下巻・32:With a little help. 毛虫このエントリをはてなブックマークに登録

上巻:With a little help from Stranger                           

プロローグ KISS&GO
1:解放
2:徹
3:Deep Purple
4:過去との遭遇
5:日記帳
6:ナチ収容所
7:アウシュビッツ強制収容所
8:ピコと徹
9:溜め息
10;火山の神、ペレ
11:スコティ トイレットペーパー
12:アルカイナ
13:ドゴン族の太鼓
14:花子さん
15:ジョセフ メンゲレ
16:水晶の夜・the night of broken glass
17:アルカイナとアルカイダ
18:見張り
19:若いテロリスト
20:マイケル(Mikhail)
21:俺?僕?
22:ゴッドファーザー
23:ワシントンスクゥェア
24:サーフィン好きなお釈迦様
25:可愛い竜巻
26:ハロウィン
27:Charlie Parker
28:もう一人のマイケル
29:決心
30:スーパー小僧
31:ルドウィック


下巻

32:毛虫
33:米大統領、自爆テロ
34:FBI
35:メンゲレとマイケル
36:交差
37:空白
38:メンゲレの計画
39:メンゲレの死
40:しり切れトンボ

フィクションです。

今もって行き先不明です。物語が意図していたものと違ってきているような、、始めからないくせに生意気なことを。BLOG波でサーフィンしながらこのまま進みます。愛、自己犠牲を描ければ、


主な登場人物

Go 剣持: 元商社マン、現在、風来坊
Kiss: NYに住むTシャツ デザイナー
花子 コルベ: Kissと共にグルーヴィシャツ経営  
徹 コルベ : 不思議な能力を持つ、花子とマキシミリアノ コルベの子ども
山岡鉄二: アロイの片腕・広域暴力団組長・山岡哲司の非嫡出子
マキシミリアノ コルベ:花子のポーランド人の夫
ジョセフ メンゲレ: ドン ゴメスの主治医 
ピコ リード メンゲレ: メンゲレの養女・親友ルーリードの孫 
ルー リード:メンゲレの親友
ルドウィック:メンゲレの親友
マイケル(Mikhail Hashem Abed):20歳のイラク人テロリスト
サルバトーレ アロイ: ボナンノ・ファミリー副ボス
ドン ゴ メス: ガンビーノ・ファミリーボス  
トーマス ブシェタ: NY コロンボ ファミリーボス
ジョン スパーロ: シチリア ディマッジョ ファミリー副ボス
 
注:
NY五大ファミリー:
ガンビーノ、ジェノヴェーゼ、ボナンノ、コロンボ、ルッチーゼ。


[ホロコウスト]
ギリシア語で獣を丸焼きにして神前に供えるいけにえ。
ユダヤ人大量虐殺、ナチスドイツでは、Final Solution(民族浄化、抹殺計画)という。
 

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32:毛虫

ルドウィックはホテルを、立ち止まっては観察、、なぜ周りを一周するのだ。まるで逃げ道を探しているようではないか。気に食わないのか、、またこのホテルも、なぜ中国人の安宿を。
約束の時間に間に合わない、、、離れるわけには、、。
今度はタクシーを、、どこに行く気だ。

運良く捕まえたタクシーで跡を追った。
携帯を取った。

「山岡君、申し訳ない。急用が出来てしまった。約束の時間に行けそうもない。許してくれたまえ」
“2時間も前から待っているのですよ。どうしたのです?殺し屋が調子が悪いのですか?そもそも何だったのです?なぜ俺なんか下っ端に会おうなんて思ったのですか”
「君達がどれだけ真剣なのか知りたかった。君は約束どおりに行動してくれたようだ。私の気持ちは揺るぎないものになった」
“ドクター、あなたはそうでしょうが俺達はあなたの真意がまだ読めない。このままボスに報告したら計画自体が流れるかもしれませんよ。あなたが真剣にドンを殺したいのであれば何か情報をください。そうしないとボスが納得しません”
「ドンを自爆させる」
“自爆?どうやって?」
「殺し屋を教える」
“教える?名前ですか、有意義な情報だとは”
「毛虫だ」
“何です!”
「山岡君、ドンは毛虫の群れを見ると心臓発作を起こす」
“毛虫、、ムカデとかゲジ?”
「カテリーナは、ドン夫人のことだ。来週フロリダの療養所で尻の脂肪を取る整形手術を受ける。
約一月入院する予定だ。来週だ、君、その機会を逃すと計画は先になる」
“待ってください。毛虫ですよ、家のボスをどうやって納得させろと言うのですか?どうしてこれまで表に?”
「ドンと二人の秘密だ。とにかく近々、段取りを知らせる。山岡君、申し訳ないがこれで切る」
“待ってくださいよ、ドクター!”
「とにかく連絡する」
“ちょっと待ってください!ピコにGOが今NYに居ると伝えて下さい。携帯、############です”
「山岡君、切るよ」
“ドクター!、ドクターメンゲレ!番号、控え、、!”


マジソンスクウェアガーデン近くの安ホテルにルドウィックが入っていく。

フロントに彼の姿はなかった。
百ドル紙幣を渡した。
「今、チェックインした青年の隣部屋に泊まりたい。家族の者だ」


しみだらけのカーテンを、躊躇した、、潔く引いた。鋭いネオンに反射してほこりが舞った。太陽の日差し並みに明るい、鈍ければ見えないのに。
凝縮した人間の営みの匂いが僕を襲う。難破して無人島に数ヶ月、人が恋しくても敬遠したい。
こんなに明るいのに内臓疾患をバンドエイドで治そうと傷口を塞がれた窓ガラス越しに見えるこの町は、今の僕には石を落としてもどのくらい深いのか、底に達して鳴ったとしても、耳に聞こえるのかも定かではない無気味な暗闇に感じる。花子さんは僕が大学編入のために来たと信じている、、
目的があって、、僕は映画を勉強したい、、ここにあるカオスのエネルギーをうまく利用して成し遂げることができたら最高だろう。でもただこの世に存在しているだけの人間は厳しい。この巨大なNYに住むにはそれなりの代償を、、何を揺らいでいる。やる、と決めたじゃないか、今さら。
さあ、プラスチックを取り出そう。

一時間半後、呆然と中から出てきた物を見ていた。ヘロインだった。

C-4(Composition4、プラスチック爆弾)の代わりにヘロイン、幹部はどういうつもりだ?
僕は囮かスケープゴートで他の者が別の所で、、そんな!

ベルギー、ブリュッセルを呼び出そうと飛び出した。
緊急の連絡場所として幹部に指示されていたウエストビレッジのゲイバーに向かった

馬鹿な、ヘロインだなんて、、そんな、、ワシントンスクウェアを爆破できないじゃないか、

theme : 連載小説
genre : 小説・文学

33:With a little help. 米大統領、自爆テロこのエントリをはてなブックマークに登録

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33:米大統領、自爆テロ

上巻、12章.アルカイナ(テロ組織)13章:ドゴン族の太鼓(参照)
(神様の悪戯で、花子さんがアフリカから送った徹のドゴン族太鼓は、シチリア、ディマッジョファミリーがボナンノファミリーに送ったドゴン族太鼓と入れ替わっていた。その中にはサンプルのヘロインが入っていた)



昨夜のアラブネットテレビ、シャヒーラの2時56分のコマーシャルでは何の指示もなかった。
ウエストビレッジ・ゲイバー、アミーゴ・アミガスのバーテンダーは僕を見てブースナンバー2に案内した。一言も、、顔だけで、僕が現れるのを待ったいたかのようだった。

ブリュッセルの連絡員の声は二日前に連絡した時とは違った、言葉が宙に、、風船の中に閉じ込められて浮いている。しかも早口、彼も僕の連絡を待っていたかのように感じた。

計画は保留、しばらく待機、これからは電話番号が毎日変更されるので2時56分きっかりにシャヒーラテレビのコマーシャルで流れる電話番号を必ず確認しろと。
太鼓にC-4(Composition4、プラスチック爆弾)の代わりにヘロインが入っていた、と言った時、絶句した。
浜でまどろんでいた、遠くに帯状のものが、、夢だろう、、津波だと気付いて脳味噌は気絶、体はラップ、、、よく見るとその後ろにも何かが蠢いている、巨大な恐竜だ!
椅子から転げ落ちたのか凄い音がした。


マイケルNY入国、4時間後、米系ギリシア人、アルカイナ女性テロリスト・デリアは五個のコンドームに包んだ3ポンド(約1.36k)のC-4を体内に飲み込んでテキサス・ダラス空港に降り立った。
それをEP通信記者、ダフィ・セントマリアが飲み込んで二日後に行われるホワイトハウス、ブッシュ大統領定例記者会見で自爆させる手筈になっていた。
しかし、デリアはダラス空港トイレで意識不明に陥り救急車で病院に搬送された。五個のコンドームに包まれたC-4が胃から出てきた。
受け渡し場所に現れなかったと、ダフィから連絡を受けたアルカイナ上層部はNY潜入に成功したマイケルからの連絡を待っていた。
彼はブッシュ暗殺の囮として注意を引きつける役目だった。当然、太鼓にはC-4など入っていなかった。密室に閉じ込められて殺される役目に過ぎなかったからだ。ワシントンスクウェアを爆破して政治的、人道的なメリットなどあるはずがなかった。しかし、マイケルは工作員に選ばれた時、計画に酔っていた。上層部はテロリストとしての欠陥を見抜いていた。

ブリュッセルの連絡員からマイケルが回収した太鼓にヘロインが入っていたと、知らされた幹部は即座に計画の棚上げを決めた。以前ヘロインを卸していたボナンノファミリーの太鼓と何かの手違いで入れ替わった、と推測する者はいなかった。
アルカイナ上層部はマイケルの処遇を協議した。新たにC-4を送ってマイケルに遂行させることも考慮されたが、警備の強化などで不可能との判断に達した。当分NYに潜伏させておくことが決まった。


まさか急に出て行くとは、ピコと電話で話していた。

「ピコ、今夜は用ができて帰れないから先にお休み」
“どうしたの、お父様?何かあったの?帰れないなんて初めてよ”
「心配しなくていい。何もない。それはそうとGOがNYに戻ってきていると、ある人から聞いた。携帯を教える」
“GO?、、NYに?”
「ピコ、番号を言うよ」
“え、、、え、、、、”
「###########、書いたかい?」
“ええ、、、でもなぜお父様が、、”
「GOを好きなのは知っていた。君達の仲を空回りさせてしまった。彼が私に会いたがっていると、何度も言ったね、、もう随分前の話だ。あの時は会えなかった。マフィアのお抱え医者だ、間接的に悪いことを、、君達の仲を裂くようでね。あのテロでGOが日本に帰ったと、悔やんだ。今となっては取り返しがつかないことを、、ピコ、私を許して欲しい」
「何を、お父様、、あれはGOのお母様がお父様をテロで亡くして病気になったからよ。若かった、私達、、すぐ会えると、、気持ちは通じていた、のに、、何かが、、勇気かな。お互い言い出せなかった」
「ピコ、電話しなさい。私はいつでも会うよ」
“お父様は今どこにいるの?”
「ホテルだ。ドンの付き添いでね。だから今夜は帰れない。早くおやすみ」
“、、、、、”
「じゃあ、ピコ、切るよ」

その時だった、隣の部屋のドアが勢いよく閉まる音と駆けていく足音がしたのは。追い駆けるのは老体が許さなかった。

ナチ親衛隊に連行されて行った時のあの早朝の顔だった、太鼓を手に出てきた時の寂しげな顔は。歩き方、振る舞い、すべてが幼馴染だ。歳だけだ、違うのは。こんなことってあるのだろうか、誰かが冥土の土産に仕組んでくれたのか。

もし帰ってこなかったら、堪らなかった。
隣の部屋のドア前に立っていた。
鍵穴にピンを差し込んだ。

テーブルにあの太鼓が、、あの白い包みのようなものは、、。






34:With a little help. FBIこのエントリをはてなブックマークに登録

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34:FBI

花子さん、徹、俺は無口でハンバーグをほお張り、KISSが唾を胡椒代わりに飛ばしている。
マイケルがイラク人で両親を亡くしたようだ、と花子さんが言ったからだ。

「友達のタイムズの記者から聞いたことだが、2003年、2月5日、当時の国務長官、コリン・パウエル(Colin Powell)が国連安全保障理事会でイラクが大量破壊兵器の開発を行っている、100〜150トンの化学生物兵器を持っている、トラックに乗っけて移動している、と衛星写真を提示した。あのパウエルが自信満々、説得力ある。世界中の人間が信じた、俺もだ。彼の後ろに当時のCIA長官、ジョージ・テネット(GeorgeTenet)が座っていた。
情報源は化学生物兵器施設で働いていたと自称するイラク人、今ドイツの市民権を得て南ドイツに住んでいる。名前が、、笑える、コードネームがカーブボール、そうよ、あの野球のカーブのことだ。
政治亡命できるなら出鱈目を言う、彼等は死に物狂いだ。当時のドイツは亡命者を受け入れていた、25人に一人の難関だったらしい。とんでもないガセネタをCIAは信じ、いや、ドイツ情報部(BND)が先だな、、パウエルはそそのかされた。ひどく後悔しているそうだ、オバマより先に黒人の大統領になれたのに。

CIA長官テネットはハイジャッカ二人、(Nawaf al-Hazmi and Khalid al-Midhar)がアルカイダとの情報を9/11の一年半も前から知っていた。だが何もしなかった、監視も、FBIにも情報を渡していない。あのテロは防げた。
テロ二ヶ月前、7月に彼はホワイトハウスでライス(現国務長官)にアフガニスタン攻撃を示唆している。翌年、ブッシュが“サダムがアルカイダの後ろ盾になっている”、チェイニーは“サダムが核爆弾を持っている”話をエスカレートさせていった。
だが、国連の査察でも肝心の核爆弾は見つからない。これじゃあイラク侵攻できない。そこに亡命希望のイラク人が化学生物兵器のガセネタ魔球を投げた。ブッシュ等は飛びついた、これでイラクに攻め入ることが出来るとな。世論を操作するのは簡単、イラクに押し入った。
ブッシュ、チェイニー、テネット、こいつらが仕組んだ。裏にはお決まりの利権、軍需産業との関わり、コケの世界だな。コケにされ、巻き添えを食って命落とし、人生をぼろぼろにされるのはいつの世も同じ俺達。奴等はのうのうとフロリダ、バーミューダの避暑地でゴルフ、パーティ三昧、引退してお決まりの本出版して金儲け。あのカーブボールの話も金になると踏んだハリウッドが興味を示しているそうだ。映画のタイトルは“カーブボール”だろうな」
「KISS、もういいでしょう。黙って食べて頂戴」
「悪かったな、やけに皆が静かだからよ。マイケルが出て行ったから?上手くこっちの大学に編入できるといいな。だが解せないんだ、、なぜ太鼓だ。そんな急に、GO、どう思う?」
「何か入ってたのかな?」
「何だ、それは?、、、徹?お前が渡したんだろう、どんな感じだった?」

KISSの問いかけに知らん振りしいる。マイケルに太鼓を渡してから徹が一言も喋っていないのに気付いた。
俺の親父が9/11のテロで亡くなったと、二人に言うのではと、、こいつはやさしい。俺が同情は御免なのを知っている。だがマイケルには言った、、テロリストだから?
俺がここに来た時、変な事を言った。
“僕の隣の部屋使いなよ、アップタウンしか見えないから”
やっぱり消え去った貿易センターの蜃気楼を見せたくなかったんだ。

「もういいでしょう、あなた達。彼は大学編入の件でここに来た、それだけよ」
「マイケルが来たのはマウナロアのペレの石を送り返した翌日だからペレの神様と関係あるのかなと、、火山の神だろう、、、爆弾とかに関係あるのかと思ったわけよ」
「いい加減にしなさい、KISS。あなたのいけないとこよ。邪推しないで」
「徹、なぜマイケルは太鼓を欲しかった?」
「何か入ってたんでしょう」
「入ってたのか?」
「知らないよ、そんなこと」


ドアベルが鳴った。

花子さんが応対している。

「FBIです。お聞きしたいのですが、昨日、入国したイラク人大学生、マイケル(Mikhail Hashem Abed)はこちらに?」
「いえ、昨夜は泊まりましたが、クィーンズの友達の所に行くと出て行きました」
「何時頃です?」
「5時近かったと、、」
「そうですか」
「彼に何かあったのでしょうか?」
「いつものルーティンです。彼の入国の際の移民局の住所がここだったものですから確認に来ました。もしよろしかったらその友達の住所を教えていただけないでしょうか?」
「それが、もらっていません。急だったものですから」
「急に出て行ったのですか?」
「そういうわけでは、、ホテルを探していてたまたま友達の存在を知った、という感じでした」
「、、そうですか。分かりました。もし彼から連絡がありましたら住所をこの電話番号にお願いしたいのですが」


参:4月30日、2007、CBS・60Minutes


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genre : 小説・文学

35:With a little help. メンゲレとマイケルこのエントリをはてなブックマークに登録

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35:メンゲレとルドウィック


ヘロインだ、間違いない。幼馴染に似ているというだけでここまで、、馬鹿な事を、この量だとヘロインを太鼓に詰めて送っている売人なのか?ベルリンの幼馴染がそんな、悲しいじゃないか。
やっぱり違う、、何を私は、、当たり前の話だ、、生きていたら私とおなじ76、、ルドウィクのはずがない、、笑いたい心境だな、私達が6歳、7歳の時だ。
でも似ている、、年は違うが生き写しだ。

ドアノブに手が触れた、、音がした。
どこだ、外か、、似ていた、早朝ナチ親衛隊に追われてルドウィックがドアを叩く音に。青年が飛び出していった時ドアが勢いよく閉まった、、どこかで聞いたことがあると、、あれだったのか今は共鳴している。両手首を後ろから捻じ曲げられ、首と頭を前方に押さえつけられて連行されていった時、親衛隊員に床に張り飛ばされた私は妙に血色のいい君の素足をただ見つめていた、、あの時、私は何もできなかった。

もう一度、部屋を見渡した。小さめのショルダーバック、、それに太鼓とヘロイン。

なぜテーブルにあんな物を置いたまま飛び出していった、、、違ったのか、別の物が入っているはずだったのか、、そうだと辻褄が合う。
あの子どもと東洋系の男はルドウィックと建物に入っていった、、案内していた?どういうことだ、子どもと、あ!!!、、あの東洋系の男はGOだ!ジャパニーズ、、ピコと一緒の写真が、、山岡が、GOが帰ってきていると伝えてくれと?さっきピコに彼の携帯番号を渡したばかりだ、、どうして、、どういう関係なんだ?


ウエストビレッジ・ゲイバー、アミーゴ・アミガスのバーテンダーは、僕が出る時、背中を向けていた。壁一面ガラス張りになったミニチュア高層酒ビンの屋上から僕の全身をサーチライトの目で突き刺していた。

最悪だった、ワシントンスクウェアを山岡が爆破した後、帰りの飛行機を爆破させるつもりだった。アルカイナ幹部も知らない、僕自身の計画だ、こんなことになるなんて。
もう一つ、気がかりな事があった。C-4(プラスチック爆弾)がなかったと言った時は変わらなかったのに、ヘロインが入っていたと言った途端、連絡員は、、、そうだ、、恐竜だ、見たかのように椅子から転げ落ちた。
多分、最初からC-4なんか入ってなかった、彼は知ってた。僕のワシントンスクウェア爆破計画は絵空事だったんだ。もし入ってたなら今どこに?泳がされている?、、でも、おかしい、なぜヘロインが、、連絡員も、、多分、幹部も知らなかったんだ。潜伏してろだって、どういうことだ?潜伏して何を、どこかで爆破計画が進んでいるのか、、僕は捜査を撹乱させて、、殺される?


部屋には老人、、一瞬、間違えたのかと、ソファに座って僕を見ている。
テーブルにあのヘロイン、間違いない、僕の部屋だ。

胸ポケットのナイフを掴んだ。僕らの間には5g近いヘロイン、映画ならギャングの取引、、のようには、なんせ相手はお年寄り、始末するのは簡単。
C-4(Composition4、プラスチック爆弾)の代わりにヘロイン、今度は全く知らないお爺ちゃん、、頭に来ていた。もう、はちきれそうだ。

それにしてもなぜ僕の部屋に?殺す前に尋ねるべきだろうか、かなりのお年寄りだぞ?
何を尋ねる?ヘロインが欲しいのかって。
でもおかしいぞ、この老人は、、ナイフが目に入らないのか、、なぜ僕をそんな目で、まるで殺して欲しいみたいじゃないか、自殺志願者?ゲイなのか?止してくれ。
え!花子さんもそんな目付きを、、優しさと、、謝っているのか、赦しを請っている?
あなたは何だ、誰なんだ?殺そうとしているんだぞ、僕は、、それなのに赦してなんて、助けて欲しいだろう、馬鹿!
どうなってんだ、、ああ、、又来た、、止してくれ、ヘロインがあるんだぞ、、別のとこに連れてかないでくれ、、、


老人が喋っている、、ベルリンが、、、ナチ、、ヒットラー、、ユダヤ人、、水晶の夜、、ルドウィック、、違う、、僕が、、ルド、、そんなマイケルだぞ、、ルドなんかじゃ、ユダヤ人の名前じゃないか、、

言うんだ、違うって、、、マイケル、、おまえはイラク人だ、シオニストなんかじゃないと、

うるさい、、引っ込んでろ、、もういいいから僕は一人だ、二人もいらない!


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36:With a little help. 交差このエントリをはてなブックマークに登録

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36:交差

ホテル前からタクシーでダウンタウンに向かった。
3年前、NYポストで探したパール通りにある隠れ部屋を目指した。
これまでに集めた全米マフィア・非合法活動を記録したディスク、ノート、書類ら、膨大な量の資料がそこにはあった。表に出れば全米マフィア全体が壊滅的な状況になる。
この部屋は誰にも知られたくなかった、、だが彼はおかしかった、解離性同一障害、、境界性人格障害、、別の人間と、もう一人の自分と話していた。

タクシーの運転手は変な顔をしている。
身なりのいい老人がヘロインの入ったショルダーバッグを肩から提げ、薬で眠っている青年の脇を支えている。解体された大きな筒、太鼓もどき、、変な組み合わせ、寂れた、浮浪者が泊まりそうな安ホテルから出てきた。

ペンシルバニア駅でタクシーを乗り換え、タイムズスクウェアで又、別のに乗り換えて部屋に向かった。それぞれの運転手に50$チップを渡した。皆、当然だと言う顔つきだ、男を抱え、太鼓もどきを背負わされたからだ。

幸い、夜中の2時半、人通りはなく誰にも見られずに部屋にたどり着いた。
資料を書斎の戸棚に無理やり押し込んで鍵をした。

この青年をどうしたものか、シオニストじゃないと叫んだ、イラク人だとも、、ここまでやるのは、、NYマフィア撲滅計画に支障がないか、、もう遅い、連れて来てしまった。
その時いきなりアラーム音が、まるで先行きを暗示しているかのようだ。
青年のジャケット、内ポケット、携帯、切ろうとした、、彼がうっすら目を開けた。
強い薬を処方したのに、私を、が持っている携帯を見ている。

“携帯を”とだけ言った。
アラブ放送のテレビを見たかと思うと直ぐに切った。
そして、私を見た。

「あなたは誰です?」
展開がおかしい。携帯の前に聞くのが、それに、ここはどこだと、、まだホテルの部屋だと思っているのか?

「ここまでの経緯、ホテルでのことは、、」
見回している。やはり記憶に無いようだ。
「覚えて、いや、あなたが僕の部屋にいたのは、、ここはどこです?」
「そう、その時、説明はしたのだが、君は聞いていなかったようだ。ここは私が借りている部屋だ」
「なぜ僕を?」
「年寄りの戯言だと思って聞いてくれたまえ。私の名前はジョセフ・メンゲレ。昔、幼馴染の友達がいた、ナチ、ヒットラー時代のベルリンだ。70年も前の話だ。友達の名前はルドウィック・シュマッハー、7歳の時、ナチの親衛隊に連行されていった。その友達に君が、、瓜二つ、生き写しだ。見過ごすことができなかった。遠い過去のことだが私にとってはそうではない、、なぜこんな歳になって幼馴染が目の前に現れたのか知りたかった。おかしいだろうか?」
「僕はイラク人です。ユダヤ人ではありません。ただ似ていると言うだけで迷惑です。あなたを殺すつもりだった、今もです。へロインを見ましたね」
「君のショルダーバッグの中だ、通報はしない。正直もう少し時間が欲しいので殺すのはその後にしてもらいたいが」
「、あなたはおかしい。幼馴染に似ていると言うだけで、それに殺されてもいいような事を、、ジョセフ・メンゲレさん、、聞いたことが、、GOか?、、山岡の電話の時か、、」
「GO?山岡?山岡鉄二のことか?」
「、、、、、、、、、、、、」
「君はなぜ彼等を?」
「あなたこそなぜ知っているのです?」
「答えなければいけないかな、」
「勝手にしてください。聞いといて、」
「山岡とGOは学生時代の友達だ」
「答えになっていませんよ。おかしいでしょう、あなたの学生時代?歳が違う」
「、、娘だ、、彼等と友達だ」
「GOが、、多分相手は山岡でしょう、電話でメンゲレ、ジョセフ・メンゲレと、、あなたのことでしたか?彼とは知り合いの所で昨夜、、二日前か」
「知り合い、、山岡鉄二?」
「いえ、違います」
「あの子どもの?」
「え!徹をなぜ知っているのです?」
「私は君達の跡を、キャナルストリートで偶然、君を見て」
「ホテルまで僕を、、」
「山岡鉄二をどうして知っている?」
「なぜあなたに質問されなければいけないのですか。言えません」
「ヘロインは間違いだった。中には別のものが入っているはずだった、違うのかな?」
「何を言うのですか!あなたは!」
「これ以上は聞かない。ただ微妙に私達は交差している、GO、山岡、不思議だとは思わないか」
「だから何なのです。そんなこといくらでもあるでしょう。数秒の違いで同じ所にいたのに会えなかったり、誰かの悪戯でただ当の本人達が知らないだけで」
「そうだろう、確かにそうだ。だが、当の本人、私達はそれを知っている」
「もういいです。僕はあなたを殺すつもりです。でも延ばします。今は幼馴染思いのあなたに付き合う時間なんてありません。出て行きます」
「どこに行くのだ、こんな時間に」
「ホテルです、あの」
「チェックアウトしたから又、払わされるよ」
「あなたという人は勝手な事を、、」
「ここに居たまえ。好きなだけ居ればいい。その方が殺すのも容易だろう。私はここに住んでいないから君は自由だ」
「ヘロインを持っているのですよ。素性の知れないイラク人、中東の人間、もしかしてテロリストかもしれない。それでもあなたは?」
「好きにしたまえ。君が売人だろうがテロリストだろうが、どうでもいいことだ。仮にそうならそれなりの理由があるのだろう。私は子どもの頃からドイツでひどいことを見てきた。不感症だ、どんなことでもやれるからね、私達は」


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37:With a little help. 空白このエントリをはてなブックマークに登録

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37:空白

携帯が、夢?、じゃなかった、4時15分、とんでもない時間、お袋、親父かと、、思いっきり昔に飛んでいた。二人の顔が浮かんだのは久しぶりだ。
こんな時間に掛けてくる人が身近に、羨ましい時期もあった、携帯と睨めっこ、頭は覚めてクールに。
知らない番号、切れたかと思うと、又、おかしい、どうしても話したいようだ、俺だろうか、、だろう、俺の携帯だ。
隣室の徹を起こしたくない、携帯に触れてふと思い当たった。
4時15分、のこぎり、メラニーの夢、、兵隊がのこぎりを手にガス室に、、同じような夢を、ピコが怖くて目が覚める時間だ。
手が勝手に動いていた。
“GO”
覚醒オブラートに包まれた夢の中に分け入った。

30数年間で一番楽しかった頃、生きること、人生、そんなもん、あしたが必ず来る、と信じて疑わなかった頃の響き、何を言えよう。
“GO、、GO、GO、、、GO、、、、、、、GO?”自分の名前、語尾が徐々に上がっていく。


2002年、9月10日、お袋が亡くなった。一緒に行く予定だったのに先を越された。一年前に起きたテロの日まで待てなかったようだ。
その日、お湯の温度をチェックしていた俺の目を正面から見た。久しくなかったことだ。
そして、あの言葉、を浴槽で、

お父さんがしつこく言うのよ、、
あなたの名前はGO、
振り返らず前に進むGO、
、ほら、、いい名前だろう、、って、、
あら、また、、、
あなたの名前はGO、、
振り返らず前に進むGO、
ほら、、いい名前だろう、、って
あ、また言ったわ、、
あなたの名前はGO、
振り返らず前に進むGO、
ほら、いい名前だろうって、
あなたの名前は〜〜〜

何度も、、最後の言葉だった。


ロングアイランドに行くピコをペン・ステーション(ペンシルバニア駅)に見送りに行った、2001年10月11日。
彼女は笑みさえ、快活に振舞っていた。俺は落ち込んでいった。素直ではなかった、俺もそうしなければと。
その反動が翌日、ケネディ空港の最後の電話できた。
彼女の元気な声、覚えがない、、ひどく応えた。外にいたのだろう、バックで声、遊園地、コンサート会場、合唱隊みたいな。
“ピコは自由だよ。さよなら”
返事も聞かず一方的に受話器を置いた途端、お袋がまともに見えるぐらい空港のロビーで泣いた。
宇宙に一人ぼっち、誰も気にならなかったが、お袋の目が、ひどくおびえた、、涙を一生懸命にこらえた。
時間が経つにつれてあれは嘘だ、と、そう思いたかったのだ。元気な声、あんなに快活に振舞うピコ、僕の彼女はそうじゃなかったからだ。
お袋が亡くなって4年近く電話を、年に四回、無言が一回、三回は通りすがりの人に金を払った。
二年前、彼女が結婚したと知るまで続いた。

あの時、待っててくれと、言わなかった。抜け殻になってしまったお袋の存在が、又、彼女のせいに、卑怯な言い訳、そうじゃない、俺自身だ、原因は。
言えなかった、どうなるのか分からなかった、それから約一年後にお袋と一緒に行くと覚悟を決めたぐらいだ。その時ピコは存在していなかった。
”振り返らずに前に進むGO”聞かなかったら今ここには、。

「GO、、、GO、、GO、、GO、、、、、、、、、、、、、」
俺の名前、だけ、どこまでも、、行く気だ、、まっさらの七年間を埋める気なのだ。

「もう埋まったよ、ピコ」
ささやいていた。




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38:With a little help. メンゲレの計画 このエントリをはてなブックマークに登録

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38:メンゲレの計画 

マイケルを部屋に残して外に出た。
知り合って半日にも満たない青年に書斎の戸棚だけは開けないで欲しいと伝えた。彼を100%信じている自分を信じた、変な言い回しだ。
彼は戸棚に目をやり、私の目に頷いた。
彼と繋がったと感じた。こちらが開けばその分、返ってくる、と、、思い込みに過ぎない、とは。

家に戻るつもりだったが、ドライバーには診療所と告げていた。
ピコにGOの携帯を教えることができてよかった。山岡に感謝しなければ、二人がまた昔のようになれば安心しておさらばできる。
運転席横のダッシュボードの身分証明、IRAQ・Ibrahim al-Jaafari,,が目に入った。
、ルドウィク、マイケルを捲き込んでしまった、、気付かれたらマフィアに追われる。
数日中にドンを殺そう。


メンゲレの計画はNY五大マフィアファミリー間の抗争を利用して組織を弱体化させることだった。その餌としてガンビーノ・ファミリーボス、ドン・ゴメス殺害は不可欠だった。
おまけに親友、ルーリード、ピコの実の父親を殺した黒幕だ。これまで集めた資料だけでも彼らは大打撃をこうむる、だが組織までは無理だった。どのファミリーも次のドンが待ち構えていた。弱体化させるにはファミリー間に、しこり、恨みを植え付けることが必要だった。

半年前、ドン殺しをコロンボ・ファミリーボス、トーマス・ブシェタ持ちかけた。
二年前、彼の妻、キャサリーンの心臓疾患の手術で知り合った。ドンを快く思っていないことを予め調べておいた。彼は知っていた、、親友が行方不明になった黒幕だと。マフィア間では周知の事実だったようだ。
一月前、表に出ることなく、ボナンノ副ボス、サルバトーレ・アロイがドンを葬ってくれる伝えた。うまく行けば、ボナンノからヘロインのマーケットも奪い取ることが出来ると。


ドン・ゴメスはクィーンズに住んでいた。ハワード・ビーチで毎年、独立記念日に主催する違法の花火大会を警察は黙認した。NY市警、FBIにとってドンは泥棒、殺し屋、詐欺師、恐喝屋でも、ここクィーンズではギャング中のギャングで、知名人、英雄だった。俳優のような顔、笑み、これだけで彼の悪口を言う人はいなかった。 
1939年、8人兄弟の4番目の子どもとしてNYのロウア・イーストで生まれた。1920年、シチリアから不法入国した貧しい農夫を父に持ち、母親はスペインのカタロニア出身だった。両親は米滞在許可証を持つことなくこの世を去った。名前がスペイン系のため子どもの頃からイタリア系に喧嘩を売られて育った。しかし性格の残忍さに周りはゴメスを恐れ敬うようになっていった。

15歳でギャングメンバーになり、駆け出し時代はロウア・イーストを拠点に、強盗、恐喝、ケネディ空港トラック強奪などをやった。20、30代のとき何度かルイスバーグの連邦刑務所に服役した。
当時、この刑務所にはロバート・ケネディ司法長官のマフィア撲滅作戦のおかげで、400人以上のマフィアが常時服役していた。

その中に前コロンボ・ファミリーボス、ガランテがいた。血気盛んな若いゴメスを気に入り面倒を見た。しかし、ゴメスはガンビーノへの忠義から彼の庇護を途中で断った。以来、刑務所内で面子を潰されたガランテはゴメスをひどく憎んだ。
晩年のガランテは、選挙シーズンになると《イタリアの力》という政治団体を結成し、政治的な影響力を手に入れようと街頭に出て頻繁に演説をした。連日マスコミに顔写真が出て、マフィアの言葉、文字が、新聞、テレビをにぎわしていた。
当時のガンビーノボス、カルロ・ポンテはこれに恐怖を感じた。
1991年4月、ガランテはコロンブス・サークルで演説中、カメラマンに変装したハーレム黒人ギャング団に暗殺された。黒幕はガンビーノボス、カルロだったがFBIは立証できなかった。
当時、幹部だったトーマス・ブシェタはガランテの復讐を誓った。


ブシェタとアロイの電話をすべて録音していた。ドンの死後、全米マフィアに流せば抗争が延々と続く。

診療所からボナンノファミリー副ボス、サルバトーレ・アロイに電話をした。
「アロイさんですか?ジョセフ・メンゲレです」
「こんな朝早く、、よくかけてこれたもんだな。どうして鉄二とのランデブーを避けた?ドンが感づいたのか?」
「私事だ。悪かったと思っている。あなた方の真意がはっきりしたので二三日中に決行したい」
「殺し屋が毛虫とはな、、俺はお笑い者にはなりたくない。この件は駄目だ。毛虫とは、!」

アロイは思わず噴き出した。弾みでテーブルがよろけ、半分ほど入ったワイン・グラスが純白の絹スカーフを目指して滑ってきた。
ワインの冷たさも赤に変色したスカーフも気にならなかった。
奇声を上げて又噴き出した。
「うひゃーーーー!!!」
「何を言うんだ!いい機会だ、これを逃したらドンを殺せない。あなたのドラッグマーケットも乗っ取られる」
「毛虫が殺し屋でどうして信じろと言うんだ!」
「長年、主治医として仕えている私を信じたまえ。ドンは毛虫を見れば心臓発作を起こす」
「、、真剣なのか、、で、俺達は何をしたら?」
「毛虫を今日中に集めて明日の朝までに届けて欲しい」
「大のマフィアが毛虫集めとは、、そこまで言うのならどうやって殺すのか教えろよ」
「浴槽だ。ドンが入った浴槽に毛虫を投げ入れる」
「誰がやる?」
「私だ。あなたは毛虫を集めて欲しい。100匹は欲しい。私は動けない、、察してくれ。メデジンカルテ、カリカルテ、コロンビアのコカインはそっちの思うままになる」




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39:メンゲレの死


午後、診療所を出てストロベリー・フィールズの西“WOMEN'S GATE(W72丁、セントラルパーク出入り口)”に向かった。辺りをチェックした。
五日前だ、あのホームレス姿の見張りがいたのは、、あれ以来不審な人物を見かけなかった。
広場はいつものように観光客で溢れていた。
ポンペイのモザイク横のベンチに座った。
笑っている、皆、楽しそうだ、ぼんやりと彼等を見ていた。
彼らとおなじような気持ちに、、なかった、、76年も生きていて、、ピコか、、初めてお父さんと呼んでくれた時、小学校卒業、あれは一番うれしかった。
目が合っていた、、誰もが私を見ている、ように感、、いや、私が見つめていたからだ。

なぜなの、どうしたの、お爺さん、そんなに見つめて、

どうしてそんな心配そうな目で私を、、そんな深刻な顔をしているのか。

目を逸らした、モザイクのセンターに刻印されている"IMAGINE"が目に、、まさにレノンの“imagine”だ。
頭はフル回転でこれからのことを考えていた。

ドン・ゴメスが議長を務める全米マフィア・最高会議に3回付き添った。
190cm、100k近い大男はいつもおびえていた、毛虫、げじにだ。それをボス連中に悟られないように細心の注意を怠らなかった。会議場、議長席すぐ横に自分が待機する小部屋を秘密裏に造らせたぐらいだ。
そこで体にテープ・レコーダを巻いて、、最後のはピコのICレコーダーだったか、待機していた。会場の声は筒抜けだった。
その3本のテープ、NY5大フアミリーの悪行を記録した膨大な情報、ドンを定期的に訪問していたビジネス・マンを装った暴力団リスト、、ドンを殺す前にFBIに、いや、もし失敗したら動き出す。やはり殺害後だ、、それにトーマス・ブシェタ、サルバトーレ・アロイをドン殺しの黒幕にするには殺害後、彼等との会話の録音が必要だ。
明日の夜決行しよう。ピコはこれまでの蓄えでなんとか生きていける。GOだな、、山岡にそれとなく仲を、、時間がないな、、今日中に接触できれば、、毛虫を運んでもらおう、その時それとなく伝えよう。
毛虫はどこに、パール通りにはマイケルがいる。忘れていた、、マイケルと山岡は知り合いだ。
どういう関係なのかマイケルは言わなかった。
マフィア、ドラッグ、、アルカイナ、、、ドンがいつか言っていたな。

“ボナンノファミリーはアフガニスタンのヘロインをテロ集団アルカイナから仕入れている。アル
カイダと関係がある。早急になんとかしないと合衆国政府からとんでもないとばっちりをマフィア全体が受ける”

マイケルはアルカイナの工作員?山岡に接触したのはヘロイン?だが、あの太鼓、、中身はどうも別の物が入っていたようだ。
それより毛虫だ、、どうする。山岡にはパール通りの部屋は教えられない。診療所も駄目だ。明日、夕方、決行前に受け取るか、、、今夜、山岡に会えないな、、携帯で二人の仲を頼むか、、、、、、
、ピコ、、、今夜が最後だ、、感謝している、、いなかったらここまで生きてこれたか、、マフィア抗争の流れ弾で足が不自由に、、よく私を受け入れて、、マフィアお抱えの医者を、、お父さんがドンに殺されたというのに、、それでも、、よく私を、、

その時、背中、左の背中に軽い痛みが走った、子どもがぶつかったような。
覚えがあった。小学校に行きたくないと、ピコが駄々をこねた時、肩に彼女を背負って小学校に連れていった。
その時、背中を小さな拳で、、おかしい、、息ができない、、なんだ、これは、血、、“うっ”血、、刺された、のか、、こんな所で、、ジョン・レノンのストロベリーだ、、平和を、、、うっっ”、そんな目で、、私は大丈夫だよ、、、そんな心配そうな目で、、さっきの人達か、、じゃない、、観光客が入れ替わって、、、どうなっている、、“ううっ”、、、明日、、どうして待ってくれない、、後二日、、二日、、、、すべてを捧げる、、、頼む、、、“ううぅっっ”二日だけ、、でい、ぃ、、“うっ”





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40:しり切れトンボ



籠の中にムカデが60匹、4人の部下が石の下、橋の下を覗き込んで捕まえた。
早朝に呼び出されてセントラルパークでこんなことをやらされるとは。
ボスはメンゲレの話に乗ったようだ。
珍しく真顔で、
「毛虫、ゲジ、なんでもいいから100匹、今日中に捕まえてこい」
「ガセネタだったら肥だめに頭を突っ込んで死にたくなりますよ。多分、一生、いや、永遠に語り継がれるでしょうから。ゴキブリならここの住人なので冗談だと思うでしょうが」
余計な事を言ってしまった。
いきなり鳩尾に右フックが入った。
「鉄二、お前がドンを殺るか?ディマッジョのジョン達がパレルモ、ガンビーノ一派、インツェリッロボス、ヴィットリオを屋敷内にあるサンジオバニ教会ごと朝のお祈り中に吹き飛ばす。レバノンのヒズボラ(神の党。イスラム・シーア派過激組織)の爆弾でな。あっちもその気だ」
「急に感じたものですから。メンゲレにデイトすっぽかされてそんなに経っていないものですから」
「いけんのか」

別れ際の言葉で俺への怒りは右フックで鳩尾に沈んだと感じた。だが、最後の言葉が、、しり切れトンボだ。
「教会をイスラムの爆弾で吹き飛ばすとは、鉄二、とんでもない世の中だな。宗教戦争、俺が起こしそうだ、もう起きてるか。ジョンの話だと、ヴィットリオの爺さんの教会はモスクの形をしてるらしい。シチリアは300年近くアラブ人に占領されてたんでな。遺跡はなんでもあり。スペインのハブスブルグ、ブルボンの庭、バロック宮殿、仏ゴシック教会、古代ギリシア、古代ローマの墓、神、王の大理石、銅像、寺院の残骸、アラブ人のモスク。
鉄二、いいかよく聞け。おまえも一応、シチリア生まれだ。覚えてろ。この3000年の間、シチリアは他民族、他宗教に何度も侵略されて従属させられてきた。その歴史の長さがよ、抑圧、倦怠、絶望となってな俺達の心奥深く巣くってる。おまえの中にもだぞ。俺達が殺し合うのは救済だ。ドン・ヴィットリオ爺さんのは毎朝の祈り、、馬鹿な事を。おまえの一族は、、、、、、、。鉄二、早いとこ毛虫取りに行け」

何を言おうとした、、俺の一族、お袋の一族、ジャパニーズ暴力団組長の親父と何が、、糞!あの糞マイケルに会わんと真相はわからんのか。
だが、なぜこんな馬鹿なことにボスは、、親友の仇だと、今時流行らんことを、、何があんだ、メンゲレさんよ。今日中に100匹、ガンビーノと戦争だな。、これか、マフィアの戦争、確かピコの足も抗争の流れ弾で、、だが、メンゲレはお抱え医者だ、それもガンビーノ。

午後二時、78匹集めたところでセントラルパークを出ようとした。
ここらでいい、後はゲジでも事務所で探そう。
何度もボスの携帯にかけたが繋がらない。

ストロベリー・フィールズに差し掛かった時、人だかりが見えた。警官、救急隊員が見える。
WOMEN'S GATE(W72丁、セントラルパーク入り口)手前でストレッチャーを押す救急隊員の叫び声が響いた。
「通してくれ!急いでる!通してくれ!」
ストレッチャーに横たわっている人に話しかけていた、名前を聞いている。
顔半分を覆っていたシーツが風でめくれた。
お年寄りだ、どこかで見た顔、、

「ジョセフ、、、メンゲレ、、、、ピコ、、、、」

声が、かすかに、、唇がそうささやいて、、メンゲレだった、あの写真の。

「何があったのです!」
「後ろから背中!どいて!」

胸騒ぎがした。ボスの携帯は相変わらず駄目だ。事務所にかけた。

「鉄二さん!ボスがリトルイタリーで撃たれました。30分前です!」

どうなってる、メンゲレとボスがおなじ時間に。
救急隊員を追いかけていた。

「老人を知っている!どこの病院です!」
「彼の名前は!」
「ジョセフ・メンゲレ、医者!病院は!」
「レノックスヒル(Lenox Hill)!かなりあぶない!君は身内の者に知らせてくれ!」


「ピコ、お父さんが怪我をした。すぐにレノックスヒル病院に行け」
「え、、、!!誰なの?」
「鉄二だ、、急げ!」
「そんな、、大丈夫なの、、、どこの病院、、」
「レノックスヒル、、イースト70辺りだ!急げ!」

「GO、すぐにレノックスヒル病院に行け。メンゲレがやばい。ピコもそっちに向かっている」
「何、鉄二か、、もう一回言ってくれ」
「レノックスヒル病院に行け。イースト70辺りだ。メンゲレだ、、ピコもそっちに向かってる。急いで行け!じゃな」

毛虫をぶら下げた部下達が小走りで来た。
「鉄二さん、どうしたのですか?急に走り出して何かあったのですか?」
「毛虫なんぞ放り投げろ!おまえらボナンノはやばいぞ。ボスがさっき殺られた。逃げるなり、なんなり自分で考えて動け、いいな」

足は勝手に動いていた。別のことを考えているやけに落ち着いた自分がいた。

“おまえの一族は”、、ボスの、しり切れトンボの、、しり切れトンボ、、尻尾を切って草、枝を押し込んで飛ばす。本当かよ、そんなこと俺達はやれるのか、よ。
マフィアの俺がよくも、言える、、カオスだな。







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41:With a little help.鉄二を殺すこのエントリをはてなブックマークに登録

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41:鉄二を殺す


これまでNY五大マフィアは上納金だけを取ってシチリアからの新参者にドラッグ売買をまかせていたが、NYで一番弱小のボナンノ・ファミリーは徐々にドラッグに手を染めていった。
ヘロイン、コカインがイタリアではキロ5万$、米ではコカインが1万1千$、ヘロインが25万$もしたからだ。

ガンビーノ・ファミリーボス、ドン・ゴメスはボナンノ・ファミリーとシチリアのディマッジョ・ファミリーがメデジンカルテのコカインを、ベネズエラ、エクアドル、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチンを偽装用の積み出し地として使い、アフリカのナイジェリアを中継地としてローマ、パレルモ、カタニアまで船で運んでいる。入り江の多いスペインのガルシア海岸を出航した漁船団やポルトガルの密輸ボートを使い公海上で荷の受け取りをしているなどの情報をシチリアの盟友、インツェリッロ・ファミリーから得ていた。

帰りの船でディマッジョ・ファミリーが、アジア、中近東の阿片から精製したヘロインをベルギーのアントワープ、オランダのロッテルダム、アムステルダム、そして英の港を経由してNYまで運ぶという仕組みだった。
なぜか、リバプール、サウスポート、ロンドンなど英の港を最後に経由する荷物は税関に疑惑を持たれなかった。液化したヘロインをシチリア産のワイン、トマトの缶、オリーブオイルに混入したり、食肉の中に詰め込む運搬方法が取られていた。

三週間前、ドンはディマッジョ・ファミリーが阿片、ヘロインをタリバン、アルカイダと親密な関係のあるアルカイナから仕入れているとの情報とイタリア当局の監視の目がそれに注がれている事実をインツェリッロ・ファミリーから知らされて驚愕した。
イタリア政府から情報を受け、合衆国政府が水面下で重大な関心を持って動いている事実もFBI上層部にいるマフィア子飼いの役人が伝えてきた。
今世紀になって衰退気味のマフィア全体が壊滅的状態になると危惧したドンはボナンノ・ファミリーを除く他のNYファミリーにこの情報を伝え密かに対応策を協議していた。

したたかなコロンボ・ファミリーボス、トーマス ブシェタはこれまでのガンビーノファミリーとの確執を捨て、ドンにメンゲレとボナンノ・ファミリーが密かに進めているドン暗殺計画を教えた。
もちろん、自分が関わっていることなどおくびにも出さなかった。ドンはブシェタを全く信じていなかったが表向き命の恩人としてボナンノ・ファミリーのドラッグマーケットを引き継ぐことをNYファミリーメンバーに働きかけ了承させた。

メンバーは迅速に動いた。NY時間、午後一時半、シチリア、カタニア時間、午後七時半が決行時間だった。
ジョセフ・メンゲレはセントラルパーク内で刺殺、ボナンノ・ファミリー副ボス、サルバトーレ・アロイはリトルイタリーのレストラン、インツェリッロ・ファミリー副ボス、ジョン・スパーロはカタニアのレストランでそれぞれ食事中に狙撃された。

ドンはボナンノ・ファミリーのいい顔になっている山岡鉄二を始末するかどうか悩んでいた。
彼の父親、山岡哲司とは三十数年の腐れ縁が今も続いていた。
日本最大の広域暴力団組長として彼の存在はガンビーノ、いや、マフィア全体にとってアジアへの基点として欠かせないものだった。

出生の真相を知ったら鉄二は俺を狙う。だが、殺せば哲司はよく思わない、、グアム、ハワイでの事業に支障が、、鉄二を殺すには又とないチャンスなのだが。
合衆国政府が相手だと言えば、親父は納得するだろう、、流れ弾が当たって死んだことにするか。



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dorock修

Author:dorock修
物語,音楽をとおして何かを共有できないか、心に入り込めないか探っている者です。
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