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a song for you


男は宙を跳んだ
そらに向かって
そら?そら、って、、ぶるーのこと、


ドアを開けた
巣くったどこまでも限りなく深い陰影があった
ここの空気、部屋全体が陰の集合体
ぶるーになった
床のタイル、
剥がれひび割れ
染み込んだ汚れが、
血のように流れている
変色した便器、
朽ち果てた止め金から解放され、
歪んで座っている
裂かれた、汚れと染みがこびりついた便座がかろうじてもたれかかっている
所々どす黒く変色した傷だらけのバスタブ
インターナショナルのヘアが見知らぬ世界地図を作っている

洗面台のシンク、
消化不良で溜まった汚水の流れ出た跡、
不似合いなモザイク状の美しい模様
その上に、干からびた垢まみれのセロテープで拘束され、
ミイラと化したくすんだ鏡
“Fuck”のスペル
映った 自分の顔らしきもの
疵だらけのフランケンシュタイン

便器の上、約二m二〇の高さに小さな窓
ここでは太陽の影が北から上り、北に沈む
不安定な便器に乗った
明かりをめざして這い上がった
便器が揺れ、、うまくいかない

窓と格闘
隣のビルの色あせたレンガ壁が見える
便器を蹴った
なんとか体を窓枠に、、、
うまくいかない
首は出た、、、腕が、、
左手をどこまでも真っ直ぐ伸ばした
首ごと窓枠に突っ込んだ
痛み、、、
傷、もうどうでも、、

出た!
やっと出た!
、、!
空がぶるー
いつも下から見ているのと違う
冷たい、
風も、空気、見えるもの、すべて、、

ビルの谷間を鳩
あの白は、俺達を欺く色
暗い谷
人が横たわって
白い、
雪が降った

糞だ!
鳩の糞だ!!

便器におちていった


昔、男がいました
鳥になろうとしました
巷では、LSDで飛んだ、と
彼が天使になったのを誰も知らない

こんな世だからこそ、DH を聴いて欲しい。

         dorock修

theme : 短編小説
genre : 小説・文学

上巻 プロローグ:キャラメル超特急 このエントリをはてなブックマークに登録

上巻
キャラメル超特急
Sweet Candy Express

この物語はdrugが副次的な主題です。
嫌悪される方はSKIPを。

概要 

岡本耕三はNYから東アジア(インド、ネパール、タイ)経由で日本に向かった。
カラチで、仏人・ジャン・メルク・トトことロシュトーに出会う。彼は元AD(仏極左組織)メンバーで革命細胞を組織してテロ活動をやっていた。
2月後、二人は黄金の三角地帯でカナダ人のヘロイン運び屋、アランと出会う。
アカ部落からチェンマイまで一緒に旅をした、元テロリスト、運び屋、旅人、3人の間に奇妙な友情が芽生えた。

耕三とアランは、ロシュトーがテロリストになった理由を一つ知っていた。
彼が叔母2人を焼き殺したとき、アリバイ工作を手伝ってくれたのがADメンバーだった。

トロントの孤児院で育ったアランは、11歳の時、母親のように面倒を見てくれたカレン族の女性ラムの為に生きようと決心した。
命に関わるような危険な時に、キャット・ステーヴンス(Cat Stevens)の《Wild World》の曲が聞こえてきた。
ラムが危険を察知してこの曲で知らせてくれていると感じた。
                    


   プロローグ     
1a: インディア
1b:カシミール   
1c:カシミール
 2:カトマンドゥ
2a:ポカラ
 3:プーケット
3a:プーケット
3b:プーケット
 4:Midnight Express バンコック
 5:黄金の三角地帯 チェンマイ
5a:黄金の三角地帯
 6:Wild World
 7:まさか、、?
 8:dとの決別                             

主な登場人物  

岡本耕三: 日本の旅人  
ロシュトー(ジャン・メルク・トト): 元仏極左組織・AD(アクシ ン ティレクト)メンバー
アラン: カナダ人、元ヘロイン運び屋。現在、探偵  
イギー: ベルギーの旅人  
ラシッド: インド・カシミール戦線メンバー  
アミール: インド・カシミール戦線メンバー  
ラム: バンクーバーの孤児院で働いていたビルマ、カレン族の女性 
徹: 耕三の知り合いの旅人  
カルロス・リオン: トロント・マフィアボス  
リュウ・T: NYチャイナタウン・福建青年ギャングボス・トニーの息子  
レジナルド・ダリ: 駐カナダ仏大使  
クリストファー・リー: NY大の仏人学生  
トニー・トンエンチャン(童恩正): NY福建青年ギャングボス。リュウ・Tの父親  
ルーリャチュン(陸定駿): NYチャイナタウン・安良堂ゴッドファーザー  
エディ・ワンシャオター(王暁達): NYチャイナタウン・飛龍ギャングボス  
マコト: アランの妻  
佐伯 守: 針金細工、露天商  
城 賢一: 針金細工、露天商 


全てフィクションです。  


プロローグ

空気、水、ミソ汁、ミルク
昨日の新聞とモメントの集合体
信じられるのは一瞬
かなしく
おちこみ
ふるえ
くるおしく
おどって
さけんで
きえたくなる
夕焼け、、、
太陽、、、
おまえの笑顔
キャンディー
スウィート・キャンディだ!


俺はこの10年あまり長崎を拠点に、
週3日から4日、日雇いのアルバイトをして生きていた。
年に一度、東南アジア、インド、ネパールへ予定期間なし、
金がなくなるまでの気ままな旅をするにはうってつけの仕事だった。

いつものように朝7時過ぎ、
三毛猫の小百合ちゃんの尻尾で起こされた。
彼女、なぜかこの時間になると俺の顔を尻尾でたたいて起こそうとした。
それでも起きないと、耳元で恐怖のゴロゴロと鼻息だ。
10m以上離れていても聞こえてくる大きな音だったのでいつも目が覚めた。
ゴロゴロは天性のもので、
鼻息は彼女が生まれてまもない頃、
風呂に入れて風邪を引かせたためだ、、と思っている。
それにしても8年だ、、、長い風邪だ。 

彼女のお尻を数分間ピンピン叩いてやった後、
郵便受けから新聞を取り出した。
邪魔されないように広告のちらしの上に彼女を誘導した。
今日は機嫌がいい、素直だ。
蒲団に腹這いになって三面記事を広げた。

築25年の4階建て、1DK、家賃2万、
ひび割れ、雨漏りあり。
このビルとおなじような記事が相変わらず並んでいる。
今日はおもしろいのがあった。

《針金細工師・麻薬密売に関係》 
全国の祭りを渡り歩き、アクセサリー類を路上で販売していた佐伯守・40歳と城賢一・41歳の二人は、
15年に渡り、大麻、ハシシ、ヘロインを東南アジア、
ネパール、インド各国から不法に取り寄せ独自のルートで売り捌いていた。
彼らの供述から、背後に大がかりな密輸入組織、
並びに麻薬密売組織の存在が明らかになった。
これまで判明しただけで末端価格、
約4億円余りを荒稼ぎしていた。
警視庁はインターポール(ICPO、国際刑事警察機構)を通じて関係各国に数十人の身元を照会している模様。 

いつのまにか小百合ちゃん、俺の腰の辺りに寝転がっていた。
こうなると、大変だ。
どかそうものなら背中に爪を立てる。
困った、お姫さんだ。

電話が鳴ったので受話器を取ろうとした。
やられた。
少し浅いが適当に痛い。
バンクーバーで探偵稼業をしているアランの声が響いた。
「耕三、起きてたか」
「どうした」
「ぶらぶらしてるならこっちに来れないか。
ロシュトーが昔の仲間に狙われているようなんだ」
「狙われてる?
俺が行って手助けになるか?」
「ロシュトーはボディガートを雇う気はない。
殺されるのを待っているようにも見える。
警察は駄目だし、俺たち以外、誰もいない。
できるだけ早く来てほしいんだが」

旅に出るときは、大家の浜田のお婆ちゃんに小百合ちゃんを預けていた。
大家にはディカプリオという9歳になる黒猫の息子がいた。
8歳の小百合ちゃんとは恋仲だったが、
最近、浜田光夫から浜田ディカプリオに改名してなぜか彼女によそよそしくなっていた。
カタカナの名前になって優越感を持ったようだ。
あんな中身のない猫なんか気にすんな、
と小百合ちゃんに諭して、3日後、バンクーバーに向かった。
 

仏極左組織AD(アクション・ディレクト)元メンバーだったジャン・メルク・トトことロシュトーは、
カナダ・オタワにある仏大使館に出頭した。

仏の刑務所で刑に服した後、カナダ・バンクーバーに渡り、アンドリュー・キャラハンという名で密かに生活していた。仏、カナダ両国政府の密約によるものだった。

ロシュトーはAD・革命細胞の情報を交換条件に、
刑期の短縮、釈放後のカナダ移住の司法取り引きを仏政府と交わした。
カナダ側の見返りは、カナダおよび仏国内のケベック州・分離独立を目指す過激派、及びその支援組織の情報を仏政府から得ることだった。
すべて、ロシュトーの思うようにことは運んだ。
しかし、カナダ移住に関して但し書きが添えられていた。

《ジャン・メルク・トトことアンドリュー・キャラハンに不測の事態が生じようともカナダ政府、警察は一切関知しない》

元テロリストに移住の権利を認めたが、
身を守るのに警察を当てにするなということだった。
先週、差出人の名前、住所が書かれていない一通の手紙がモントリオールから届いた。

『 親愛なるアンドリュー・キャラハン(Dear Andrew Callaghan)  
Francoise de Rocher  
Gustave Galle  
Stella Kupferberg 
Marjorie Graham   
Peter Paul Matsys  
Antoine Sanzio  
Jhon Ricardo               
Jacqueline Morton  
Thomas Malsberg  
Jean Francois Seurat  
Donald Kauffman  
Rino Dussi  
Rosalyn Stern  
Gregory de Rocher  
Bernice Melvin  
Robert Brock  
Jean Louis Imbert  
Pierre Ducasse  
Monique Gagnaire  
Claude Buonarroti 

ジャン・メルク・トト、これらの名前はおまえの情報でなんらかの苦しみ、被害を被った、AD、革命細胞、
およびケベック州分離独立過激派組織メンバー、
協力者、計20名の名前だ。
殺し屋を既に送った。
この復讐は、おまえの死をもって償われる』


 



1a:キャラメル超特急 インドこのエントリをはてなブックマークに登録

Sweet Candy Express



1a. インディア 


カシミールのスリナガールまで」
航空券を受け取ったカウンター内の女性が、モニター画面を見た。
「あなたの名前は予約されてません」
「えっ、そんなはずは。
その航空券に今日の日付と出発時間が記載されてますよ。
よく見てください」
「あなたのはありません。
次の方」
「ちょっと待ってよ!
五日前、ここ、ボンベイで航空券を買ったとき、今日のジャム・カシミール、スリナガール行きを予約したんだから日付をよく見てください!」
「ええ、でも私の予約表にはないわ。
はい、次の方。
あなた、退いてください」
「そんな馬鹿な!」
 
まいったな、どうなってんだ!
今日の日付と出発時間が記載された航空券を持っているのに乗れないなんて。
それになんだ!
この女性の態度は。
もう少し親切にしてもいいだろう。

耕三は怒りを静めようと深呼吸をした。
当初の予定より5年も長くなったNY(ニューヨーク)滞在に疲れ、久しぶりに旅に出た。
いや、これは正しくない。
彼の旅には初めから予定などなく、数年ぶりに旅の途中で立ち寄ったNYに居座っていただけで、気づくと5年近くの歳月が流れていた。

NYには、アートという魔物が住んでいた。
美術館、博物館、音楽、ジャズ、クラシック、ロック、それらのコンサート、演劇、それにダンス、写真、、、。
この街にはアートに無関心だった者をも目覚ませる、仕掛けとパワーが街中、到る所に溢れていた。
まるで罠にかかったように耕三は魔物に吸い寄せられ身動きできないでいた。
いっぱしのアーテイスト気分に浸り現実と夢を行き来していた。   

しかし、ゴキブリも干からびるような糞熱い夏をどうにか三か月間凌ぎ、後一月の辛抱というとき、彼の中で何かが弾けた。
ドアには3つの鍵、窓枠にスチール製のばかでかい奴。
部屋から見渡せる建物すべての窓枠にスチール製の蜘蛛の巣が張っていた。
隙間から上半身裸の囚人たちが、風を求め窓枠にへばり付いて汗を拭っている。
地獄のコンクリート・サウナで蒸し焼きだ。
みんな一様にしかめっ面をして溜め息を吐き、
だらしなく口を半開きにして無風のコンクリートジャングルになんとか風を起こそうと、新聞、雑誌、はてはテレビのリモコンまで手にとって扇いでいる。
涼しく感じられるなら皮膚まで剥ぎ取ってやる、って顔だ。

胡麻油のような脂汗を、胸、手足、手が届く所すべての表皮に擦り付け、出来上がった垢の炒めものを集めて愛しそうに眺め悦に入っている。
悲しいかな、熱さを忘れられるのはこの一瞬だけだ。
窓の蜘蛛の巣、ドアを開けるのに一分以上はかかる三重の鍵。
見慣れていた光景なのに、鍵の巣に覆われた建物の一室で鉄格子に閉じ込められているような錯覚に耕三は陥った。
錯、、そうだ錯覚だ!
今の俺も、、、アーティスト気分も、、、。


「なぜ予約表にないのか説明してください。
このままでは引き下がりませんよ!」
彼女は、まだそこにいたのか、って顔をした。
そして、受話器を取り二言、三言話して、「カム、カム」と人差指で俺を促した。

彼女は怒った風でもなく自然だ。
また独り相撲を取ってしまった。
空気に過ぎない旅人が口を挟むことではないのだが、インドをあらゆる面で他の国と比較してしまう。
それに徹しきれない。
旅の目的とは逆にストレスがたまっていた。 

滑車に乗った、物乞いをする手足のない子どもたちの余りの多さに、泊まっている安宿のおやじに尋ねた。
「赤ん坊で誘拐されたか、親が組織に売った子もかなりいるな。
そこで手足を切断され彼らのために物乞いして金を貢ぐってわけさ。
でもな、そのおかげで餓鬼たちは飯にありつけんだよ」
この馬鹿げた話にカリカリした。
インド旅行は回を重ねるごとにいらいらもなくなる」
友達が言っていたが、歯がゆくてしようがない。 

彼女に促され部屋に入ると、眼鏡をかけた50過ぎの男が、机の上の小さな鏡を覗き込んで鼻毛を抜いていた。
俺の顔を見ようともせずに、
「で、君はこの、、なんだったか?
、、ああ、ジャム・カシミール行きだな。
その飛行機に乗りたいんだね?」 
「いや、乗りたいんじゃなくて予約したその航空券を持ってるんです!」
「だから、君はこの飛行機に乗りたいのだね?」
「よく見てください、いいですか!
これが航空券で、はっきりと今日の日付とフライト番号が載ってるでしょう。
ボンベイ市内の、あなたの航空会社のオフィスで5日前に買ったんですよ!
これは何かの間違いだと思いますからよく調べてください。
満足のいく説明がないかぎり俺は乗りますよ」

男は航空券を受け取り、鼻毛のたまったテッシュの横に置いた。
それと鏡を交互に見ている。
「確かに日付は今日のようだが、君の名前がリストに載ってないから私がどうこうできるもんでもないんだよ。
私が君にチケットを売ったわけではないんだからね」
「ええ、分かります。
あなたの責任だとは言ってませんし、あなたを責める気なんて毛頭ありません。
でもあなたはこの航空券を発行した会社の方でしょう。
俺を乗せる義務があると思います。
とにかく今日カシミールに行くつもりで来たんだから駄目だと言われても乗ります!」
「いや、満席でね、、、席があるかどうか、、、」 

本気でこんな馬鹿げたことを許せなかった。
バックパックを担いで叫んだ。
「乗ります!
じゃあ、もう時間がないんで!」 

机の上の航空券を取ろうとしたとき、男の吐いた深い溜め息に乗って3本の鼻毛がその上に着地した。
男は何事もなかったかのように、その鼻毛にフッと息を吹きかけた。
宙を舞い、今度は俺のズボンの右太股の辺りに着陸した。
「私の鼻毛は君を好きなようだ。
まあ、ここで待ってなさい」
男はゆっくり席を立ち、俺の顔を胡散くさそうに見ながら部屋から出ていった。

何かを企んでいるようでおかしい、と耕三は感じていた。
ここに連れてきた女性が部屋を出るとき、男に目配せするのが目に入った。
しばらくして戻って来た男は、なんて手間のかかる旅行者だ、って顔をした。
「むずかしかったが、なんとか君を乗れるようにした。
感謝してもらいたいね」
 
航空券を直接、手で触る気にはなれなかったので、バックパックからトイレットペーパーを取り出して二重に包んだ。
右足を彼の机の上に載せ、親指と中指でそれを摘んで鼻毛をたたき落とした。
それから四重にしたトイレットペーパーで包み直してバックパックを担いだ。
しかし、彼は上手だった。
ひどくのんびりした口調で追い討ちをかけた。
「君、、、、いっしょうけんめい走らないと、、、間に合わないかもよ、、」

壁時計が出発20分前を指していた。
男の最後の言葉が脳裏から離れない。
怒りで爆発しそうだ。
 
カウンターに走った。
先程の女性にトイレットペーパーに包まった航空券を差し出した。
全速力で搭乗ゲートに向かった。
搭乗口のドアを閉めようとしていた。




dorock修

Author:dorock修
物語,音楽をとおして何かを共有できないか、心に入り込めないか探っている者です。
リンクのmuziedorock/junk musicをクリックしていただければ、junkな音が、

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