下:1キャラメル バンクーバー

下巻、続
キャラメル超特急
Sweet Candy Express
この物語はdrugが副次的な主題です。
嫌悪される方はskipを、
概要
耕三とアランは、ロシュトー暗殺の黒幕、駐仏カナダ大使、レジナルド・ダリを、滞在先のNYでコカインオーバードース(吸飲過多)に見せかけて殺そうとする。
二人は、彼のボーイフレンド、クリストファー・リーが、NYチャイナタウン・福建省ボスのコカイン運び屋をやっているのを偶然目にする。
二人はそのコカインを盗むことにした。
仏大使が黒幕で、チャイニーズギャングが殺したように画策した。
失敗したら刑務所行きの際どい作戦だった。
トロントの孤児院で育ったアランは、11歳の時、母親のように面倒を見てくれたカレン族の女性ラムの為に生きようと決心した。
以来、命に関わるような危険な時に、キャット・ステーヴンス(Cat Stevens)の《Wild World》の曲が聞こえてきた。
ラムがこの曲で知らせてくれていると感じた。
1:バンクーバー
2:再会
3:拳銃
4:狙撃
5:手紙
6:復讐
7:NY
8:ブルース・リー
9:小津安二郎
10:チャイニーズ・ギャング
11:パラディウム
12:スキンヘッド
13:ある計画
14:続・計画
15:テキーラ
16:ラッキーエイト
17:コカイン盗み
18:ホームレス
19:コカイン
続下20:殺人
21:セントラルパーク・ジャングル
22:旅人
23:外交問題
24:捜査難航
エピローグ
主な登場人物
岡本耕三: 日本の旅人
ロシュトー(ジャン・メルク・トト): 元仏極左組織・AD(アクシ ン ティレクト)メンバー
アラン: カナダ人、元ヘロイン運び屋。現在、探偵
モモ:アランの子ども
マコト:アランの妻
ラム: バンクーバーの孤児院で働いていたビルマ、カレン族の女性
カルロス・リオン: トロント・ギャングボス
リュウ・T:童恩正の息子
レジナルド・ダリ: 駐カナダ仏大使
クリストファー・リー: NY大の仏人学生
童恩正(トニー・トンエンチャン): NY福建青年ギャングボス。
陸定駿(ルーリャチュン): NYチャイナタウン・安良堂ゴッドファーザー
王暁達(エディ・ワンシャオター): NYチャイナタウン・飛龍ギャングボス
チキート:NY・ラテン ギャングボス
テキーラ(プロ):チキートの部下
佐伯 守: 針金細工、露天商
城 賢一: 針金細工、露天商
ラシッド: インド・カシミール戦線メンバー
アミール: インド・カシミール戦線メンバー
(上巻と一部重複)
空気、水、ミソ汁、ミルク
昨日の新聞とモメントの集合体
信じられるのは一瞬
かなしく
おちこみ
ふるえ
くるおしく
おどって
さけんで
きえたくなる
夕焼け、、、
太陽、、、
おまえの笑顔
キャンディー
スウィート・キャンディだ!
俺はこの10年あまり長崎を拠点に、
週3日から4日、日雇いのアルバイトをして生きていた。
年に一度、東南アジア、インド、ネパールへ予定期間なし、
金がなくなるまでの気ままな旅をするにはうってつけの仕事だった。
いつものように朝7時過ぎ、
三毛猫の小百合ちゃんの尻尾で起こされた。
彼女、なぜかこの時間になると俺の顔を尻尾でたたいて起こそうとした。
それでも起きないと、耳元で恐怖のゴロゴロと鼻息だ。
10m以上離れていても聞こえてくる大きな音だったのでいつも目が覚めた。
ゴロゴロは天性のもので、
鼻息は彼女が生まれてまもない頃、
風呂に入れて風邪を引かせたためだ、、と思っている。
それにしても8年だ、、、長い風邪だ。
彼女のお尻を数分間ピンピン叩いてやった後、
郵便受けから新聞を取り出した。
邪魔されないように広告のちらしの上に彼女を誘導した。
今日は機嫌がいい、素直だ。
蒲団に腹這いになって三面記事を広げた。
築25年の4階建て、1DK、家賃2万、
ひび割れ、雨漏りあり。
このビルとおなじような記事が相変わらず並んでいる。
今日はおもしろいのがあった。
《針金細工師・麻薬密売に関係》
全国の祭りを渡り歩き、アクセサリー類を路上で販売していた佐伯守・40歳と城賢一・41歳の二人は、
15年に渡り、大麻、ハシシ、ヘロインを東南アジア、
ネパール、インド各国から不法に取り寄せ独自のルートで売り捌いていた。
彼らの供述から、背後に大がかりな密輸入組織、
並びに麻薬密売組織の存在が明らかになった。
これまで判明しただけで末端価格、
約4億円余りを荒稼ぎしていた。
警視庁はインターポール(ICPO、国際刑事警察機構)を通じて関係各国に数十人の身元を照会している模様。
いつのまにか小百合ちゃん、俺の腰の辺りに寝転がっていた。
こうなると、大変だ。
どかそうものなら背中に爪を立てる。
困った、お姫さんだ。
電話が鳴ったので受話器を取ろうとした。
やられた。
少し浅いが適当に痛い。
バンクーバーで探偵稼業をしているアランの声が響いた。
「耕三、起きてたか」
「どうした」
「ぶらぶらしてるならこっちに来れないか。
ロシュトーが昔の仲間に狙われているようなんだ」
「狙われてる?
俺が行って手助けになるか?」
「ロシュトーはボディガートを雇う気はない。
殺されるのを待っているようにも見える。
警察は駄目だし、俺たち以外、誰もいない。
できるだけ早く来てほしいんだが」
旅に出るときは、大家の浜田のお婆ちゃんに小百合ちゃんを預けていた。
大家にはディカプリオという9歳になる黒猫の息子がいた。
8歳の小百合ちゃんとは恋仲だったが、
最近、浜田光夫から浜田ディカプリオに改名してなぜか彼女によそよそしくなっていた。
カタカナの名前になって優越感を持ったようだ。
あんな中身のない猫なんか気にすんな、
と小百合ちゃんに諭して、3日後、バンクーバーに向かった。
仏極左組織AD(アクション・ディレクト)元メンバーだったジャン・メルク・トトことロシュトーは、
カナダ・オタワにある仏大使館に出頭した。
仏の刑務所で刑に服した後、カナダ・バンクーバーに渡り、アンドリュー・キャラハンという名で密かに生活していた。仏、カナダ両国政府の密約によるものだった。
ロシュトーはAD・革命細胞の情報を交換条件に、
刑期の短縮、釈放後のカナダ移住の司法取り引きを仏政府と交わした。
カナダ側の見返りは、カナダおよび仏国内のケベック州・分離独立を目指す過激派、及びその支援組織の情報を仏政府から得ることだった。
すべて、ロシュトーの思うようにことは運んだ。
しかし、カナダ移住に関して但し書きが添えられていた。
《ジャン・メルク・トトことアンドリュー・キャラハンに不測の事態が生じようともカナダ政府、警察は一切関知しない》
元テロリストに移住の権利を認めたが、
身を守るのに警察を当てにするなということだった。
先週、差出人の名前、住所が書かれていない一通の手紙がモントリオールから届いた。
『 親愛なるアンドリュー・キャラハン(Dear Andrew Callaghan)
Francoise de Rocher
Gustave Galle
Stella Kupferberg
Marjorie Graham
Peter Paul Matsys
Antoine Sanzio
Jhon Ricardo
Jacqueline Morton
Thomas Malsberg
Jean Francois Seurat
Donald Kauffman
Rino Dussi
Rosalyn Stern
Gregory de Rocher
Bernice Melvin
Robert Brock
Jean Louis Imbert
Pierre Ducasse
Monique Gagnaire
Claude Buonarroti
ジャン・メルク・トト、これらの名前はおまえの情報でなんらかの苦しみ、被害を被った、AD、革命細胞、
およびケベック州分離独立過激派組織メンバー、
協力者、計20名の名前だ。
殺し屋を既に送った。
この復讐は、おまえの死をもって償われる』
1.バンクーバー、
運び屋を卒業したアランはガスタウン(GASTOWN、バンクーバー)で探偵事務所をや っていた。
ロシュトーの部屋を訪ねた。
月に三、四日、仕事が遅くなったときなど、
彼の3LDKの使っていない部屋をホテル代わりに利用していた。
ロシュトーは、昼間、コンピユーター,
夜は酒を飲む生活をしていた。
完全に”おたく”さんだ。
部屋に閉じ込もりがちな彼の様子を見るには好都合だった。
数か月に一度の割合で、家族が住んでいるウィスラーにロシュトーを連れて行った。
スキー、ゴルフ、スポーツにはまるっきり興味がないようで、いつも娘のモモの相手をして遊んでいた。
アランがドアを開けたとき、彼は既にできあがっていた。
二、三杯付き合った後、
居間のソファに寝込んでしまったのでベッドルームまで運んだ。
たまたまベッド脇サイドテーブルの上に広げられてあった手紙の最後の行が、アランの目に入った。
手紙の消印の日付は10日前だった。
彼は一週間近くも放置しておいたのだ。
翌朝、午後近くになって起きてきたロシュトーに手紙のことを訊ねた。
「なぜすぐ連絡してくれなかった?」
「、、、何を?」
「ベッド脇の手紙」
「、、見たのか、、
あれはジョークだと思っている」
「まったく、、、自分の命がかかってるんだぜ。
今まで何も起きなかったのが不思議なくらいだ。
なぜケベック州分離独立過激派の名前が?」
「俺の移住の見返りとしてカナダ側が要求してきた、
と弁護士が言ってたな」
「警察は相手にしてくれないんだな」
「身から出た錆びだ。
俺がやったこと自体、誉められたことじゃない。
文面の中に何人か知人がいる。
彼らは俺よりひどい目に遭っただろうな。
信用はもちろんのこと、
職、地位を追われて自殺した人も何人かいると聞いた」
「遺産が入ったんで金はあるんだろう。
それで耕三を呼ぶよ。
何かうまい手がないか考えよう」
「好きにしてくれ。
あの世には持って行けないからな」
「もう棺桶を注文したような言い方だな。
今夜から俺ここに泊まるよ。
いいだろう?」
「好きにしてくれ」
「外出は耕三が来るまで控えてくれ。
当分、食事は出前になる」
キャラメル超特急
Sweet Candy Express
この物語はdrugが副次的な主題です。
嫌悪される方はskipを、
概要
耕三とアランは、ロシュトー暗殺の黒幕、駐仏カナダ大使、レジナルド・ダリを、滞在先のNYでコカインオーバードース(吸飲過多)に見せかけて殺そうとする。
二人は、彼のボーイフレンド、クリストファー・リーが、NYチャイナタウン・福建省ボスのコカイン運び屋をやっているのを偶然目にする。
二人はそのコカインを盗むことにした。
仏大使が黒幕で、チャイニーズギャングが殺したように画策した。
失敗したら刑務所行きの際どい作戦だった。
トロントの孤児院で育ったアランは、11歳の時、母親のように面倒を見てくれたカレン族の女性ラムの為に生きようと決心した。
以来、命に関わるような危険な時に、キャット・ステーヴンス(Cat Stevens)の《Wild World》の曲が聞こえてきた。
ラムがこの曲で知らせてくれていると感じた。
1:バンクーバー
2:再会
3:拳銃
4:狙撃
5:手紙
6:復讐
7:NY
8:ブルース・リー
9:小津安二郎
10:チャイニーズ・ギャング
11:パラディウム
12:スキンヘッド
13:ある計画
14:続・計画
15:テキーラ
16:ラッキーエイト
17:コカイン盗み
18:ホームレス
19:コカイン
続下20:殺人
21:セントラルパーク・ジャングル
22:旅人
23:外交問題
24:捜査難航
エピローグ
主な登場人物
岡本耕三: 日本の旅人
ロシュトー(ジャン・メルク・トト): 元仏極左組織・AD(アクシ ン ティレクト)メンバー
アラン: カナダ人、元ヘロイン運び屋。現在、探偵
モモ:アランの子ども
マコト:アランの妻
ラム: バンクーバーの孤児院で働いていたビルマ、カレン族の女性
カルロス・リオン: トロント・ギャングボス
リュウ・T:童恩正の息子
レジナルド・ダリ: 駐カナダ仏大使
クリストファー・リー: NY大の仏人学生
童恩正(トニー・トンエンチャン): NY福建青年ギャングボス。
陸定駿(ルーリャチュン): NYチャイナタウン・安良堂ゴッドファーザー
王暁達(エディ・ワンシャオター): NYチャイナタウン・飛龍ギャングボス
チキート:NY・ラテン ギャングボス
テキーラ(プロ):チキートの部下
佐伯 守: 針金細工、露天商
城 賢一: 針金細工、露天商
ラシッド: インド・カシミール戦線メンバー
アミール: インド・カシミール戦線メンバー
(上巻と一部重複)
空気、水、ミソ汁、ミルク
昨日の新聞とモメントの集合体
信じられるのは一瞬
かなしく
おちこみ
ふるえ
くるおしく
おどって
さけんで
きえたくなる
夕焼け、、、
太陽、、、
おまえの笑顔
キャンディー
スウィート・キャンディだ!
俺はこの10年あまり長崎を拠点に、
週3日から4日、日雇いのアルバイトをして生きていた。
年に一度、東南アジア、インド、ネパールへ予定期間なし、
金がなくなるまでの気ままな旅をするにはうってつけの仕事だった。
いつものように朝7時過ぎ、
三毛猫の小百合ちゃんの尻尾で起こされた。
彼女、なぜかこの時間になると俺の顔を尻尾でたたいて起こそうとした。
それでも起きないと、耳元で恐怖のゴロゴロと鼻息だ。
10m以上離れていても聞こえてくる大きな音だったのでいつも目が覚めた。
ゴロゴロは天性のもので、
鼻息は彼女が生まれてまもない頃、
風呂に入れて風邪を引かせたためだ、、と思っている。
それにしても8年だ、、、長い風邪だ。
彼女のお尻を数分間ピンピン叩いてやった後、
郵便受けから新聞を取り出した。
邪魔されないように広告のちらしの上に彼女を誘導した。
今日は機嫌がいい、素直だ。
蒲団に腹這いになって三面記事を広げた。
築25年の4階建て、1DK、家賃2万、
ひび割れ、雨漏りあり。
このビルとおなじような記事が相変わらず並んでいる。
今日はおもしろいのがあった。
《針金細工師・麻薬密売に関係》
全国の祭りを渡り歩き、アクセサリー類を路上で販売していた佐伯守・40歳と城賢一・41歳の二人は、
15年に渡り、大麻、ハシシ、ヘロインを東南アジア、
ネパール、インド各国から不法に取り寄せ独自のルートで売り捌いていた。
彼らの供述から、背後に大がかりな密輸入組織、
並びに麻薬密売組織の存在が明らかになった。
これまで判明しただけで末端価格、
約4億円余りを荒稼ぎしていた。
警視庁はインターポール(ICPO、国際刑事警察機構)を通じて関係各国に数十人の身元を照会している模様。
いつのまにか小百合ちゃん、俺の腰の辺りに寝転がっていた。
こうなると、大変だ。
どかそうものなら背中に爪を立てる。
困った、お姫さんだ。
電話が鳴ったので受話器を取ろうとした。
やられた。
少し浅いが適当に痛い。
バンクーバーで探偵稼業をしているアランの声が響いた。
「耕三、起きてたか」
「どうした」
「ぶらぶらしてるならこっちに来れないか。
ロシュトーが昔の仲間に狙われているようなんだ」
「狙われてる?
俺が行って手助けになるか?」
「ロシュトーはボディガートを雇う気はない。
殺されるのを待っているようにも見える。
警察は駄目だし、俺たち以外、誰もいない。
できるだけ早く来てほしいんだが」
旅に出るときは、大家の浜田のお婆ちゃんに小百合ちゃんを預けていた。
大家にはディカプリオという9歳になる黒猫の息子がいた。
8歳の小百合ちゃんとは恋仲だったが、
最近、浜田光夫から浜田ディカプリオに改名してなぜか彼女によそよそしくなっていた。
カタカナの名前になって優越感を持ったようだ。
あんな中身のない猫なんか気にすんな、
と小百合ちゃんに諭して、3日後、バンクーバーに向かった。
仏極左組織AD(アクション・ディレクト)元メンバーだったジャン・メルク・トトことロシュトーは、
カナダ・オタワにある仏大使館に出頭した。
仏の刑務所で刑に服した後、カナダ・バンクーバーに渡り、アンドリュー・キャラハンという名で密かに生活していた。仏、カナダ両国政府の密約によるものだった。
ロシュトーはAD・革命細胞の情報を交換条件に、
刑期の短縮、釈放後のカナダ移住の司法取り引きを仏政府と交わした。
カナダ側の見返りは、カナダおよび仏国内のケベック州・分離独立を目指す過激派、及びその支援組織の情報を仏政府から得ることだった。
すべて、ロシュトーの思うようにことは運んだ。
しかし、カナダ移住に関して但し書きが添えられていた。
《ジャン・メルク・トトことアンドリュー・キャラハンに不測の事態が生じようともカナダ政府、警察は一切関知しない》
元テロリストに移住の権利を認めたが、
身を守るのに警察を当てにするなということだった。
先週、差出人の名前、住所が書かれていない一通の手紙がモントリオールから届いた。
『 親愛なるアンドリュー・キャラハン(Dear Andrew Callaghan)
Francoise de Rocher
Gustave Galle
Stella Kupferberg
Marjorie Graham
Peter Paul Matsys
Antoine Sanzio
Jhon Ricardo
Jacqueline Morton
Thomas Malsberg
Jean Francois Seurat
Donald Kauffman
Rino Dussi
Rosalyn Stern
Gregory de Rocher
Bernice Melvin
Robert Brock
Jean Louis Imbert
Pierre Ducasse
Monique Gagnaire
Claude Buonarroti
ジャン・メルク・トト、これらの名前はおまえの情報でなんらかの苦しみ、被害を被った、AD、革命細胞、
およびケベック州分離独立過激派組織メンバー、
協力者、計20名の名前だ。
殺し屋を既に送った。
この復讐は、おまえの死をもって償われる』
1.バンクーバー、
運び屋を卒業したアランはガスタウン(GASTOWN、バンクーバー)で探偵事務所をや っていた。
ロシュトーの部屋を訪ねた。
月に三、四日、仕事が遅くなったときなど、
彼の3LDKの使っていない部屋をホテル代わりに利用していた。
ロシュトーは、昼間、コンピユーター,
夜は酒を飲む生活をしていた。
完全に”おたく”さんだ。
部屋に閉じ込もりがちな彼の様子を見るには好都合だった。
数か月に一度の割合で、家族が住んでいるウィスラーにロシュトーを連れて行った。
スキー、ゴルフ、スポーツにはまるっきり興味がないようで、いつも娘のモモの相手をして遊んでいた。
アランがドアを開けたとき、彼は既にできあがっていた。
二、三杯付き合った後、
居間のソファに寝込んでしまったのでベッドルームまで運んだ。
たまたまベッド脇サイドテーブルの上に広げられてあった手紙の最後の行が、アランの目に入った。
手紙の消印の日付は10日前だった。
彼は一週間近くも放置しておいたのだ。
翌朝、午後近くになって起きてきたロシュトーに手紙のことを訊ねた。
「なぜすぐ連絡してくれなかった?」
「、、、何を?」
「ベッド脇の手紙」
「、、見たのか、、
あれはジョークだと思っている」
「まったく、、、自分の命がかかってるんだぜ。
今まで何も起きなかったのが不思議なくらいだ。
なぜケベック州分離独立過激派の名前が?」
「俺の移住の見返りとしてカナダ側が要求してきた、
と弁護士が言ってたな」
「警察は相手にしてくれないんだな」
「身から出た錆びだ。
俺がやったこと自体、誉められたことじゃない。
文面の中に何人か知人がいる。
彼らは俺よりひどい目に遭っただろうな。
信用はもちろんのこと、
職、地位を追われて自殺した人も何人かいると聞いた」
「遺産が入ったんで金はあるんだろう。
それで耕三を呼ぶよ。
何かうまい手がないか考えよう」
「好きにしてくれ。
あの世には持って行けないからな」
「もう棺桶を注文したような言い方だな。
今夜から俺ここに泊まるよ。
いいだろう?」
「好きにしてくれ」
「外出は耕三が来るまで控えてくれ。
当分、食事は出前になる」
- [ 下 キャラメル ]

