ先に捉えた。
パイロットがレシーバに二言、三言、話しかけるや大きく転回した。
どうした、沢村がパイロットに尋ねた。
「引き返せと、指示を受けました」
「誰からだ!」
「家の会社です。
詳しいことはわかりません。
とにかくホノルルに戻ります」
「何だと、、この強い風か?」
「いえ、違います、このぐらいの風は問題ありません。
申し訳ないんですが、ホノルルに戻ります」


盗聴ハンターがバグ(盗聴器)を三個、持ち帰って20分後、ダニーの興奮した声が受話器で響いた。
「ホタル、ルイスに何かあったようだ!
邸宅内から何かが爆発したような鈍い音があったと連絡があって救急車が来た。
警察官も一緒らしい」
「ヤクザは?」
「いや、車、ヘリの出入りはなかったらしい。
3時過ぎにヘリで発ったからもう邸宅に着いてもいい頃だが、、
何があったのかわかり次第、連絡する!」

20分後、
「ホタル!ルイス・エンリケが死んだ、暗殺された。
病院に運び込まれたが駄目だったらしい。
家の支社の調べでは体は原型を留めてなかったそうだ。
狙われた、CIAだ」
「死んだ!」
「手間は省けたが汚いやり方をするものだ」
「そこまでやるの、、、」
「今までの関係を清算したかったのか、自分達がリクルートしたのに」

死んだ!モモと純が横で叫んだ。

「、ダニーこれまでか、、」
「明を殺したヤクザ連中が残っているじゃないか、まだ終わりじゃない」
「彼らも狙われてるんじゃ?」
「海上でヘリ爆破させれば簡単だろうがタイミングが悪い。
ルイスとヤクザの関連がクローズアップされるのは目に見えてる。
司法の場で悪行を暴けるのはヤクザ連中しか残ってない。
彼らには生きていてほしい」

30分後、
「ヤクザ連中、無事だ。
数分前にホノルル空港に着いたそうだ、まだ脈がある」
「だって帰国は明日だ!」
「ホタル、諦めるな。
連中、書類を持っている。
まだルイスの死は公表されていない。
ルイスと直人(ホタル・モモの父親)はハワイアンのヒットメーカーだった、、、
有名人だから時間の問題だな。
なんとか盗む!
家の車ぶつける!」
「そんな、ハイウェイで危ないぞ!」
「ホタル、エンリケの死を知ったらどうするか考えてみろ!」
破棄するぞ、その前になんとかするんだ!」


五人はホノルル空港で、待機していた上山のリムジンに乗り込んだ。
ルイスエンリケと連絡が取れなくて、専務の苛立ちは最高潮に達していた。
「一体何があった!
なんで携帯からすべて繋がらない!
沢村、テレビを点けろ、ニュースチャンネルだ!」
上山の運転手がリムジンのテレビのスイッチを入れた。
「一体、何があった?誰か考えは?」
「ルイス・エンリケ、書類の紛失、知ってたんですかね?
やばいと感じて、」
「上山、彼とは20年来の付き合いだぞ!」

ルイス・エンリケの名前がテレビから飛んできた。
続いて、彼の写真と往年の彼のハワイアンのヒット曲が流れた。
原因不明の事故で亡くなった、とアンカー言った。

沢村が声を荒げた。
「運転手!
空港からついてきてる不審な車はないか!」
「、、三、四台、、空港から一緒です。
まだ、、つけてるかどうかは」
「次の出口でハイウェイ出ろ、空港に戻れ」

「空港からの車が二台ついてきます」
「専務、どうします?」
「皆で書類、契約書を千切れ、一センチ以下だ。
早くやれ!
床に落としたのは回収しろ!
運転手!速度ぎりぎりまで飛ばせ!
空港とワイキキを俺が言いというまで往復しろ!」
「千切るんですか?」
ここまで一言も喋らなかったタケが思わず口を滑らせた。
「ガソリンぶっかけて書類と一緒に燃してもらいたいか、タケ?
車の中でよかったな」

40分後、人力でシュレダー化された書類が、タケのアロハシャツ、T-シャツ、ズボンに集められた。
タケはパンツ一枚になって、なぜ用もない自分が連れてこられたのか理解した。
「沢村、タケ、車が少ないの見計らって雪降らせろ。
ここの住人に雪、見せろ。
車はまだつけてるか?」
「はい、ついてきてます」

それから15分間、ワイキキのハイウェイに粉雪が降り注いだ。

日本に帰れるのか不安だったが、専務は奥の手を考えていた。
このまま日本に帰っても組にはとやかく言われない。
書類紛失のヘマもすべて消える。
ブラックリストに載ってる身だ、移民局に出頭すれば強制送還だ。
だが、ルイスを殺した連中は、そうさせてくれるのか、、、、


「駄目だった、速度が、、
ぶつけることが出来なかったそうだ。
ハイウェイで白い粉が舞った。
紙片だ、書類だった。
あんなことするとは」
「切り刻んで捨てた?」
「司法の場では無理なのか、ヤクザ連中だけでもなんとか捕まえたい。
もうこんな機会は訪れない」

theme : 連載小説
genre : 小説・文学

9:えるびす&れのんこのエントリをはてなブックマークに登録

9:

岡本:聖子を追い出せないのか?
山田:アメリカのメンフィスの本山から500着のドレスの商談がございまして、明日、彼女に知らせるつもりでした。
彼女のデザインのを欲しいと申しておりまして、なんせ総額2000万の取引ですから。
岡本:2000万!
追い出してもデザインの特許料とかないんだろう。
山田:ええ、、2000万なので、、いろいろと余計なことを考えまして。
岡本:彼女がいればドレスでもうけることができるか、悟りなさいよ、おっさん、墓穴を掘るよ。
山田:実は、レイ・チャールズ友の会を立ち上げてサングラスのデザインを任せようかと考えていたので。
岡本:レイ・チャールズ?
そういえば、亡くなったな。
エルビスと二股かける気か?
山田:考えていることがございまして、あなたにも乗っていただきたいのですよ。
あくまでも提案ですが、これから亡くなられる芸能人を、分け合い、助け合いながらビジネスを構築していこうというものです。
芸能人の線引きは、私どもが社会的な芸能人を受け持ち、あなたが反社会的な芸能人を受け持つ、ということで、その線に沿いまして今回のレイ・チャールズ様はわたくしどもが権利を持つということです。
岡本:(唖然としている)レイ・チャールズのどこが社会的なの?
山田:ファンの層です。エルビス・プレスリー様は老若男女、あらゆる層に慕われています。
レイ・チャールズ様もしかり、ジョン・レノンは当時では異端。
(岡本、口を挟もうとする)
いや、深い意味はありません、ただ、エルビス様と比べてということです。
前代未聞のきのこ頭にヒッピー、反戦運動、これらのイメージは反社会的ではなかろうかと思ったしだいです。
岡本:それで、レイ・チャールズ友のサングラス?
おっさん、ビジネスの才能があるかもな。
山田:賛同して頂ける訳ですか。
岡本:反社会的なのを俺達が受け持つというが、今時、どこにそんなのがいるのよ?
みんな、若いのも社会的な奴ばっかだろう。
圧倒的におっさんの方が有利で不公平じゃないか?
いや、、尾崎豊なら本気でやってもいいがな、、
山田:で、しょう?そちらにはこれから亡くなられる芸能人の方がたくさんいらっしゃいます。
例えば、初期のロックを支えたグループ、ローリングストーンズ。
ここでは二つの友の会が可能です、ミク・ジャガー友の会、キース・リチャード友の会。
ミク様は私どもで、キース様はあのイメージですからあなた様受け持ちになります。
それにエルトン・ジョン様なんかもどちらかというと反社会的なのでそちらになります。
あ、、クィーンのフレディ・マーキュリー様もお亡くなりになっていますね、、早速何か考えなければ。
岡本:レイ・チャールズのサングラスは分かるが、ミックジャガー、キースリチャード、エルトンジョンは何を売ればいいの?
山田:ちゃんと考えてあります。
ミクジャガー様はコンサートでいつも丈の短い窮屈なズボンをはいてますので、ミクジャガー愛用の“ももしき”、なんてどうです、しかも赤外線入り。
エルトン様は異様に馬鹿でかい眼鏡をかけているので、エルトンの遠近両用眼鏡などどうでしょうか?
岡本:(あきれた顔をする)その件に関しては俺はどうでもいいよ。好きにやってくれ。
おっさん、前にも言ったと思うが、芸能人って言わないほうがいいよ。
アーティストって言えよ、芸能人はただの職業、芸能人業。
俺達、皆生きてる人すべてアーティストだ、人間業よ。
それともう一つ、さっきからミクジャガー、ミクジャガーって言ってるが“肉じゃが”に聞こえる。
(強く言う)“ミック・ジャガー”だからな。小さな“ッ”を入れろよな。

山田:それで思い出しました!
実は、家の子が今回CDを出すのですが、タイトルに問題があることが判明しまして。
岡本:聖子がそんなこと言ってたな。
餓鬼まで使って金儲けか、みっともねぇ親だ。
山田:そのCDのタイトルがまるっきり違ったものになりまして、肉じゃがとおなじで小さな“ッ”を入れなかったので、、、困りました。
CD、一万枚、出来ていまして数日中に届く予定です。
岡本:何言ってんの?
山田:タイトルを“ドクターキッドの癒しの音楽”にとするところを“ドクターキド”にしてしまいました。
岡本:キッドをキドにした?馬鹿だな、日本語で木戸先生だな。
山田:昨夜、田宮にも、木戸先生の癒しの音楽か、と言われました。
聖子に聞かなければよかった。
岡本:聖子?
山田:わたくし、洋物は好きなのですがとんと英語が駄目でローマ字読みになってしまいます。
聖子に子供は英悟で何と言うのか確認しました。
キド(kid)、と聞いて、わたくしも正しかったのだと嬉しくなりまして、、、よく調べればよかった。
岡本:エルビスやってんのに餓鬼をキッドと言うのを知らないなんてな。
木戸先生じゃ売れんな。
山田:制作費につぎこんだものですからドレスが売れるのは大変助かるのですよ。
岡本:あの馬鹿女、おん出せ!あいつが悪いんじゃないか。
おっさん、しっかりしろ。
そうだ!理由をそれにしろ、多大な損失をエルビス世界平和に与えた張本人だからな。
山田:わたくしが聞いたのですよ、後味が悪くありませんか?
それに、彼女にはデザインの才能がありましてね。
本人はまだ自分の持っているものに気づいていないようなのですよ。
岡本:腹黒いジジィ、めそめそしゃがって押し通せ!
さっきの死んだ芸能人の話しや提携の話は無しだ。
山田:実は、メンフィスのエルビス・プレスリー本山にお支払いするコミッションが値上がりしまして。
岡本:本山って、あんたんとこは本物のエルビスプレスリーとつながってるの?
すごいな、てっきり偽者だと思ってたのに。
山田:その、、、本山そのものも偽者でして、、わたくしたち偽者集団が作った偽の本山がメンフィスにあるのでして。
岡本:さっきのドレスの話もその偽者本山からってこと?
山田:はあ。
岡本:あくどいね。
だからホームページにはローマ字読みで書くときは,ELVIS だけは正しくてPRESLEYのとこのRとLをひっくりかえしてるのか。
著作権とかなんとかうるさい時勢だからな。
俺のとこも、最近あんたんとこ真似して、LENNON様の最初のNを一つ減らした。
読み方は同じだからよ、LENON様。
なんかレモンみたいで嫌なんだけどな、最近うるさいので仕方ない。
日本語で読むときもジョン様のとこを“ジョー様”と小声でそれらしく聞こえるように呼ぶようにした、ジョーレノン様ってな。
山田:いっそ、ジャンレノにしたらどうです?
岡本:ふざけとんのか。
あんたも、エルビスなんて呼ばずにエルヒス ブレスリーって呼んだらどうだ。
山田:読むほうは以前からもうやってます。 
エルッス フレスリー様です。
岡本:エルッス フレスリー?
エルビスも猫ちゃんのキャットフードになったか。

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genre : 小説・文学

2:With a little help.徹 このエントリをはてなブックマークに登録

With a little help from Stranger

2:徹

親父は米系の銀行に勤めていた。
2001年、9月11日、貿易センター・テロで帰らぬ人になった。
3年間のデンバー転勤からNYに戻ってきて三ヶ月目のことだ、
商社に勤めていた俺は、毎日、会えると喜んでいた。
何もかもが変わった、、陳腐な言い方だ。
まさか、そんな世界があるとは、という意味だ。
縁がない、他人事のように思っていたからだ。
一寸先は闇だ、誰にでも起こりえる。
幼い子が朝起きると大人になっていて、家族皆が消えていた、この方がまだシビアか。
親父の元に行きたいと、お袋が言う。
あれほど元気で何事にも前向きだった快活な女(ひと)が、いとも簡単に壊れ、ゆがんでいく姿を目にして怖くなった。
彼女のすべてが、あの日で止まってしまった。
会社を止めてお袋を日本に連れ帰った。
駄目だった、場所が変わればなんて嘘だ、あの世の親父と会話し、一緒に住んでいる人間には。
相槌を求められる、俺も壊れていった。
親父んとこに行こうか、、、
姿はないが一緒に生活しているのに、そう考えていた。

三人家族、一心同体、励まし、慰め、助け合う、なんて言葉は必要なかった。
彼らの存在自体が答えだった。
こんなにあっけないものだとは考えてもいなかった。
でも、そうなのだ、家の家族は三人で一人だった、当然こうなる、、でも、誰がこうなるなんて。
前触れもなく、一瞬でもぎ取るなんて、、ないだろう。

お袋は、2002年、9月10日に亡くなった、浴槽だった。
一緒に行くつもりでいた、一日、先を越されてしまった。
お湯の温度をチェックしていた俺の目を正面から見た。
久しくなかったことだ。

お父さんがしつこく言うのよ、、
あなたの名前はGO、
振り返らず前に進むGO、
、ほら、、いい名前だろう、、って、、
あら、また、、、
あなたの名前はGO、、
振り返らず前に進むGO、
ほら、、いい名前だろう、、って
あ、また言ったわ、、
あなたの名前はGO、
振り返らず前に進むGO、
ほら、いい名前だろうって、
あなたの名前は〜〜〜

お風呂場でも繰り返していた。
最後の言葉になった。


KISSの住所へ向かった。
チャイナタウンに近いトレベッカは、昔、酒、雑貨類などを貯蔵する倉庫街だった。
今はロフトに改装されて住居となっている。

あの事件以来、NYを避けていた。
彼を出しにNYに来た、彼のキャラクターが救いだった。
迷惑に思わないだろうか。
ピコに会いたかった、鉄二に、だが、まだ会えない。
6年ぶりのNYはしんどかった。
足が、馴染みの通りを、親子連れを、思い出を避けている。
KISSの住所近くに来て歩けなくなった。
こんな風でここに住めるのか、30にもなって餓鬼だ。
NYにはまだ来てはいけなかった。

ペン・ステーション(ペンシルバニア駅)に行こう。
どこでもいいから出よう。

おーいGO!GO!
何やってる!
待ってたんだぞ!

まさか、KISSだった、子供と立っている。

ドア脇にゴルフボール大の石が三つ転がっている、ホノルル警察でKISSが御手玉していた石だ。

「何考えてた、300mも先から見てたのに俺達が立ってるの見えなかったのか?
来るのかと思ったら逆戻りしやがって?」
「通りを間違えたかと」

子供がしゃべった、頬に可愛いそばかすがある。
日本人の顔立ちだが、どことなく違う。
ヤンキースの野球帽から直毛の黒髪が腰の辺りまで伸びている。
真赤なバスケットシューズに膝頭までのジーパン、黒色のTシャツの胸の辺りで、ゴールド色のお釈迦さんが夕日を背景にサーフィンをしている。
女の子だと思っていた。
「徹、これがGOだ、ハワイでお世話になった」
「お世話になったの?変なお世話」
「何だと!この餓鬼!」
「徹は日本人か?」
「お母さんの花子さんは日本人さ。父さんはポーランド人、僕は地球人。
ねえ、僕の隣の部屋使いなよ、アップタウンしか見えないから」

アップタウンしか見えない、どういう意味だ。
貿易センター側を見せたくない、なぜ徹は、

「ありがとう、そうさせてもらうよ。
通りに出て俺を待ってたのか?」
「この餓鬼が言い出したら断れんのさ。王子様で権力握ってるからな」
「花子さんいないからKISS、だらけっぱなしさ。
性分、仕方ないけどね」
「おまえの面倒見てるんだぞ!大人に向かって7歳の餓鬼が言う言葉か!」
「ほら、本気で怒っては駄目だよ、子供だよ、相手は」
「自分で子供だと言う餓鬼がどこにいる?」
「いつもこんな調子で怠け者なんだ。
花子さんの荷物、まだ取りに行ってないんでしょう?」
「行くよ!今日、行く、行く」
「花子さんは?」
「アフリカ旅行中、じき帰ってくる」
「俺はここに居ていいのか?」
「今朝、王子様、ベッドのシーツから何から、おまえの部屋、掃除してたぞ。
召使いが増えるんで喜んでる」



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genre : 小説・文学

続下はわいーい27: ハワイアンこのエントリをはてなブックマークに登録

27:ハワイアン


「書類がなくなったのはCIAの仕業とはどういうことだ?
エンリケと繋がってないのか?」
「俺達を泳がせるか、ここまで?
新聞記者の話では、ヤクザはエンリケとの会合にハワイ島へ出かけたそうだ」
「どうなってんだ?」
「別々に動いているように見える。
俺の部屋は荒らされてなかった、コピーが二部しかないのを知って盗んだ。
盗聴は、多分、寿子がエキストラのコピー二部して、俺達がここに来ている間だな。
俺は二部残すと寿子に言った」
「何処に置いてたの?」
「机の引き出し、探さなくてもすぐわかる。
純一、新聞記者にも書類の内容話した、盗聴でもうそのことを知ってるはずだ。
どうだ、ラルフ、寿子、奴らに改めて知らせないか、もし盗聴していなかったらまだ書類持ってると思ってるぜ、殺されるぞ。
大きな声で一緒に言え、
“もう書類もないし、純一、新聞記者、四人に洗いざらい書類の内容話した”ってな。
三部合唱にするか?」
「馬鹿、戸昼、あなた何考えてるのよ?」
「いいから言え。
ラルフ、FMのボリューム下げろ、0でもいいぞ」
「馬鹿、お前!」

戸昼はFMラジオのスイッチを切って、ラルフに邪魔されないようコンセントを抜いて叫んだ。
「よく聞け!CIAさんよ!
お前達が盗んだ二部がすべてだ。俺達はもう書類持ってない!
純一、新聞記者にも書類の内容話した!
俺たち盗聴しても追いかけてもつまらんぞ!
もう何もせん、引き下がってくれ!」

ラルフがFMのコンセント、スイッチを戻した。
「全く、何てことやってくれんだ、戸昼よ」
「いい加減にしてよ、私達どうなるのよ?
CIAならもう駄目なんじゃないの」
「だから今言ったろう、何もするなってな。
これからどうするか考えろ」
「俺はスウェーデンのお袋の実家にでも隠れるかな」
「私、日本に帰る。
あなたはどうするのよ?」
「ヤクザとエンリケ潰す」
「何言ってんだ、戸昼」
「餓鬼の頃グアテマラからフロリダまで連れてきてくれた命の恩人が死んだと聞かされた。
恩人は純一の親父だった、エンリケの差し金であのヤクザ連中に轢き逃げで殺された」
「純一の親父と知り合いだったのか?」
「わずか数か月だったがな。
純一が連れてきた兄弟の親父と一緒にエンリケと闘っていたそうだ。
彼らの親父の名は、ナオト、知ってるか?
“ルイスとナオト”の名でハワイアンのヒット曲がたくさんある」
「驚いたな、“ルイスとナオト”あのコンビか?
20年以上、いや、それ以上も前の話だ。
ナオトは殺されたんだよな?
確か、カルフォルニアのハイウェイで銃撃された死体が発見された」
「ロスだ、当時、エンリケの悪行を暴こうとしていたらしい、俺の恩人も一緒に」
「エンリケか?」
「新聞記者の話では、ロスのラテン・ギャングを使った」
「何でもありの世界だな。
お前はエンリケとヤクザどうしたいんだ?」
「ヤクザ連中は明朝、帰国だ。
時間がない、まず奴らをなんとかしないと」
「何言ってるのよ!
戸昼、あなた狙われてるのよ。
逃げなさいよ」
「今日をもって俺達は解散だ。
日本に帰るなり、スウェーデンに行くなり好きにしろ。
CIAが俺達チンピラにちょっかい出さないほうに賭けるがな。
おかしいな、この局、古いハワイアンかけたか?
“舞うイルカ(Flying dolphin)”にさっきは“たそがれのワイキキ(Twilight Waikiki)”
歌ってるのはエンリケだ」
「ロック専門のはずだ、もう四曲目だ、“ルイスとナオト”のだ」

ラルフがFMをニュースに合わせた。
ルイス・エンリケが事故死した、と報じていた。

「おい、戸昼どういうことだ!」
「エンリケが死んだの?私達は!」
「排除した、、あの書類だ、表に出る前に処分しないとやばい。
書類、持ってる限りヤクザ連中も殺されるぞ」

寿子がもじもじしている。
ノートに走り書きした。
“書類があるのよ”

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genre : 小説・文学

3:With a little help. Deep Purple このエントリをはてなブックマークに登録

With a little help from Stranger

3:Deep Purple

「王子様がうるさいから花子さんの荷物、郵便局に取りいく。
付き合うか?」
「そうか、、」
「GO行こうよ!僕も行くからさ」
「、、、じゃあ、そうするか」
「おまえ疲れてそうだな。ここにいてもいいぞ」
「大丈夫だよ、GOは僕のような餓鬼じゃないからさ」

なんだこいつは、見透かされている。
「行くよ、餓鬼じゃない、徹とは違う」

郵便局らしき建物が見えた。

前に並んでいる眼鏡をかけた30前後の男性が中年の女性と話している。
「ああ、そうですか、娘さんはアラバマですか。
私も昔住んでいました。人が親切なんですよね」
「あら、そう!娘夫婦に去年、子供ができたので何度か行ってるのよ」
「おめでとうございます。主も喜ばれていますよ」
「あら、あなたもカトリック?」
「ええ、身、心、すべてね」
「まあ、うれしい。そこまで言ってくれる人は珍しいわ」
「私の信じる、ジョセフ・スミス、ぺテロ、パウロ、この三人だけがイエス・キリストから神権をいただいた者で他のキリスト諸教会は神の力ではなくて人間の力によって作られたものです。だから私は真のキリスト教徒です」
「誰ですって?ジョセフ・スミス?
誰なの?何が真のキリスト教なの」
「モルモン教ですよ。神の選民だけが住むこのアメリカで知らないなんて。
この地に天国が再現されるのですよ、教義は、、」
「まあ!私はカトリックですよ!あなたたちのことを聞いたことがあるわ!
一夫多妻とか、黒人はカインの末裔だとか、、、」
「たしかに一夫多妻を認めている時期はありました。
それは旧約聖書のモーゼの五書に原始キリスト教時代の族長たちが神の許可によって二人以上の妻を持っていたとあったからなのです。
それは思想として生きていても現実にはありません。
重婚罪になりますからね。それに黒人のカインの件も公民権運動、以来はずしています」
「とんでもないわ!時代に合わせて変えるような宗教なんて私は認めません!」
「よく言いますね。旧約聖書39編にしても、6〜7年はかかっているのですよ。
その時代にそって変えているのです。
創世記のまったく違う天地創造の物語だってあるでしょう?」
「聞きたくないわ。もう私に話しかけないで!」

KISSが顎を撫でながら小声で言った。
「お笑いだろう、俺には結幕がわかってた。
この国の連中は宗教に関しちゃまず喧嘩別れだな。
自分を守る砦だから絶対に相手の言い分を聞こうとしない。
新約聖書にしても60年かそこらかかってる、元はギリシア語だろう。
誰が訳したのかは知らねえが、え?訳した学者の気分にもよるし、そいつの知識の深さにもよる。聖書の内容自体はどうだ?権力者の都合のいいように手を加えてないか?
伝わる過程で地域の文化、信仰などをつまみ食いしてないか?
確かなのは最初のキリストだけがまともだってことだ、後は烏合の衆よ。
信者が多くなりゃあ維持するシステム、リーダーが必要になる。
もう堕落しかねえと思うがな」

女性はまだ怒りで顔が紅潮している。
順番が来ると逃げるように窓口に走った。
男も怒っていた。“DAMN IT!(畜生)”。

「GO、宗教って複雑だね。反対のことをやるんだね」
「反対、、そうだな、」

KISSが黒人の局員に通知表を手渡した。
30秒後、局員が大きな太鼓を持って現れた。
でかい、とてつもなくでかい。
局員は2、3度、優しく叩いた。
音に興味を持ったのか耳を太鼓に近づけて揺らしている。

徹も俺も太鼓の大きさにびっくりした。
表面が直径60cm、高さが70cm、底の直径も40cmはある。
太鼓の表面と底辺を5mm程の皮紐で約1cm間隔できつく縛ってあった。
「この太鼓いい音がする。
ナイロビからか、、あんたミュージシャンか?」
「この餓鬼が音楽やってる」
「良かったな、坊や、これいい音するぞ」
「ドゴン族の太鼓だよ、花子さんに頼んでたんだ」
「あんたは生まれはナイロビか?」
「先祖にドゴン族がいてな。まだ向こうに親類がいるはずなんだ」


「この太鼓、重いな、GO、友達、紹介するよ。ついでに休んでこう」
その友達は、キャナル通りから数ブロック、アップタウン寄りのリトル・イタリーに住んでいた。
「KISS、そこの角だから僕キャシーのとこに行くよ。
GO大丈夫だね、もう?」
徹に頷いていた。

居間の壁に大きなステッカーがぶら下がっている。
“Smoke on the water(湖上の火事)犠牲者の会・Go fuck DEEP PURPLE(英ロックバンド)くたばれ、デーパプル“
「あら、珍しいわね、KISS、ハワイに行ったって聞いたけどなぜ行く前に知らせてくれなかったの。ワイキキの友達の住所を教えてあげたのに。
ボーイ・ジョージ(英ロック歌手)のそっくりさん役でショーに出てるのよ。
あら、ごめんなさい。お友達?紹介してよ」
「ロベルト、ジャパニーズのGO。こっちはロベルト」
「お目にかかれて嬉しいわ。さあ、座って、何か飲み物を作るわ。
ワインでいい」
ロベルトはやけに尻を振る、まるで歩くオットセイだ。

「あのステッカーは?」
「デープパープルを訴えてる。とっくに消えちまったがな」
「Smoke on the water(湖上の火事)、あの有名な曲か?
デープパープルの?」
「あれで、精神障害を起こしたそうだ。
犠牲者が全米で200人いるそうだ」
「精神障害?」
「あの曲だけは聴きたくないらしい。できればこの世から葬り去りたいらしい」

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10:えるびす&れのんこのエントリをはてなブックマークに登録

10:

岡本:これからは著作権とか難しくなるかもな。
山田:提携して対処しませんか?
岡本:前向きに考えるが聖子と田宮を追い出さないと結託したらことだ。
山田:二人を追い出せば提携するのですね?
じゃあ、追い出しましょう。
岡本:おっさん、本気か、、、よし、やろう。
山田:二つ大事なことを確認しておきたいのです。
これからお互いの始祖様を言うときは、呼び捨てではなく様を必ず付けるようにしませんか?
岡本:異存ない。
山田:もう一つは大変重要なことです。
提携してどちらを先に言うか、エルビス様が先か、ジョンが、、いやジョン様か?
はっきりしておかなければいけません。
どこかの国じゃありませんがお互いプライドが高いので。
岡本:どこに問題あるの?
世界に与えたインパクトの差だろう、決まってるじゃないか。
山田:岡本様もなかなか見識がお高いですね。
じゃあ、エルビス様が先ということでよろしいのですね?
岡本:何言ってる!
ジョンレノン様だろうが!
世界に与えたインパクトだぞ、決まってるだろう。
山田:それならエルビス様でしょうが!
岡本:何を、!!
山田:わかりました!わかりました!
簡単に解決できない問題でございますから先送りにしましょうか?
まず二人を始末してからということで?

翌日、田宮、聖子、険悪な雰囲気で現れる。

聖子:何よ、あのキッドのCDのどこがいいのよ!
田宮:演歌をヒップ・ホップにした、すごいじゃないか。
お前、わからないのか?
ドクターキッドは日本人のアイデンティティを世界に広めることができるアーティストだってことだ。
聖子:それでエルビス世界平和に入信したいの?何言ってんの?
ジョンレノン平和協会のあなたはどうなるのよ。
もう少しで乗っ取れるって言ってたじゃないの!
田宮:喜びの度合いが違うんだよ。
ちんけいな、名ばかりのエセ宗教団体より世界を相手にしたい。
聖子:わたしとの関係もどうでもいいのね。
田宮:エルビス分捕って一緒にやれるじゃないか。
これまでの目標とたいして変らない。
聖子:イェップのアゴ爺が入会OKするものですか。
田宮:駄目で元々だ。じゃあな、、

田宮、ジョンレノン平和協会に入っていく
山田、現れる。

聖子:イェップ先生様、おはようございます。
山田:聖子君、アゴジじゃないのですか?
聖子:え、何とおっしゃいました。
山田:あ^^ご^^^じ、ではないのですか?
聖子:何のことをおっしゃっているのか見当がつきませんが、イェップ先生様?
山田:今、あなたは誰かと話していましたね。
ジョンレノン平和協会のヒマジンバンドのメンバーの方のように見えましたが、お知り合いですか?
聖子:いえ、あちらに知り合いなんて誰もいません。
山田:てっきりお知り合いだと思っていました。
あなたにお話があります、なんのことか察しはつくと思いますが。
聖子:いえ、申し訳ございませんが、、?
山田:精神科医、木戸先生の癒しの音楽ですよ。
あなたのおかげで大変な損失をこうむりました。
200万の損害です。
あなたにはこの責任を取ってエルビス世界平和を退会していただきたいと思っています。
苦渋の決断でしたが仕方ありません。
聖子:アゴジ様!そんなこと急におっしゃられても。
わたくしはただ、アゴジ様の、、
(聖子、気づく。顔が赤くなる)
いえ、イェップ先生様がお尋ねになったのでキドとは言いましたが、まさか博識でおられるアゴジ様、いえ、イェップ様が英語で子供を何と言うのか知らないなんて到底思っていませんでしたので軽い冗談のつもりでわたくしに聞いたのだと。
わたくしもそのつもりでキドとわざと言ったのでございます。
それを、世界平和を退会だなんて。
山田:聖子君、アゴジとは何なのでしょうか?
どうもわたくしのことのように感じましたが。
聖子:(ひどくうろたえる)そうではございませんでしょう!
イェップ様、退会のことは考え直していただけないでしょうか?
山田:わたくしにとっても苦渋の選択だったと言いました。
もう決めたことです。なるべく早く荷物を整理して下さい。
聖子:イェップ先生様、急に言われても、やり残したドレスのデザインもありますし、お金で解決できるのであればわたくし働いて返済する覚悟でございます。
山田:ふーん、働いて返す。
聖子:はい。

山田:(しばらく思案している)
わかりました。
自信満々に言うあなたの言葉を信じたわたくしにも多少の責任があります。
夕方7時に世界平和で会いましょう。
その時、返事を差し上げます、どうです?
聖子:はい。
山田:今日はこのまま、帰って下さいね。
聖子:そうおっしゃるのでしたら。
イェップ先生様、どうかよろしくお願いいたします。   

聖子と入れ代わるように田宮現れる。

田宮:お、エルビス世界平和の山田様、これはいいところに。
今、伺おうと思っていたところです。
ちょっとお時間を拝借できないでしょうか?
山田:山田様?わたくしのことですか?
田宮:え、え、エルビス世界平和の、あのドクターキッドの偉大なクリエーターの山田様でございます。
山田:偉大なクリエーター?
糞ジジィではないのですか?
田宮:いえ、とんでもございません。
山田:(側に落ちているゴミを見ながら)
あれは“ごきぶり”ではありませんね。
燃えるゴミなのでしょうかね、いや、不燃ごみかな?

田宮:(話題を変える)
実は山田様、ご子息であられるドクターキッドのヒップホップ演歌を聴きまして、演歌にヒップホップを組み合わせるという大胆な、斬新な発想に感動しました。
あのオリジナリティはロックンロールの夜明けにも匹敵する一大事だと思います。
必ずや日本音楽史上に記される画期的な音楽になるでしょう。
拝聴している間アイディアが滝の如くとめどもなく溢れ出てきまして身も震えるばかりの興奮に浸っていました。
探し求めていたものに出会えた喜びに昨夜は一睡もできませんでした。
考えている曲がございます!
“ストーカー・ブルース”というタイトルです。
ドクターキッドに歌っていただきたいのです。
ドクターキッドのこれからの音楽活動にわたしを参加させていただけないでしょうか?
そのためなら何でもする覚悟でございます、どうかお願いいたします!
山田:何でもする、、?



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続下はわいーい28: 強姦魔 米国このエントリをはてなブックマークに登録

28:強姦魔、米国

ブクカキスの長男、シパクナは魚、蟹が大好物だった。
ウナプとイシバランケ双子の兄弟は、植物、石で偽の蟹を作った。

シパクナは蟹、魚を見つけることがきず、二日間、何も食べていなかった。
兄弟はシパクナをそそのかした。
あの谷に大きな蟹がいたよ。
もう少しで捕まえられたのに噛まれた。
僕たちはもう御免だ。
お腹が空いているんだろう、場所を教えてあげる。
捕まえたら君のものだ。
ほら、あそこだ、大きな音を立てているだろう。

駄目だ、穴から下だと上に逃げる。
上から攻めてみるか。
シパクナは穴に頭から入っていった。

丘が地すべりを起こして彼の上に落ちた。
もうあがってくることは出来なかった。
そして、シパクナは石になった。

(by Popol Vuh)


戸昼は寿子が走り書きしたノートを手に、声を出した。
「何だ、100$札だけじゃないのか、10、20、50$札もあったのか」
目をこすりながら、二、三度叩いた。
盗聴だけじゃない、カメラがあるかもしれない。
「小声で話せ、書類は話すな後だ。
じゃあ!どうする、ラルフ、寿子、俺は部屋に戻る」
「ここに一人は御免だな、お前の部屋に行ってもいいか?」
「ああ、もちだ。寿子は?」
「私もそうするわ」

ラルフの部屋を出て、通りから純一に携帯をかけた。
「純一、エンリケが亡くなったな」
「チーフ無事ですか!
爆発音がして遺体はひどい状態だったらしいです」
「ヤクザ連中は?」
「シーサイド・ホテルに帰ってきました」
「あいつら無事なのか」
「エンリケが亡くなったからハワイ島に行かなかったようです。
ハイウェイで書類、千切って走っている車から舞いたそうです」
「ハイウェイで?」
「ええ、尾行していた車から連絡がありました。
別に尾行している黒塗りの車があったそうです。
CIAではないかと言ってました」
「奴らも書類、千切ったの知ってるのか?」
「と、思いますが、チーフ、コピー何部渡したのですか?」
「一部だ」
「じゃあ、千切ってますね」
「純一、盗聴器を探し出すエキスパート知らないか?
俺の部屋をクリーニングしてもらいたい。
あの新聞記者なら知ってるだろう?」
「あ、、そうです!ホタルさんのこの部屋、盗聴されていました。
すぐ頼んでみます」
「純一、書類が一部ある。手に入れたら連絡する」
「え!本当ですか!」
「それとは別に、盗聴器が見つかり次第、携帯にかけるから待機しててくれ。
ヤクザに渡したコピー三部だと言うから合わせろ」
「わかりました、早速ダニーに電話します」
「40分後には部屋にいる。あまり意味ないとは思うが、
電気、電話工事を装ってもらいたい」


ダッジも盗聴されている可能性があったので当たり障りのない話をした。

盗聴ハンターがバグ(盗聴器)を二個見つけ出した。
見たこともない新しいタイプだと言った。
戸昼は礼を言って盗聴器、一個をもらった。

ラジカセをFMに合わせて、盗聴器を手にトイレへ向かった。
純一を呼び出した。
「純一、どうだ、動きは?エンリケが亡くなったな」
「ヤクザはハワイ島から途中引き返してきたそうです」
「ヤクザの書類はどうした」
「エアポートとワイキキ間を往復しながらハイウェイで千切って舞いたそうです」
「コピー三部も車の中で千切ったのか!
ご苦労なことだな」
「昨日の夜、荒井専務が上山に一部保管を頼んでいました。
まだ二部は残っているはずです」
「その書類、欲しいな、、明日のヤクザの便は?」
「JAL75便、9時発です」
「なんとかしたいな、純一」


「寿子、どこにある?」
「盗聴器は?」
「トイレでロック聴いてる」
「バイト先オフィスの私のロッカーの中。ごめんなさい」
「いや、感謝したいぐらいだ、場所は?」
「免税店の裏、歩いて20分で行ける。
でも、この時間入れないわ、閉まってる。
朝の8時オープンよ」
「8時、、ヤクザ連中は9時だ。何とか入れないか?」
「無理よ、もうオフィス閉まっている」
「戸昼、どうする気だ。
もうエンリケは死んだ、ヤクザは明日、帰国だ。
書類にちょっかい出したらCIAが出てくるぞ」
「ラルフ、俺の望みはそれだ。
奴らとエンリケの関係をばらす」
「お前,殺されるぞ」
「貸しがあるんでな。中米の歴史は奴らに作られた。
このアメリカという国だ、手先がCIAだ。
俺達は強姦され続けてきた。
勝者ボケに敗者の強いとこも見せんとな。
とことんへこましてやらんとな。
お前たちは逃げろ、ここからは俺と一緒だとやばい」
「でも、この50万ドルどうしたらいいのよ?」
「銀行に預けろ」
「また、そう簡単に言うけどどうやって?
いきなり50万$持って行くの?おかしく思われない」
「何悩んでる、寿子、これはお前の金だ、堂々としろ。
Bank of Hawaii でも日本の銀行でもどこでも行け」
「戸昼、そうなの、そんなに簡単なの?」
「好きにしろ、とにかく明日、銀行に持ってけ。
聞かれたら盗んだとでも言え」
「まあ、、ひどい」



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4:With a little help.過去との遭遇このエントリをはてなブックマークに登録

With a little help from Stranger

4:過去との遭遇


顔が真っ白、目がブルー、唇が真っ赤な人形が、ワイングラスを手に突然、現れてしゃべった。
「その太鼓はもしかして私へのプレゼント?」
「悪いが違う。花子さんがアフリカから送ってきたんで郵便局から今取ってきたとこさ。
遅くなったけどこれあげるよ」
 
ジーパンのポケットからゴルフボール大の石をテーブルに置いた。
KISSの部屋のドア脇にあった石の一つだった。
「ハワイ島の石だ」
「溶岩ね、ただの石のようには見えないわ。
ありがとう、KISS」
「GOがあのステッカーの意味がわからないらしい」
「ジャパンでは被害がなかったのかしら。
マスコミを利用して大衆にこの被害の深刻さを知らせないと風化してしまうわ。
あの憎いディーパープルの“湖上の火事(Smoke on the water)”が引き起こした事件よ」
「あの曲は古いロックだけど決まってると思ってた」
「まあ!あなたも、許さないわよ!」
「ロベルト、GOはただ素直に意見を言っただけだ、そう向きにならないでくれ。
事情を話せば理解してくれるよ」
「ミッドタウンのブロードウェイで楽器店をやってた。
“湖上の火事”が忘れもしない72年に出たわ。
それからよ、私達が原因不明の頭痛に悩まされ始めたの、
医者はただの偏頭痛ですって!
当時、NYすべての楽器店の従業員が偏頭痛で苦しんだのよ。
全米で数万、全世界で数10万はいたでしょう」

読めない、ロベルトが何を言っているのか。
35年間、偏頭痛で悩まされているのだろうか、
この曲がどう関係あるんだ。
生まれる前の話だ、自分に関係ないことだと適当に聞いていた。

ロベルトが俺を睨んでいた。
「あなた、35年も前のお婆さんの馬鹿げた話だと思ってるわね」
「ごめんなさい、真剣に聞いてませんでした」
「人の話を聞けるぐらいの余裕は持ちなさいよ。
自分だけが苦しんでると思わないで」
「はい、すみませんでした」
「ロベルト、怒らないでくれよ」
「KISS、今日は帰って、もう話したくない」

怒らせてしまった。
確かにいい加減には聞いていたが、なぜそこまで、
いい加減に聞いていた、、これだ俺の問題は。
KISSの言葉で少し楽になった。
「ロベルト、昔のことを思い出して頭が痛くなったのだろう」
「悪いことしたな、徹といい俺の気持ち見透かされているようで怖いな」
「それだけおまえがおまえじゃないということだろう。
彼女は70だ、堂々のゲイ一筋。
考えてみな、今は当たり前だが当時からゲイを公言していた。
差別、軽蔑、半端じゃない」
「そうだったのか」
「気にすんな、ロベルト、今度会うときは別人だ。
変わり身が早い」
「頭痛と“湖上の火事”がどう絡むのかわからなかった」
「楽器店に来る餓鬼共が、あの曲しか弾かなかったらおまえどうなる」
「ロック嫌いじゃないからな」
「一日中、ひっきりなし、毎日、朝から晩まで2年間、それも滅茶苦茶の音だったらどうだ?狂わんか?」
「、、、、」
「そもそもあの曲自体、とんでもない状況で生まれた。
71年、フランク ザッパ(FRANK ZAPPA・米ロック・コンポーザー)のスイス、モントレーのカジノでのコンサート中に火事が起きてカジノは全焼した。
客の悪ふざけの火遊びが原因だ。
それを対岸で見ていて出来た曲だ。
その燃えたカジノでレコーディングする予定だったからな。
いわくつきなんだ、だからロベルトの偏頭痛も起きる」
変わった奴だ、KISSは偏頭痛の原因を火事にした。